今では当たり前となった動画配信サービス。そのパイオニアはどう変化していったのか。
U-NEXTとは
好きな映画やドラマを自宅で観たいと思ったときに、
以前はレンタルDVDが主流でしたが、
インターネットが普及した現在は動画配信を利用する方が増えています。
1作ごとに費用が掛かるサービスよりも、
毎月定額を払う定額動画配信サービスの事業を展開する企業は年々増えていますが、
U-NEXTは動画配信のパイオニアとして現在も好評です。
当初は映像配信サービスのGyaoとしてスタートし、
2009年に今のU-NEXTに変更されました。
USENの動画配信部門が独立して設立されましたが、
現在はUSENを吸収合併した形で活動をしています。
当初は無料で鑑賞できる動画と、1本ごとに課金されるPPVに分かれていましたが、
定額の見放題プランがメインとなっています。
定額プランで鑑賞できる動画コンテンツは、21万本で、
定額動画配信サービスの中では作品数No.1のラインナップ数を誇ります。
動画配信大手のネットフリックス、アマゾンプライムに次ぐシェアを誇り、
アニメ・映画作品が充実している点が高く評価されています。
テレビ・パソコンを使っての鑑賞はもちろんゲーム機にも対応しており、
さらにシェアの拡大を狙っています。
U-NEXTカードという、コンビニ店頭でも購入可能なプリペイドカードの販売、
U-NEXT光としてインターネットサービスも展開し、幅広いユーザーの獲得を目指しています。
U-NEXT/HOME
U-NEXT市場の規模
USENの動画配信サービス事業GYAOとしてスタートした現在のU-NEXTは、
視聴可能な動画数の多さからユーザー数も増えています。
特に映画、アニメ動画の数が多く、動画配信大手のアマゾンプライム、
ネットフリックスに迫る勢いで登録者数を伸ばしています。
2021年上期の売上高は約950億で前年比約15%増、
営業利益は約59億円で前年比約50%の大幅増益となっています。
GYAO/HOME
主力の動画配信の売り上げだけで200億円を超え、
その評価の高さが企業全体の収益アップに繋がっています。
海外でスタートした動画配信サービスは日本でも利用者が増え、
市場規模も年々拡大の傾向にあります。
2020年の動画配信市場の規模は、
約3900億円で前年比で約33%の大きな伸び率を計上しています。
ネットフリックス、アマゾンプライムのシェア拡大に負けず、
U-NEXTもシェア拡大に努め、業界全体の市場拡大に繋がっています。
新型コロナウィルスの感染拡大で自宅で過ごす時間が増えたことから、
自宅で動画を鑑賞する人が増えたことも市場拡大に繋がりましたが、
2025年には約6500億円規模の巨大市場になると予想されてます。
どんなユーザが多いのか
好きな映画やドラマ、アニメを観たいと思っても、
テレビでは自分の好きなときに観ることはできません。
レンタルDVDが観たい動画の鑑賞用として一時は主流になっていましたが、
インターネットの通信速度が高くなった現在は、
動画配信サービスが主流になっています。
アマゾンプライム、ネットフリックスとともに、
日本の動画配信サービス大手のU-NEXTは視聴可能な動画数の多さでユーザー数を伸ばしています。
インターネットを毎日利用しているというユーザーにアンケートを取ったところ、
U-NEXTの存在を知っている人は約64%で、ネットフリックス(83%)、
アマゾンプライム(83%)と比べると若干認知度が低い傾向にあります。
知っていると答えた人のうち約25%の人がU-NEXTを利用していると答えていますが、
認知度の低さを改善することが、ユーザー増の課題となっています。
年代別の利用者数を調べてみると30代が最も多く、
20代、40代の順になっています。
この傾向は他の動画配信サービスでも同じですが、
U-NEXTではアダルト動画も見放題に含まれているため、
20代・30代の視聴者が多い傾向が高くなっています。
定額で視聴可能な動画本数が140000本以上と、
本数が圧倒的に多いことがU-NEXTの特徴です。
定額料金が2189円と、アマゾンプライムやネットフリックスよりも高額のため、
20代、30代でも独身で金銭的に余裕のあるユーザーが多い傾向もあります。
独身女性は韓流などのアジアドラマ、
独身男性はアダルト作品が充実していることを便利と感じているようです。
UNEXTのメリットとなっている点をアピールできれば、
ユーザー数を大きく伸ばすことも不可能ではないでしょう。
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今後どうなるのか
レンタルDVDに代わる動画視聴の新たな定番として、
定額動画配信サービスの利用者は年々増加する傾向にあります。
しかし、価格の安い、動画数が多い、音楽に強い、洋画に強いなど、
それぞれのサービスがメリットをアピールしていますが、
動画配信サービスが開始されたころと比べると、今後は停滞していくことも考えられます。
家電品や携帯料金、ファストフードなど様々な業界で価格競争が起こり、
低価格を競うあまり、収益が悪化したこともありました。
動画配信サービスにおいても低価格競争が起きましたが、
他のサービスに比べて基本料金がやや高めのU-NEXTは価格競争とは違う戦略を考えています。
【HuluとU-NEXT】比較ポイント22選でわかる本当のおすすめ!/くらべてネット
料金の安さにこだわりすぎると、コンテンツの充実、
クオリティの面でのマイナスが大きくなり、
結果として中身がないから安いという悪いイメージになりかねません。
U-NEXTはもともと定額での視聴可能本数は日本でもトップクラスですが、
定額プランに新作を入れることは収益の点でデメリットになります。
そこで都度課金型のTVODと定額配信のSVODの
二つのサービスを選択できるようにして、ユーザーの選択幅を広くする形をとっています。
視聴数の多いアニメ・映画の品揃えをさらに充実して、
独身男性の利用が多いアダルト作品に関してもコンテンツを増やし、
ユーザーの定着・拡大を図っています。
今後はU-NEXTオリジナル動画をさらに強化し、
ユーザーの好奇心をくすぐる作品の増加も進められています。
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