同じ金額でも、安く感じる時と高く感じる時があるのはどういう心理が影響しているのでしょう

参照点依存性とは

人類の歴史の中で、国を統治するために人に格付けをする階級制度は数多く登用されてきました。
人には深層心理の中に、自分より下の人を見つけて自分は大丈夫と思う傾向があります。
何故か人は他人と比較することを止められないのですが、参照点依存性という法則が、その答えとなります。
参照点依存性とは、自分が最初の設定した基準点(参照点)から、どの程度変化しているかで評価・判断することです。
人の心理的な評価は絶対評価にはならず、相対評価になるというのが参照点依存性です。
お金に関する話として例えると、解かりやすくなります。

 

 

自分基準を持ちたいものだ

 

 

例として、資産を200万円持っている人と資産を1億円持っている人がいるとして、二人とも投資で20万円の損失が発生したとします。
どちらの人がダメージが大きいかといえば、当然資産200万円の人と答えるでしょう。
これは資産額を参照点として考えた場合に、損失の率が1億円の人よりも大きいと感じるからです。
基本的に人は損失と期待を何かを基準として比較して判断する傾向があり、これが参照点依存性の法則の考え方になります。
病気をしない健康な人が事故で大けがをしたり大病を患ったりしたとき、その危険性が元々あったとしても、健康な状態を基準点として考えてしまうために、より大きな損失(ダメージ)を受けてしまうことになるのです。

 

 

https://g-dx.jp/docs/%E5%8F%82%E7%85%A7%E7%82%B9%E4%BE%9D%E5%AD%98%E6%80%A7

参照点依存性/GDX News

 

 

参照点依存性の著者、有名人について

参照点依存性は、行動経済学でよく活用される法則の一つです。
ダニエル・カーネマンが提唱した、プロスペクト理論の中で研究された法則になります。
プロスペクト理論といえば、ダニエル・カーネマンと答える人がほとんどですが、カーネマン一人ではこの研究で大きな成果を上げることはできなかったと言われています。
カーネマンと同じくイスラエルで生まれたエイモス・トベルスキーは、プロスペクト理論の共同研究者で、多くの理論・研究を共に行っています。

 

 

優秀な人材と共に共同で研究を行った

 

 

認知心理学と行動経済学について学び、生涯、研究を続けてきました。
参照点依存性についてのわかりやすい例を、トベルスキーは著書の中で紹介しています。
収入が少ない苦学生だった当時は、1枚5000円のTシャツは高級品で高すぎると思っていました。
しかし40000円のスーツを洋服店で買ったときに、5000円のTシャツを一緒に勧められると、普段は高いと思っていた高いシャツをついでにと思って買ってしまったのです。

これは5000円のみを払うと考える高いと思うのに、40000円+5000円だと少し上乗せするだけ、と心理的に錯覚をしてしまうことから起きています。
このように人は絶対的な判断基準を持っているのではなく、その時の感情や状況、状態によって判断基準が変化すると、トベルスキーは提唱しています。
ダニエル・カーネマンは2002年にノーベル経済学賞を受賞していますが、1996年に亡くなったトベルスキーがもし生きていたら、同時に受賞していただろうと言われています。

 

 

同じ金額でも状況によって判断が変わる

 

 

有名な事例

人の判定基準は常に絶対的な判断基準を持つわけではなく、心理状態や置かれている状況で判断が変わることを参照点依存性の法則と呼んでいます。
日常生活の中で、私たちは多くの参照点依存性と思える行動をしています。
例えば、コンビニやスーパーなどでおにぎりやお弁当を買うときに、200円のおにぎりセットが半額の100円になっているものと、100円の割引のない単体のおにぎりがあったら、半額の方がお得に感じられるでしょう。
おにぎりの具が単体のものの方が好みであったとしても、お得なセットの方を選んでしまったという経験を持つ人は少なくないはずです。

 

 

 

 

お弁当でも、ハンバーグ一つがメインの弁当とおかずの種類が日替わり弁当があって金額が同じだとしたら、ハンバーグ弁当を買うつもりだったのに日替わりを選ぶこともあるでしょう。
これらも、すべて参照点依存性から起きています。
日常の中では、毎日のように事件や事故などのニュースが報道されています。
その日のニュースで「海外のある国で内紛が起こり、その戦いで子供が犠牲になった」「自分の住む町で、通り魔に襲われた子供が亡くなった」という二つのニュースを同時に聞いたときに、多くの人は自分の住む町で起きた事件で亡くなった子供の方に、より悲しい気持ちを感じるのではないでしょうか。

この場合は人との比較ではありませんが、より身近に起きたことに対して共感が強くなるという参照点依存性が起きています。
不動産屋では、参照点依存性を活用した物件の紹介を行っています。
顧客に対して、まず希望よりも高めの物件を紹介し、次におすすめではない物件を紹介して、最後に希望よりもちょっとだけ高い良い物件を紹介します。
この順番で紹介すると、一番最後の物件は最初のよりも安くて、真ん中のよりも良い物件という風に感じ、気に入る確率が大きくアップします。
すべての人が参照点依存性に則った行動をするわけではありませんが、マーケティング戦略の重要なツールとなります。