プラスにもマイナスにもなりえるザイアンス効果を上手にマーケティングに活かそう
ザイアンス効果とは
心理学で検証された行動を経済学に活用することが行動経済学の考え方ですが、様々な法則や理論が存在します。
ザイアンス効果と呼ばれる理論は、マーケティングに幅広く活用されています。
ザイアンス効果とは、「同じものに何度も接する」または「同じ人に何度も接する」ことで、対象の人・ものに対する警戒心が薄れていき、良い印象を持つようになる効果のことを指します。
心理学で検証されている法則として知られていますが、単純接触効果という呼び方をされることもあります。
結婚したカップルが、最初はお互い特に興味をもっていなかったのに、何度も会ううちにお互いに対して印象が強くなり、いつの間にか惹かれあうようになった、などという話もよく聞きます。
人・ものに対してはもちろん、音楽や動画などにも当てはまります。
例えば同じ曲を何度も繰り返して聴くうちに、その曲のことが好きになったり、同じ動画を観るうちに興味が湧いてきたりすることも、ザイアンス効果のひとつです。
単純接触による効果には、良い面と悪い面の両方があります。
つまり何度も接触するうちに、すごく興味を持ったり好きになったりする反面、見るのも嫌になったり嫌いになってしまうこともあります。
ザイアンス効果が人に起こる要因はいくつかありますが、一番は安心感を覚えるからです。
初めて見る人やものよりも一度見たことがあるという事実は不安を和らげ、なんとなく安心することがこの効果を生み出しています。
他にも、単純接触を繰り返すことによって相手側から情報が開示されてくることがありますが、それに対して自ら自己開示をする返報性が生まれ、ザイアンス効果がより強くなっていきます。
既に知っているという意識からドーパミンが放出されやすくなることも、ザイアンス効果に繋がることが検証されています。
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ザイアンス効果の著者、有名人について
接触回数が単に増えるだけで、接触した人から好意を持たれやすい、ということがザイアンス効果です。
ザイアンス効果は、アメリカの心理学者のロバート・ザイアンスによって提唱された法則です。
ロバート・ザイアンスは、1923年にポーランドで生まれました。
ナチスドイツのポーランド侵攻時の空爆によって両親を失うという悲劇を味わい、その後も強制労働キャンプを脱走、送還を何度も繰り返しながらも勉学に励みました。
第二次世界大戦の終戦後、アメリカに移住しミシガン大学で教員として働きながら心理学の研究を行い、数々の理論を提唱しています。
単純接触効果は心理学・行動経済学において重要な役割を果たし、自らの名を冠したザイアンス効果と呼ばれるようになりました。
他にも、グレッグマーカスと共同で研究した、兄弟の出生順や家族構成・規模が知能指数に影響を与えることを検証した集合モデル理論を発表しました。
主な著書に『ソーシャルサイコロジー』がありますが、『共感と顔の特徴』『好き嫌いに理屈はいらない』など、世界で広く議論を呼ぶことになった論文を発表しています。
有名な事例
ロバート・ザイアンスによって提唱されたザイアンス効果は、単純接触を何度も繰り返すことが、好印象・高評価に繋がる効果のことで、マーケティングにも広く活用されています。
ザイアンス効果は、顧客(ユーザー)を引き付ける効果のある法則としてビジネスに活用されていますが、専属の営業マンが企業に定期的に訪問して有益な情報を提供するのは、ザイアンス効果を生かした営業活動の代表と言えるでしょう。
最初のうち有益な情報を何度も提供していると、営業マンから伺わなくても顧客側から連絡が来るようになることも十分起こりえます。
ザイアンス効果を有効に活用した事例は、これまでにたくさん存在しています。
ある有名ECサイトが、男女同数の人にWeb広告に関するアンケートを行いました。
同じWeb広告を1日に1~3回、3~5回、5~7回、7回以上で悪い印象を持つかどうかを聞くと、3~5回が43%と最も悪い印象を与えていました。
自分にとって重要ではない情報と何度も単純接触すると、しつこく勧誘されているようなイメージになることが分かります。
Web広告に関するアンケートは活用方法として失敗した事例ですが、TVコマーシャルはザイアンス効果の有効性が大きいと言われています。
テレビCMでは、印象に残りやすいキャッチコピーやセリフが重要なポイントになります。
会えば会うほど好きになる「ザイアンス効果」とは? ビジネスでの活用法/マイナビニュース
テレビ番組の間で短時間ですが、何度も流れることでキャッチコピーの言葉が耳に残り、興味を持つことになります。
全体の流れも大事ですが、インパクトのあるセリフ・キャッチコピーが効果を大きくするために不可欠です。
Webマーケティングでも、ザイアンス効果によって認知度・注目度を上げている事例はあります。
スマホ利用時のプッシュ通知は、ザイアンス効果の大きい事例の一つです。
特に面倒な手順もなく、プッシュする回数も多くなるため利便性が高く、そこから得られる情報に好印象を持ちやすくなっています。
ツイッターやインスタなどの投稿も、ザイアンス効果が高い傾向にあると言えるでしょう。