軽い気持ちで集め始めたものが、いつしかとまらなくなってしまった、なんて事はありませんか?

ディドロ効果とは

日本人の傾向には、ブランド品に対して興味を持つ方が多く、海外のトップブランドの人気は衰えることがありません。
一つのブランドを購入して気に入ると、そのブランドで統一したいという心理が働くことが誰しもあると思いますが、この心理作用を心理学の世界ではディドロ効果と呼んでいます。

 

 

買い物は計画的にしないと後で後悔する事が多い

 

 

例えば、冬用のコートを人気ブランドに買い替えたら、シャツやパンツも同じブランドで揃えてみたい、と思うようになるときは誰でも少なからず経験があるでしょう。

つまりディドロ効果とは、新しいブランドや商品を手に入れるとそこに関連するあらゆるものを同じブランドや商品で揃えたくなる、という心理的な行動のことを言うのです。
生活の中で、新しい変化があったときに、本人にとってそれが理想的な価値をもたらすものになると、その新しい価値にすべての環境や物を統一させたい、と考えてしまうこともディドロ効果と言われます。
高級品で揃えたいと思うことだけではなく、健康に気を使っている人が健康器具や健康食品にこだわって揃えたり、節約にこだわる人が低価格の物で揃えようと思う心理も同じことになります。

 

 

買い物はストレス発散になるが気をつける必要もある

 

 

ディドロ効果の由来

人が新しい価値観に対して満足すると、その価値観で全体を統一したいと考える心理作用をディドロ効果と呼びますが、この名称は18世紀のフランスの思想家ドゥニ・ディドロ氏のエッセイに書かれた内容に由来しています。
「私の古いガウンを手放したことについての後悔」というエッセイ文が元になっていますが、内容は以下のようになっています。
ディドロ氏は、みすぼらしい書斎の住人でしたが、そのことに特に不満は持っていませんでした。
しかし、ある日友人に深みのある赤色の豪華なガウンをプレゼントされ、彼はそのガウンがとても気に入りました。

 

 

上質なものを身につけると離れられなくなる

 

 

すると、それまでに使っていた着心地の良かったガウンがみすぼらしいものに感じて捨ててしまいます。
このことが後の大きな問題へと発展していくのです。
新しいガウンを使い始めると、今度は書斎のタペストリーが新しいガウンにマッチしていないと考えるようになり、タペストリーも新調します。
しばらくすると、今度は使っている椅子の古さがみすぼらしく思えるようになり、椅子も新たに購入します。
結局、本棚や時計、ラグなど書斎にあるもの全てを新しいものに変えてしまったのですが、書斎の居心地は以前よりも悪くなってしまったのでした。
このエッセイを、調和を求めすぎて無駄な消費をしてしまうことの例えとして、人類学者が「ディドロ効果」と名付けたことで知られるようになりました。

 

 

無駄な消費には気をつけよう

 

 

有名な事例

ディドロ効果は、新たな価値観に周りのアイテムや環境をすべて変えたくなる心理を表す言葉ですが、この効果をマーケティングに活用すると有効に使えます。
現代において、ディドロ効果が大きく働いている代表的な事例としては、ソーシャルゲームがあります。
スマホやパソコンで気軽に始められるのがソーシャルゲームのメリットで、無料で始められるものがほとんどです。
しかし、ゲームを続けているとイベントなどでレアなアイテムがもらえるガチャが出てきて、すべてをコンプリートしようと思ったら課金をしなければ不可能なことに気付きます。
そこで止める人もいますが、課金をしてでもコンプリートしたいと思う人も大勢いるのが現実です。
これがまさにディドロ効果で、コンプリートしたいという心理が働いた瞬間から課金は止まらなくなります。

 

 

少しずつでも、続けると大きな額となっていることも

 

 

最も分かりやすいのが、ブランドの効果です。
ブランドというとファッションブランドを想像しますが、ファッションに限らず様々な分野でブランドイメージはマーケティングにおいて欠かせません。
独自の価値観を持つブランドには、多く揃えることでその魅力は大きく増していきます。
iPhoneやiPadなどを展開するAppleの商品はデザインに大きな特徴があり、家電品・オーディオとしてだけではないブランドとしての魅力があり、揃えてみたくなる心理が働きやすく、ここにディドロ効果が大きく表れています。
パソコンも日本国内での実用性だけを考えたら、ウィンドウズのパソコンの方が便利ですが、Appleのパソコンはデザインが秀逸で利便性を超える大きな魅力があり、Appleで統一している人が多いのも頷けるところです。

おもちゃの分野では、シルバニアファミリーがディドロ効果を活かしています。
シルバニアファミリーの直営店では、単に人形を陳列しているのではなく、部屋の中に家具を揃えて人形がよりキレイに見えるように陳列されています。
こうすることで、人形を買いに来た顧客は陳列された状態と同じように家具を揃えてみたい、という心理が働きます。
ディドロ効果を巧みに活用している、代表的なモデル事例と言えるでしょう。
このように揃えることに魅力を感じさせることが、マーケティングにおいて重要な戦略となります。
デジタル化が進んだ現代において、より活用される機会は増えていくことでしょう。

 

 

https://beehave.infodex.co.jp/entry/diderot

【ディドロ効果】揃えたくなる心理のマーケティングへの応用/ビジネスのためのWeb活用術。