役員の違法取引など問題もあったが、今後の発展に期待が寄せられる上場会社

エスクロー・エージェント・ジャパンについて

日本のビジネスでは手続き業務が分業化されていることが多く、

法的な書類も複雑化する傾向があります。
不動産取引では特にその傾向が顕著ですが、その複雑な分業制を改善する

ワンパッケージサービスを展開しているのが、エスクロー・エージェント・ジャパンという会社です。

当初は創業者の出身地新潟で登記許認可事務所として設立し、

2004年に不動産取引支援事業を中心とする『株式会社アイディーユー総合事務所』を設立します。

 

 

幅広く事業展開している

 

 
その後、2007年に東京の日本橋に『エスクロー・エージェント・ジャパン』法人を設立し、

金融事務支援事業も開始しました。
支援業務の範囲は年々広くなっていき、人材派遣事業、司法書士支援、

業務依頼オペレーション管理士システムなども開始します。
2010年に本社を八重洲に移転し、満を持して2014年にJASDAQに、

2016年には東証一部に上場を果たしています。

 

 

https://www.ea-j.jp/

HOME/株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン

 

 

エスクロー・エージェント・ジャパンの事業内容

国や地方自治体に提出する書類の多さは業務の効率を下げ、間違いを誘発することに繋がります。
不動産業界では有資格者別に業務が複数あり、分断した作業によって効率を大きく下げています。
エスクロー・エージェント・ジャパンでは、売買契約から取引決済までの間で行われる

煩雑な分業体制をサポート・コーディネートする、ワンパッケージサービスを提案しています。

 

 

素晴らしい提案に期待したい

 

 
ワンパッケージ化の大きなメリットは業務の効率化、取引の安全性向上、利便性の向上など、

関係者にとってプラスになる要素が大きく高い評価を得ています。
提供するサービスは多岐に及んでいますが、

特に有資格者の行う業務(士業専門家向けのサービス)に力を入れている傾向にあります。
不動産事業はもちろん、金融機関、建設事業者のほか、

一般顧客向けのサービスまで幅広いサービスで顧客満足度を高めています。

 

 

https://www.ea-j.jp/service/concept.html

事業コンセプト/株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン

 

 

エスクロー・エージェント・ジャパンの初値と評価

日本でのエスクロービジネスの先駆けとして業務を行っている

『エスクロー・エージェント・ジャパン』は、2014年に上場を果たしています。
上場時の公開価格は2700円でスタートしました。

 

 

素晴らしいスタートを切った

 

 
売買単位は100株で公開株数の合計は184000株、

公開当初から投資家の評価は高く、初値は8090円まで上昇することとなっています。
公開価格の約3倍という上々のスタートを切ることに成功しました。

  

 

https://minkabu.jp/stock/6093/ipo

エスクロー・エージェント・ジャパン/MINKABU

 

 

エスクロー・エージェント・ジャパンの事件

不動産取引、金融商品の信託等の取引を寄託するサービス事業の先駆者として注目を集め、

東証に上場を果たした『エスクロー・エージェント・ジャパン』ですが、

2018年に証券取引において違反行為が発覚する事件がありました。
同社役員から情報を取得した内部の者及び同役員が、株式の分割に関する重要情報を知りながら

同社株100株を買付したことが違法として認定されています。

 

 

役員が重要情報を悪用した

  

 

またエスクロー・エージェント・ジャパンに属している企業集団の売上高の公表に関して、

投資家の投資判断に大きく影響を及ぼす数値に置いて、事実との差異が生じる事実が確認されました。
株式の分割情報、業績予想の上方修正、配当予想の上方修正等、

一般の投資家に悪影響を与えるような事象が2017年から2018年に立て続けに発覚し、

株価の低下を招くことになりました。
上場開始当初は公開価格を大幅に上回る初値を記録するなど好調なスタートを切りましたが、

株式投資における問題を起こしたことから、株式の価格は低調な数値で停滞する結果となり、

その状況は改善されていません。

 

 

https://www.fsa.go.jp/news/30/shouken/20180424-5.html

株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン役員からの情報受領者による内部者取引に対する課徴金納付命令の決定について/金融庁

 

 

エスクロー・エージェント・ジャパンのその後

金融取引法に触れる不祥事を起こした『エスクロー・エージェント・ジャパン』ですが、

信頼を取り戻すべくサービスの充実を図っています。
アメリカで誕生したエスクロービジネスの日本版モデルとして幅広いサービスを展開していますが、

不動産取引以外の業種へと事業を拡大する傾向があります。
エスクローは第三者寄託という意味がある言葉でエスクロービジネスは、

金融商品取引、不動産取引において、中立性の高い第三者が決済・確認を代理で行うサービスです。

 

 

今後の展開に期待したい

 

 
アメリカでは1947年に誕生して以降、不動産取引の専門サービスとして全米に普及し

成長を遂げてきていますが、日本の法律や行政にフィットするエスクロー業務には課題が多く、

現在も最良なサービスを求めて改善をしています。

不動産取引において、取引決済、手続きは対面が日本では大前提でしたが、

課題を整理し改善することにより、非対面化を実現しています。
複雑な手続きをワンパッケージ化し、利便性の向上、効率性の向上にも努めてきました。
不祥事によって失った信頼を取り戻すために安全性の向上も図り、

不動産業以外の業種のサービスの拡充にも取り組んでいます。
今後ますます非対面サービスが増えることが予想されていますが、

デジタル化、自動化が進む社会に対応するサービスを進めていくことも期待されています。

 

 

https://kabutan.jp/news/?b=k202210070006

エスクロー・エージェント・ジャパン/Kabutan by MINKABU