おとり効果を活用することで変わる人の判断力。どんな実験データがあるのでしょうか。

おとり効果とは

おとりというと、おとり漁、おとり捜査という言葉が思い浮かびますが、

心理学、マーケティングではおとり効果という言葉が使われています。

おとり効果とは、選ばれることがまずないと思われる選択肢を敢えて紛れ込ませることで

人の判断に変化を与える効果のことを呼んでいます。

二つある選択肢で、どちらを選ぶか迷っている人がいるときに、

選択肢を一つ増やすことで選択肢を絞りやすくする効果というのは、松竹梅の法則と呼ばれるものがあります。

しかしおとり効果の場合は、選んでほしい商品が二つの選択肢で迷っている顧客がいた時、

選んでほしい商品に比べて明らかに魅力の乏しい選ばれることのないものを提示します。

そうすると、迷っていた顧客は選んでほしい商品を選ぶ可能性が大きくアップします。

 

 

https://staseon.com/library/article_464/

おとり効果と行動経済学:おとりを上手く使えば、あなたの仕事はさらに輝く!/STASEON

 

 

おとり効果には、人が物事を判断するときに

別のものを判断基準として検討する傾向があることを活用した方法です。

実際に検討される選択肢の二つの内容や数値は全く同じでも、

大きく異なる内容・数値のものを選択肢に加えることで、一つのものをより良く見えてきます。


二つから一つを選ぶ場合に、どちらにもメリット・デメリットがあり、

その優劣を簡単に決められないということは多くの人が経験していることでしょう。

商品・サービスを選ぶ場合は、大概はすべて揃っている高いものと最安値のお得なものという

二つしかないと金額の高さに悩み、質の低下にも悩むことでどちらも選びにくくなる傾向にあります。

 

 

二つの選択肢に人は大きく悩む


 

 

しかし、そこにもうひとつ選択肢が加わると判断が大きく変化して選びやすくなるのです。

安い方に導きたい場合は、明らかに内容の悪い選ばれるはずのないプラン・商品を提案します。

高い方に導きたい場合は、明らかに値段の高いプラン・商品を提案します。

このように選択肢を追加すると、主として選んでほしいものへと導くことが可能になるでしょう。

マーケティング戦略の中でも、おとり効果は多く活用される心理的効果の一つとなっています。

 

 

選択肢が一つ増えることで選びやすくなる事がある

 

 

おとり効果の著者、有名人について

明らかに内容・数値などが劣る選択肢を、

おとりとして混ぜることで選んでほしい選択肢に導くことをおとり効果と言います。

おとり効果は、経済学の書籍や心理学の書籍にも多く使われていますが、提唱者ははっきりとは分かっていません。

様々な実験や検証がされてきたおとり効果ですが、

2018年に北米のコロラド大学デンバー校が中国科学院の研究者とともに、おとり効果を検証する実験を行いました。

 

 

興味深い実験結果がでた

  

  

この実験では、食品工場で衛生管理を徹底するために消毒剤を作業場に置いているが

使用率が上がらなかったため、使用率の向上を目的として行われました。

実験開始から20日間は、スプレーボトルに消毒剤を入れて作業者に使わせるようにしました。

一般的な霧吹きタイプで、消毒剤はとても使いやすくなっています。

この最初の20日間では、使用率は約60%という結果になりました。

その後、次の20日間ではスプレーボトルの他にスポーツ飲料を飲むためのボトル(スクイーズボトル)と、

洗面器に消毒剤を入れたものをスプレーボトルの横に並べておきました。

物珍しさから、スクイーズボトル、洗面器で消毒剤を使う人は初めのうちはいましたが、

使いにくさからその二つを使う人はほとんどいなくなりました。

その結果、20日間のスプレーボトルの使用率を調べると、

当初の約60%から約90%と使用率は飛躍的にアップする結果となりました。

おとり効果に関する議論・研究は最近になって更新されています。

最新研究の著書では、視覚的に選択肢が表現されている場合や、スマホ料金のように

競合他社との比較で数値が正確に一緒でない時、おとり効果に変化が見られると提唱しています。

さらに、おとりとする物の魅力が低すぎると効果が引き起こされにくい、ということも確認されています。

 

 

消毒率がアップする結果が出た

 

 

有名な事例

商品やサービスを人が選ぶときに選択肢が二つしかないと判断に迷い、決断力が大きく低下する傾向にあります。


この二つに、三つ目の明らかに劣る商品やサービスを選択肢として追加することで、

選んでほしい選択肢に導く心理的効果をおとり効果と呼びます。

おとり効果は、選択肢の使い方で効果が大きく変化する可能性があります。

有名な事例として、新聞の購読を勧める手法があります。

 

 

営業、マーケティングに使える実験データがある

 

 

最初の選択肢は、「インターネットのみ」と「インターネット+紙媒体」の二つで、

「インターネットのみ」が2000円、「インターネット+紙媒体」が5000円です。

この選択肢から選ぶ場合は、「インターネットのみ」を選ぶ人は60%以上と、

料金が安い方を選ぶ傾向にあることがわかります。

そこで「紙媒体のみ5000円」という選択肢を追加して同じように調査をしたところ、

「インターネット+紙媒体」を選択する人が約80%と、比率が大きく逆転する結果となりました。

この検証では、最初の二つの選択肢には何の変化もありませんが、

同じ金額で内容の悪い紙媒体のみが追加されたことで、

「インターネット+紙媒体」がお得なサービスのように錯覚し、選ぶ人が増えたということになります。

 

 

https://uxdaystokyo.com/articles/glossary/decoy-effect/

おとり効果/UX TIMES

 

 

中身に何の違いもないのに、選択肢が一つ増えるだけで結果が大きく異なることは、

人が情報を合理的にではなく感覚的に判断していることが影響しています。

最初から三つの選択肢を提示し、真ん中に選んでほしい選択肢を置く方法を、

松竹梅理論(極端回避の法則)と言いますが、この松竹梅理論と組み合わせると、より誘導しやすくなります。

例えば、定食屋などでお昼の日替わり定食をサービス定食にしていることが多く見られます。


当初は激安の500円とスタンダードな700円の定食を提供していたとすると、

多くの人は500円の定食を選ぶ傾向にあります。

しかしお店として700円の定食をもっと選んでほしいと考えた時は、もう一つ1000円の定食を追加します。


すると松竹梅理論が人の中で発動し、700円の定食を選ぶ人が多くなるのです。

初めは二つで後で三つにするか、最初から三つにするかは商品やサービスの内容によって異なりますが、

うまく使い分けることで誘導しやすくなるでしょう。