自分は騙されないと思っても騙される人、その理由は思い込みという心理が影響している

確証バイアスとは

経済学と心理学を組み合わせると人の行動を論理的に検証することが可能になり、行動経済学として様々な検証が行われています。
「バイアスがかかる」という言葉を耳にしたことがある方もいるかと思いますが、バイアスとは先入観や偏りを意味する言葉で、思い込みや自分の経験則のみで判断をしてしまうときなどに当てはまります。

  

  

バイアスがかかると判断を誤ることがある

 

 

心理学の用語にはバイアスを使った用語が数多く存在していますが、確証バイアスも経済学的な行動検証に利用されています。
確証バイアスとは、自分の考えや理論にマッチした情報だけを集めて、正当化してしまう心理的な傾向のことです。

自分の思想や理念と異なる考えや行動に対して強く抵抗し、それを自然に排除するようになっていきます。
確証バイアスがかかった状態では、自分に都合が良いように情報を集めて、自らの正しさを強固なものにする傾向にあります。
逆に自らの考えや行動を否定するような考えを排除してしまうため、間違いが起きてもそれに気づかず、失敗を重ねる原因にもなります。
都合の悪いデータや理論を避けて知ろうとしないため、偏向的な行動・考えがどんどん大きくなっていく危険性があるのです。

仕事で成功を収めるためには広い視野で客観的に物事を見る必要があるとよく言われますが、確証バイアスにかかっていると先入観で凝り固まり、視野も狭くなっていきます。
人は誰しも自分が正しいと思いたいものですが、自らを客観的に見て誤りを正すフレキシブルな考え方が必要です。
余談になりますが、物事を判断するときに人はときに非合理な選択をすることがあります。
これを認知バイアスと言いますが、確証バイアスもこの認知バイアスの中のひとつです。

 

 

https://jinjibu.jp/keyword/detl/1144 

確証バイアス/日本の人事部

 

 

確証バイアスの有名人

確証バイアスは心理学の用語のひとつで、実社会においても様々なシーンに影響を及ぼしています。
遺伝子学の権威でメンデルの法則を提唱したグレゴール・ヨハン・メンデルは、メンデルの法則を論文として発表した際の実験結果が、自らの法則の理論値に近すぎると批判されました。
この実験結果は確証バイアスによって作為的に導き出されたと言われましたが、批判する側にも確証バイアスの疑いが持たれて確証バイアスの解説をする際に必ずと言っていいほど、名前が登場するようになりました。

 

 

フラットに物事を見ることは意外と難しい

 

 

政治の世界は確証バイアスに陥りやすい傾向にあり、世界中の政治の中でも多くの事例が存在しています。
ニッカーソンは、政治と司法の関係性には潜在意識的に偏向性があると考えています。
例えば陪審員や裁判官が司法の場で判断する場合に、政府が片方の結果を支持する態度を示した際に、政府が維持した側に有利な判断を下す率が高いと主張して有名になりました。
確証バイアスを有名にした人物として最も知られるのがペーター・ウェイソンで、ウェイソンの4枚のカードが確証バイアスを証明する説になりました。
ウェイソンが考案した4枚のカードは、確証バイアスにかからないためには反証する情報が不可欠であるというものです。

例えば奇数と偶数が書かれたカードと、赤・黒と書かれた4枚のカードがあるとします。
「カードの片面が偶数の場合は裏の面は黒であるという仮説を確かめるのに必要なカードは何?」というとき、ひっくり返す必要のあるカードは偶数と赤ですが、確証バイアスがかかっていると偶数と黒を選んでしまいます。
このカード理論は確証バイアスの事例として多く紹介され、ウェイソンの名前も有名になりました。

 

 

様々な事例が存在する

 

 

有名な事例

確証バイアスがかかった状態になると、自分に都合のいい情報ばかりを集めて判断をするため、合理性に欠けた行動を行ってしまいます。
日常の様々なシーンでも、確証バイアスにかかっていると思われる場面に遭遇する機会は多くあります。
就活での具体例として、志望者が一定の企業に偏る傾向が大きくなるところです。
例えば、大手企業や就活の人気ランキング上位の会社を志望する学生が多いのは毎年の傾向ですが、これなどは企業の内情を詳しく調べていないにも関わらず、「大手だから」、「人気ランキング上位だからいい会社だ」と自分でバイアスをかけて都合よく判断しています。

 

 

イメージだけで物事を判断するべきではない

 

 

確証バイアスがかかったまま志望すると、入社してから大きなギャップを感じて後悔することになります。
現代の社会では大手企業に入社すれば安泰とは限りませんし、人気があるからと言って誰が入っても満足できるという保証はありません。
バイアスをかけず、客観的に企業の内情を判断することが重要です。
最近は特殊詐欺と呼ばれる詐欺犯罪が横行していますが、実際に被害にあった人の中には、自分だけは詐欺に引っかからないと思い込んでいる人も多いそうです。
実は詐欺に引っかからないと初めから思い込んでいる人の方が詐欺師にとっては狙い目だと思われているそうですが、これも確証バイアスが原因と言えるでしょう。

自分は詐欺に引っかからないと思っている人は、少しでも詐欺師の言っていることや行動を信じてしまうと、途中で怪しい行動や言動があっても確証バイアスが邪魔をして疑うことを避けてしまいます。
つまり自分が詐欺にかかるはずがないという思いこみが疑う思いよりも強くなり、騙していない理由の方を探す方向へ傾きます。
仕事においても、自分の考えや行動が間違っていないという確証バイアスがかかっていると、客観的に正しい判断ができずに失敗を繰り返す元になります。
どこの会社にも一人くらい、このようなバイアスにかかった人がいますが、決して自分がその一人にならないように、自らの行動にも注意を向けることが重要です。

 

 

https://www.sbbit.jp/article/cont1/38873

特殊詐欺とは何か? 犯罪心理学で理解する、だまされないためのポイント/ビジネス+IT