怖くても見たい、辛くても食べたい、そんな人間の欲求はマーケティングにも活かせます。

カリギュラ効果

マーケティングの世界では、商品・サービスを良く見せることが効果的と考えられています。
しかし人間は、時に逆の考えで行動することも珍しくはなく、そのような面をマーケティングとして活用するシーンも見られます。


カリギュラ効果はその代表的なものになり、この効果によって成果を挙げている商品やサービスもいくつか存在しています。
カリギュラとは1980年頃に上映された映画で、ローマ史上最悪・最狂の皇帝カリギュラを題材にした作品で、内容の過激さから上映禁止になる地域が多くありました。

このことがテレビや新聞で話題になり、その過激な内容見たさに映画館を訪れる人が増えて、大ヒットしたことで知られています。
カリギュラ効果とは、このように悪いものや禁止と言われたものに対して、逆に興味を持って行動してしまう人間心理のことです。
世界一辛い香辛料を使っていると聞くと食べてみたくなる心理も、この効果と考えられます。
絶対人に言ったら駄目という話は広まりやすいというのは、まさにカリギュラ効果の表れと言えるでしょう。
ホラー映画がヒットする傾向が強いことから、効果があることも理解できるのではないでしょうか。

一貫性の法則

行動心理学の考えの中で、多くの人が持っている考え方の一つが、一貫性の法則と呼ばれるものです。
一貫性の法則とは、自らの発言・行動・態度などに常に一貫性を持たせていたいと考える心理的な傾向の法則で、理想を求めるときに起こりやすい状態と考えられます。
状況に応じて態度を変えたり、発言が二転三転したりすると周囲からも批判されることが多くなります。
矛盾のない、一貫性のある状態を支持する人の方が多い傾向にあると考えられます。
一貫性がある方が他人から認められるため、マーケティングにおいてもメリットが多いと考えられます。

信頼できると思われる人の方が、社会生活を送る上でプラスになるという心理が人間には働くことになり、多くの人がこの行動を行おうとすることが推察されます。
一貫性を持っている方が、結果的に得をすると思って正しい行動を取ろうとするのですが、一貫性を保てばすべてにおいて得するとは限りません。
例えば「人に嫌われるかもしれないから一貫性を貫く」、「おかしな風に思われるのが嫌だから一貫性を保つ」などの場合は、消極的な一貫性でこの考えが周りから支持されることはあまりないように推察されます。
マーケティング的な手法としては、相手が望むような条件をまず先に提案し、承諾した後に理由をつけて少し条件を有利にするローボールテクニックなどが有名です。

赤ちゃんを見ると人は警戒心を緩める

ベビーフェイス効果

行動心理学でマーケティングアプローチとして活用される手法と言えるのが、ベビーフェイス効果と呼ばれるものです。
ベビーフェイス効果とは、赤ちゃんを見たときにその可愛さに親近感を持ち、警戒感が緩んで安心感が強くなることなどを呼んでいます。
赤ちゃんは可愛くてか弱い存在で守ってあげなければいけない、と人間は考えますが、その心理そのものがベビーフェイス効果と考えられます。
ベビーフェイス効果が人間に働くのは、ベイビースキーマの存在があるからに他なりません。
人間の赤ちゃんはもちろんですが、動物の子供の多くは大きな丸い目と丸い顔を持っています。

この特徴をベイビースキーマと呼びますが、このような可愛らしさを感じると人は本能的に「守りたい」と思うと推察されます。
見た目が可愛いと、人は怒りや不安などの感情が抑制されますが、これがベビーフェイス効果の大きな特徴と考えられます。
マーケティングにおいては、この効果を活用することは大きなメリットがあると言われています。
商品のイメージキャラクターに可愛いキャラやゆるキャラが 採用されるのも、ベビーフェイス効果を狙ってのものと考えて良いでしょう。

ウィンザー効果

行動心理学における心理現象のひとつに、ウィンザー効果と呼ばれるものがあります。
ウィンザー効果とは、何かを言われたときに信頼性・信憑性が、より高くなる心理現象のことを呼んでいます。
直接自分自身に伝えられたことよりも、第三者から間接的に伝えられた方が信頼度が増す効果があるというのが、ウィンザー効果ということになります。
例えば上司から直接「期待しているよ」と言われるのも悪い気はしませんが、別の人から「上司があなたに期待していると言っているよ」と言われた方が、より信憑性が高くなると感じられます。

このウィンザー効果の由来は、伯爵夫人はスパイというミステリー小説のセリフからと言われています。
そのセリフが「第三者の誉め言葉はどんな時でも一番効果があるのよ」で、まさに上記の状況と同じと言えるでしょう。
ネット情報が進んでいる現代では、口コミサイトや他人のレビューを参考にする人が多くなっており、このウィンザー効果を上手に活用することが、マーケティング戦略としても重要と考えられます。
これは第三者で利害関係が全くない人の情報により、信頼・信憑性があると考える人が多いことを顕著に表したものと言えるでしょう。