礼儀正しい日本人向けのビジネスをするならその習性を学ぼう

返報性の原理とは

人から何かをもらったり施しを受けたら、自分自身も何かお返しをしないといけないと思う人は大勢います。
このように、もらったことに対してお返しをしなければ、と考える心理現象を返報性の原理と呼びます。

「結婚式に友人や同僚から招待されたら自分の結婚式にもその人を招待する」と考えることや、「誕生日プレゼントをもらったら相手の誕生日にもプレゼントをお返しする」と考えることなども、返報性の原理となります。

 

 

日本人は律儀な人が多い

 

 

最近は少なくなったと言われますが、会社でバレンタインデーに女性社員からチョコをもらったら、相当のお返しをするということも、同じ心理になります。
日本では、返報性の原理に当てはまるような風習がたくさん存在します。
例えば、お歳暮・お中元、年賀状や暑中見舞いなどがありますが、日本人には元々風習として返報性の原理が染みついていると考えても良いでしょう。
返報性の原理と似たような心理現象に、一貫性の原理というものがあります。
一貫性の原理とは、自分の行動に矛盾が起こらないように、一貫して決まった行動を行う心理現象のことです。

 

 

 

 

無料のサンプル提供の案内を受けた時に「はい」と返答をして使用し、その商品の購入を促されたときにも「はい」と返答する、という行動・心理は一貫性の原理から起こります。
無料サンプルの提供を受けた時にプレゼントされたと考え、購入の案内を受けた際にそのお返しとして購入する、というのが返報性の原理から発生する心理行動となります。
最終的に購入するという結果は同じですが、そこに至るまでのシチュエーションや心理状態は大きく異なり、一貫性の原理と返報性の原理の違いがこの例えで理解できるでしょう。

 

 

https://ferret-plus.com/4756

無意識に行動に表れている「一貫性の法則」を解説/ferret

返報性の原理の著者、有名人について

返報性の原理は、人から親切にしてもらったり好意を向けられたときに、お返しをしないといけないと自然に思う心理のことです。
この返報性の原理は、アメリカの心理学者ロバート・チャルディーニの「影響力の武器」という書籍の中で、1984年に紹介されました。
返報性の原理について、この本の中では4つに分類して説明が行われています。

・「好意の返報性」好意を相手に示すと、同じように相手から好意を示される
・「悪意の返報性」悪意を相手に示したり嫌がることをすると、同じように相手から悪意を持った仕返しがある
・「譲歩の返報性」自分から譲歩すると相手も譲歩しやすくなる
・「自己開示の返報性」自分から心を開くと、相手も心を開いて話すようになる

  

  

納得の分類だ

 

 

返報性の原理を初めて紹介したロバート・チャルディーニは、1945年にアメリカで生まれ、1967年にウィスコンシン大学で理学士号を取得しています。
その後、ノースカロライナ大学で社会心理学を学び、コロンビア大学、オハイオ州立大学、カリフォルニア大学等で心理学を学びます。
1984年に発刊した著書「影響力の武器」で、マーケティングや心理学の権威としての地位を不動にします。
この著書の中で、チャルディーニの法則として解説されたうちの一つが返報性の原理です。
他にも、一貫性の原理・社会的証明・希少性・プロスペクト理論など、細かく分類して証明しています。
数々の著書をその後も発表し、アメリカ科学アカデミーの会員に選出されています。

 

 

https://biz-shinri.com/dictionary/reciprocation-of-rule

返報性の原理(法則)とは/ビジネス心理学 株式会社エッセンシャル

 

 

有名な事例

返報性の原理は、ロバート・チャルディーニが提唱するチャルディーニの法則の中の行動原理の一つです。
マーケティングに多く活用されていますが、日常生活も含めて多くの事例がこれまでに残されています。
マーケティングの事例としては、サンプルの配布、初回割引特典などが返報性の原理を生かしたものになります。
初回割引・無料、やサンプルを無料配布すると受け取った相手は自分が得していると認識し、返報性の原理が働いて通常商品を購入する可能性も高くなります。

 

 

タダより高いものはない、というケースも

 

 

デパートの地下食品売り場では試食品がたくさん置かれていますが、これなども返報性の原理を活用した手法です。
試食だけして何も買わないというのは自分だけが得しているように感じられ、何か商品を買って帰るという返報性の原理が働きます。
試着サービスも、同じような効果があるのです。
試着を何着もしたとしても必ず購入しなければいけないわけではありませんが、丁寧に対応してもらったり、時間を取らせてしまったという気持ちも強くなり、購入する人は自然と増えます。
返報性の原理は、日常生活にも習慣として浸透しているものもあります。

 

 

食べるだけで終わらないケースも多い

 

 

例えば、日本ではお中元やお歳暮を贈る習慣がありますが、これも先に送ってもらうと、きちんとお返しをするのが日本では礼儀で、返報性の原理の代表的な事例だと思います。
誕生日にプレゼントをもらったり、バレンタインデーにお菓子を貰ったらお返しをすることが当たり前になっています。
日本人は特に礼儀を大事にするところがありますが、施しを受けたままでは借りがあると感じ、早く借りを返さないと落ち着かないので早く返したい、という心理が働きます。
このような日本人の習慣や性質を活用した手法が、マーケティングでは効果的です。