無意識レベルの心理を上手く活用して、仕事でもプライベートでもやる気をアップさせよう

プライミング効果とは

マーケティングに活用される理論や方法は、これまでに多くの学者や企業家により検証・提案されてきました。
プライミング効果も、マーケティング戦略に欠かせない理論として知られています。

プライミング効果の意味は、何らかの印象の強い刺激を人が受けると、その後の行動が受けた刺激による影響が大きくなる効果がある、ということです。
例えば「ハワイの海はどんな色?」と聞かれて答えた後に、「飲みたいカクテルは?」という質問をすると、ブルーハワイと答える確率が大きくアップします。
これがプライミング効果による結果の事例になります。

 

 

無意識のうちに回答は左右されていた

 

 

事前の刺激が、その後の行動や処理に影響を与える効果と言っても、すぐには理解できないことでしょう。
参考になる例として、まずキウイ・チェリー・バナナ・メロンというフルーツの単語を記憶したとします。
その後、次の歯抜けの単語の抜けている部分の文字を答えます。
「カブト_シ・バッ_・ダンゴ_シ・イ_ゴ」これを見たときに、一番最後の「イ_ゴ」はイナゴと書くのが正解ですが、間違ってイチゴと答える人が多くなるのが、プライミング効果です。

色々な言葉の組み合わせに例えると、少し理解できるようになると思います。
プライミング効果には、基本的に二つのタイプがあります。
直接プライミングと間接プライミングの2種類ですが、先行する刺激と事後に起こる刺激(プライマーとターゲット)が同じ場合が、直接プライミングになります。
逆にプライマーとターゲットが異なるものを、間接プライミングと呼びます。
例えばハイビスカスの色の話をした後に「果物と言えば?」と違った質問をしたら、リンゴやチェリーなどの赤い果物を連想することなどが、これにあたります。

 

 

https://drm.ricoh.jp/lab/psychology/p00015.html

プライミング効果とは?/リコーのマーケティング支援

  

  

プライミング効果の有名人

あらかじめ受けた刺激が無意識のうちに次の行動に影響を与える、という心理的な効果をプライミング効果と呼んでいますが、この効果を経済学の分野で広く知らしめた人と言えば、ハワード・S・ダンフォード氏です。
ハワード・S・ダンフォード氏は、1962年生まれで行動経済学の専門家として様々な理論や効果を提唱しています。
ミクロ経済学によって社会分析を詳細に行ったり、ゲーム理論で様々な人の行動を検証して、多くの専門家からも注目された人物です。

 

 

プライミング効果は世に広まった。

 

 

数多くの著書を刊行していますが、一般ユーザーでも行動経済学について理解できるような取り組みを常に行っています。
特に「不合理な地球人」という著書は、人の不合理な行動について行動経済学に照らし合わせて解説をしています。
例えば、小売店のレジで人が多くて長時間待っていると、多くの人が苛立ちを感じます。
では、なぜレジ待ちで苛立ちを覚えるのかを深く考えることは少ないと思いますが、これを理論を用いて検証すると、その理由が明確になります。
レジ待ちに関しては、プロスペクト理論を活用するとその要因がはっきりと分かります。

好きなものを最初に食べるか最後に食べるかは、よく議論になる話題ですが、最後に残す理由はピークエンド効果によって明らかになります。
このような行動経済学によって検証された内容を、より一般的に分かりやすく伝えることを継続してきた経済学者が、ダンフォード氏です。
プライミング効果が行動経済学で一般的になったのは、彼が著書や講義で提唱したことが始まりと言われ、同志社大学の非常勤講師として教鞭を取ったこともあり、日本の経済学の分野では有名な方です。

 

 

https://www.kaonavi.jp/dictionary/prospect_riron/

プロスペクト理論とは? 特徴、価値関数・確率加重関数、マーケティングや人材育成への活用について/カオナビ

 

 

有名な事例

プライミング効果は、マーケティングで幅広く利用される手法ですが、具体的な活用事例を知っておきましょう。
実際にビジネスのシーンで有効に活用したものとしては、商品アンケート・メルマガ・SNSなどがあります。
商品アンケートを取ると、アンケートに答えたユーザーはプライマーを与えられることになりますが、直接的に商品を売り込まれているという認識はないため、自然な感じで刺激を受けます。
アンケートの質問内容を直接的にせず、商品に興味を持たせるように促していくことがポイントです。
メルマガ・SNSはその活用方法を上手く行うと、その情報によって潜在顧客として関心を持ってもらえる可能性がアップします。

 

 

デジタルを上手く活用しよう

 

 

メルマガもSNSも登録者に情報を送ることができますが、メールやSNSの文章の中に質問を挟むことで顧客に対して影響を与えることができます。
マーケティング手法とは少し異なりますが、集中力をアップさせたいときにプライミング効果を活用することも可能です。
例えば、受験生はいかに受験勉強を効率よくやる気を出せるかが重要ですが、やる気を引き出すために「〇大学に合格」と希望の大学の名称を大きく書いた紙を貼っておくとテンションも上がり、受験勉強が進む効果が得られます。

テレビCMもプライミング効果の代表的な事例のひとつです。
新製品を視聴者に認知させたいときにテレビCMをメーカーは作りますが、商品に特定のイメージを持たせて印象付けをしています。
柔軟剤なら柔らかい香りがするイメージ、イオンウォーターなら爽やかなイメージ、アイスクリームなら涼しい・冷たいイメージを持つような映像に仕上げています。
このような作り方がプライマーとなり、商品の購入意欲を高める効果があるのです。
目標やこうしたいという願望を自分の机や部屋などに貼っておくことも、プライマリー効果の活用方法としては最適です。