世界を牛耳る世界銀行の歴史を見てみよう④シティグループ(Citigroup Inc.)

シティグループ(Citigroup Inc.)

本社をマンハッタンに置いているシティグループは、1998年にシティコープとトラベラーズ・グループの合併によりできた企業です。
シティグループの前身が、1812年設立のシティバンク・オブ・ニューヨークという企業で、1890年代までは米国最大の銀行と言われていました。

その母体は商業銀行だったのですが、近年では投資銀行化の色彩を強めており、米国や欧州ではM&Aアドバイザリー業務等、投資銀行部門において、ゴールドマン・サックス等他の大手投資銀行と肩を並べるまでに成長した金融機関です。

シティグループの歴史

シティグループは1998年、シティコープとトラベラーズ・グループが合併して誕生した企業です。
シティコープは100ヵ国近くで銀行業務を展開していた多国籍企業でした。
一方トラベラーズ・グループはクレジットカード・消費者金融・証券・保険などに幅の広い金融サービスを提供していた企業でした。

1998年に行われた合併ですが、この合併は非合法的なものと言われていました。
当時、グラス・スティーガル法(世界恐慌時に金融混乱を受けて制定された法律)という規制があり、銀行と保険会社が一体化することは禁じられていたのです。
しかし、各企業の顧問弁護団がこのグラス・スティーガル法を研究した末に、2年間の猶予期間に保険部門を売却することを条件に銀行と保険会社が合併することができるという条項を発見しました。
そこで弁護団は、この2年間で法を変えることができると考えたのです。
その結果、1999年に法律は見事改正され、今までの規制に変わり、グラム・リーチ・ブライリー法が成立し、グラス・スティーガル法は無効となりました。

サムプライムローン・リーマンショック問題

サムプライムローン問題が表面化し、メリルリンチやUBSなどをはるかに超える世界の金融機関の中でも最大規模となる莫大な損失を被り、株価が暴落しました。
この責任を取り、チャールズ・プリンス会長兼最高経営責任者が辞任し、2007年4月に経費の削減と低迷が続いている株価の回復のため、シティグループは全従業員の5%にあたる1万7千人の雇用を削減することとなりました。

さらに2008年に金融業界を震撼させたリーマン・ブラザーズの破綻(リーマンショック)ですが、この影響により金融危機が拡大し、その余波によりシティグループの業績にも大きな悪影響を及ぼす結果となりました。

日本におけるシティグループ

1999年に米国のシティグループと当時の日興証券の合併により、日興ソロモン・スミス・バーニー証券株式会社が設立されました。
当時はホールセール専業証券会社でしたが、2003年に日本法人に営業権を譲渡したために、翌年より「日興シティグループ証券株式会社」として営業が開始されました。
2009年に会社分割を実施し、法人金融本部と資本市場部を、三井住友ファイナンシャルグループである日興コーディアル証券に継承させることにより、シティグループ証券株式会社に商号が変更となり現在に至っています。