営業マンや自治体を悩ます問題に、ナッジを活用してみよう

安い費用に抑えたいけど、安すぎると不安になる心理

ナッジ理論は、ノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者リチャードセイラーとキャスサスティーン教授により提案された、行動経済学の手法です。
国や自治体の政策などに多く取り入れられていることが多いナッジ理論ですが、ビジネスの様々なシーンにも数多く活用されています。

営業の仕事をしている方は、顧客に対して様々なプランや見積もりなどを提示することがありますが、このような場面にもナッジを活用すると大きな成果を上げる可能性が高まります。
例えば、キッチンのリフォームのプランを提示する際に、高い技術や素材を用いたプランや材料費、工費を極限まで下げた低いプランを、希望するプランと一緒に提示すると、より希望のプランが選ばれやすくなります。

 

複数プラン準備することは有効である

 

これは行動経済学にあるフレームワークの手法で、高いプラン、低いプランをより極端にすることで有効度もアップします。
高低の選択肢が希望するプランと大きく違っていなければ、この効果は薄れるため、初めから選択肢として選ばれないような数字を提示することがポイントになります。
3つの選択肢それぞれの有効性を持たせたい場合は、同業他社の金額やプランと比較させることで、選ばれやすくすることも可能です。
まずは3パターンのプランを用意する、スタンダードな手法を使えるようにすることが重要です。

  

希望を通したいなら頭を使おう

 

アンカリング効果を上手く活用しよう

小売店は価格競争が激しく、顧客の購買意欲を持たせるような取り組みが常に必要になります。
商品の質と値段のバランスが売れる商品になるかどうかのポイントになりますが、商品値付けに関してもナッジが有効活用できます。
新商品の値段設定をする場合にナッジは特に有効で、商品の市場価値が高い場合は、通常よりも高い値段設定をすることも一つの方法です。
他に比較するものがない新しいものやサービスの評価に関して、人は正当に評価することを苦手としており、多少高い値段設定をしていてもその価格に不満を抱かず購入する可能性が高くなります。
このような状況を、行動経済学ではアンカリング効果と呼んでいます。

  

比較対象がないと人は価値設定に悩む

 

他に比較できるようなもののない商品を開発・販売するときは、その商品が市場においてベンチマークとなり、以降に登場した商品とその商品を比較して判断するようになります。
つまり価格を高めに設定していても、「この商品の価値はそれくらいだ」という風に顧客は感じてくれるというのです。
その商品を更に大量に売りたいときも、最初に高めの金額設定をしていれば、バーゲンなどで値下げをしても利益率をあまり落とさずに売ることが可能になります。
逆に似たような商品が複数ある場合は、値段設定を3パターンにするなどして、主力商品を魅力ある価格帯にすることもできます。

小売業だけではなく、販売全般のマーケティングの戦略にもナッジは活用が可能です。
近年はオンラインでのビジネスが活発になり、オンラインサービスの会員登録を増やすことが重要になります。
利用者が新規会員登録をするときに、メルマガの登録も同時にしてもらうことが顧客を増やすためには欠かせませんが、会員登録時に自動的にメルマガ登録をするように設定するのと、利用者自身が別で登録するのでは、メルマガ登録者数は大きく異なります。
これは現状維持バイアスと大きく関係しており、自動的に登録されていても余程の理由がない限り、多くの人はメルマガを解除しないため、自動登録にすることが登録数のアップに繋がることになるでしょう。

 

https://service.plan-b.co.jp/blog/marketing/11203/

 

放置自転車、放置ゴミ対策に様々な工夫がされている

ビジネスシーンにおけるナッジの活用事例は、国内外を問わず多くのメディアや書籍などで紹介されていますが、行政の取り組みや事業などの運営管理の場面でも幅広く活用されています。
中国や東南アジア諸国ほどではありませんが、日本は自転車を一般的に使用する人が多い傾向にあります。
特に新型コロナウィルスの感染が拡大し、公共交通機関での密な状況を避けるため、都会では自転車通勤をする人が増加傾向にあります。
自転車の利用者が増えると同時に大きな社会問題として取り上げられるのが、放置自転車の問題です。

  

放置自転車は邪魔である

 

この放置自転車を減少させるナッジの改善事例も、いくつか話題になりました。
一つ目は繁華街にある雑居ビルが放置自転車の多さに悩んでいた時の改善案で、このビルのオーナーは放置自転車が多く置かれる場所に。「ここは自転車捨て場です。ご自由にお持ちください」という張り紙と看板を自転車のハンドルとほぼ同じ高さの位置に数ヶ所貼りました。
このように書かれると自転車が自由に持ち去られてしまうため、この場所の放置自転車はあっという間になくなったそうです。

もう一つは行政が放置自転車を撲滅するために行った対策です。
大阪市は駅前に大量の放置自転車が置かれていることに悩まされており、駐輪禁止の看板や張り紙などで対策をしていましたが、一向に改善されませんでした。
そこで小学生に駐輪禁止の絵を描いてもらい、その絵を道路に貼り付けた結果、色々な対策をしても減らなかった放置自転車が大幅に減少する、という効果を得ることができました。
これは子供に大人が注意されるということの恥ずかしさを、ナッジとして活用した良い例と言えるでしょう。

 

https://kogusoku.com/archives/51602

貼り紙「この近辺に停まっている自転車・バイクはご自由にお持ち帰り下さい。」/こぐま速報