同じ商品でも営業により売り上げが違うのは何故か?デキる営業マンの言葉の選び方
ポジネガフレーミングとは
ネガティブ、ポジティブという言葉を聞くと、ポジティブにはプラスのイメージ、
ネガティブにはマイナスのイメージがある方が大半です。
実際には、ポジティブな考えだけでネガティブな面を無視して行動すると、
失敗をしてしまうことが多くなるため、この二つは表裏一体で共に考えて行動する必要があります。
ビジネスの考え方でもポジティブ、ネガティブどちらかに誘導していく戦略は数多く存在しますが、
その戦略の一つにポジネガフレーミング効果というものが存在します。
ポジティブ、ネガティブをつけないフレーミング効果という呼び方をされることも多くなっています。
行動経済学、心理学の分野で多くの学者によって研究されているフレーミング効果とは、
同じことを伝えるときでも、その伝え方や表現方法によって相手からの印象や捉え方が大きく変わることを言います。
つまりポジティブな表現、ネガティブな表現など、伝達方法を変化させることで、
判断・決定に影響を与えることができる効果を表しています。
講演をする人でも、その表現や伝え方でその講演内容を支持する人に違いが生まれたり、
人気のある人とそうではない人に差が生まれるように、商品やサービスも紹介の仕方一つで印象は大きく変わります。
フレーミング効果という言葉の由来は諸説ありますが、
英語のフレーミングの枠組みを意味することが語源と言われています。
写真を撮るときにどの位置や、物・人にフォーカスするかで、
同じ場所を撮影しても見る側の印象は大きく違ってきます。
強調する場所によって印象や捉え方が大きく変わるということの意味から、
フレーミング効果という呼び方がされるようになりました。
人にフレーミング効果が起きる原理として、人間には経験や環境、状況などにより価値観がそれぞれ違い、
異なったフレームを持っていることが挙げられます。
例えば、お腹が空いている人がてんぷらを揚げている匂いを嗅ぐとおいしそうに感じるのに、
お腹いっぱいの状態では油の匂いが気分を害することもあります。
その時の状況や環境によってポジティブ・ネガティブ双方の思考が起きる原理を活用することが、
ポジネガフレーミング効果と言えるでしょう。
ポジネガフレーミングの著者、有名人について
人それぞれの経験や現在の環境・状況によって同じものを見たり感じた時に、
ポジティブ・ネガティブ両方の反応を示すことをポジネガフレーミング効果と呼んでいます。
環境や経験、状況で異なった反応を示すフレーミング効果は、
心理学・行動経済学の第一人者で後にノーベル経済学賞を受賞するダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによって検証されています。
ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーの二人が、フレーミング効果の存在を世界に知らしめた実験が、
アジア病問題という検証実験です。
アジア病とは架空の病気であり、実際に起こった伝染病ではありません。
アメリカではアジア病という伝染病の大流行を想定し、対策を準備しています。
この架空の伝染病は、流行が起こることがわかっているのにそのまま放置していると
死者数は約600人に達すると想定され、A・B二つの対策案が提案されました。
疫学の専門家を交えた科学的な検証予測でのそれぞれの効果をA・Bそれぞれ3つで表し、その回答を集計しました。
・A-1 200人が助かる B-1 確率1/3で600人全員助かるが、確率2/3で全員助からない
・A-2 400人が亡くなる B-2 確率1/3で一人も亡くならないが、確率2/3で600人全員が亡くなる
1に対しての回答は、圧倒的にAの対策を選ぶ人が多くなりましたが、
2に対しては、逆にほとんどの人がBの対策を選びました。
どちらも結果は同じですが、表現を変えただけで結果は真逆になりました。
Aの対策は、200人が助かり、400人が助からないという同じ結果、
Bの対策は1でも2でも期待値が200で変わりません。
1の場合は、どちらも良好な結果を表していると感じ、
確実性の高いAを、2の場合は、どちらも悪い結果を表していると感じ、ギャンブル性の高さも認めて選ぶのです。
このように人は直感的に見えたり感じたりする情報に左右されて選択が変わる、という事実を表しています。
フレーミング効果とは?文章を変えるだけで売上アップする行動経済学/ビジネスのためのWeb活用術。
有名な事例
ポジティブに表現した比較と、ネガティブに表現した比較では
選択に違いが生まれる心理的な法則・効果をポジネガフレーミング効果と呼びます。
一般的には、ポジネガを略してフレーミング効果と呼ぶことが多くなっています。
フレーミング効果は古くからマーケティングに活用されていますが、代表的な活用事例を紹介します。
企業や店舗で顧客に一番勧めたい商品をアピールしたいときに、フレーミング効果を活用することができます。
例えば、一眼レフカメラは近年スマホのカメラの性能向上によって売り上げが低迷していますが、
一眼レフカメラに顧客の興味を持たすには、スマホよりも優れている部分を強くアピールすることが求められます。
この場合、一眼レフカメラの持つ撮影機能と、高品質な写真撮影が
可能なメリットを強調するキャッチコピーや小冊子などで商品の良さを推進することが効果の活用に繋がります。
がん治療のアンケートでの事例も、フレーミング効果をよく表しています。
5年生存率は高いが短期的なリスクのある手術と、
5年生存率は手術より低いが短期的なリスクの低い放射線医療の二つの選択肢があります。
二つのグループに分けて、どちらを選ぶか尋ねるアンケートを取りましたが、
1のグループには生存率のデータを見せ、2のグループには死亡率のデータを見せました。
・1手術後1ヶ月の生存率90%、2手術後1ヶ月の死亡率10%
すると1では手術を選択した人が80%を超えたのに対して、
2では手術を選択した人は約50%と大きく減少する結果となりました。
このようにネガティブな数字を見せるときと、
ポジティブな数字を見せた時では結果が大きく異なることがわかります。