ワンマン経営からの脱却の為に奔走し、問題を抱えつつも経営安定に進み続けるホールディングス
西武ホールディングスについて
埼玉西武ライオンズは一時期プロ野球で黄金時代を築き上げた球団ですが、その西武ライオンズ、
西武鉄道、プリンスホテル等を傘下としたグループ企業が西武ホールディングスです。
元は創業家一族の堤義明氏を社長とする西武グループが前身でしたが、
西武鉄道に置いて有価証券報告書虚偽報告という大きな事件が発生し、
堤氏のワンマン経営からの脱却を図ることを目的として設立しました。
企業としての信頼を大きく損なうトラブルを起こした企業体質を一から改善しグループ全体の
経営再建を目的に設立した西武ホールディングスですが、信頼を勝ち取るには多くの時間を要しました。
西武ホールディングスが正式に設立するまでには、いくつかの手順が必要になっていました。
まず持ち株会社のNWコーポレーションを設立し、
堤家が持つコクドの株式をNW社へ交換を実施します。
その後コクドは、アメリカの投資ファンド及び日興系ファンドに第三者割当増資を行います。
再建に必要な資本の増強が目的ですが、同時に堤家の出資比率を大きく下げ、
影響力を低下させることも目的としていました。
そしてプリンスホテルがコクドを吸収合併、
西武鉄道は自社の持つホテル事業をプリンスホテルに譲渡します。
最後にプリンスホテルが西武鉄道に対し株式交換を実施することで、
西武鉄道は完全子会社となります。
これらの手順を経て2006年2月に株式会社西武ホールディングスが持ち株会社として設立し、
同時にプリンスホテルの株式がホールディングスに移転、西武鉄道、
プリンスホテル共に西武ホールディングスの完全子会社になりました。
設立から約10年後の2014年に東証一部に再上場を果たし、現在に至ります。
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西武ホールディングスの事業内容
西武グループの再建を目的に誕生した西武ホールディングスは、
現在80社にも上る会社により構成されています。
主な会社としては、西武鉄道、西武ライオンズ、プリンスホテルのほか、
横浜アリーナや横浜八景島などの国内企業があります。
海外には合計36の会社があり、グループを形成しています。
西武ホールディングスの事業内容は多岐に渡っていますが、鉄道、バスなどの運輸サービス、
ホテル、遊園地、球団運営などのレジャーサービス、
不動産を含む建設事業などを主にサービスを行っています。
鉄道・バス・ハイヤーと旅行やビジネスでの移動に必要なツールは、
西武沿線でのレジャーには欠かせないもので、西武遊園地で遊んだ後、
西武ライオンズの試合観戦する時にも大きく役立ちます。
グループ内には伊豆箱根鉄道があり、
人気観光地の伊豆・箱根のレジャーの際の足として活用されています。
旅行先や仕事先での宿泊施設として、プリンスホテルを代表とするホテルのサービスや
身体を休める温泉・スパ施設も数多く運営しています。
この他、快適な暮らしを実現するマンション等の不動産事業、
日常生活に欠かせない商業施設の運営もホールディングス内の企業が行っています。
私たちの生活に関わる多くの事柄にホールディングス全体が関わっている印象です。
企業一覧/西武ホールディングス
西武ホールディングスの初値と評価
西武ホールディングスは前身の西武グループが不祥事により上場が廃止され、
グループ全体の再建を目指して新たに立ち上げられた持ち株会社でした。
設立から約10年の帰還が必要となりましたが、2014年に無事再上場を果たすことになりました。
再上場においての公開価格は1600円で、注目を集めたことから
一時1699円まで上昇した時間帯もありましたが、最終的に公開価格と同じ1600円が初値となります。
初値ベースでの時価総額は約5470億円と、この年の上場の中では最大となっていました。
関東エリアの私鉄と比較すると、東急、小田急に次ぐ金額で、東武鉄道を上回る結果になりました。
西武ホールディングス/MINKABU
西武ホールディングスの事件
西武ホールディングス設立を語るうえで外すことができないのが、
前身の西武グループで起きた有価証券報告書虚偽報告の大きな事件です。
この不祥事が発覚した2004年当時は、
創業家一族の堤義明氏によるワンマン経営が表面化していました。
西部セゾングループと西武鉄道グループの兄弟間の確執が週刊誌で大きく取り上げられるなど、
マイナスのイメージが付きまとう事態となっていました。
東証では、株式の流動性確保及び適正な株価形成を目的として大株主10社の合計持ち株比率が
80%を超過した状態で1年を経過した場合、上場を廃止するという規定があります。
ただ、この事件が起きた当時、西武鉄道はコクドを含む大株主10社の持ち株は80%を
優に超える状況となっていましたが、その状況を隠蔽するため虚偽記載を行っていました。
これが発覚し、西武グループは上場廃止となり、創業者一族との決別、
再建を目的に西部ホールディングスが誕生します。
西武ホールディングスの不祥事としては、2020年に西武建設を含む子会社4社が
従業員の建築に関する国家資格に必要な実務経験を偽装し、取得していたことが発覚しました。
「毎日のおかずにも事欠いて弁当が真っ白なんだ」西武グループ創業者の元に生まれた堤清二が送った“奇妙”な生活/文春オンライン
西武ホールディングスのその後
堤義明氏が経営の実権を握っていた当時の西武鉄道の持ち株数は正確には分かりませんが、
長期間にわたって虚偽記載が行われていました。
このことが発覚し、西武グループは上場が廃止され、
企業としての経営状態も不安定な状況が続きました。
西武ホールディングスが設立され、負の遺産を清算するために多くの方が努力をされましたが、
その間に堤義明前会長とコクドに対する損害賠償訴訟、アメリカの投資会社とホールディングスでの
経営権をめぐる争いなど、様々な問題を解決しつつ経営の安定化に向けて推進していました。
2021年時点での資本金は500億円、発行済株式の総数は約3億3246万株、
売上高は約3370億円、経常利益は約588億円となっています。
今後の経営計画・戦略/西武ホールディングス