デメリットがあるにも拘わらず、確率の低いメリットに希望を感じ行動する人間の心理は面白い。

プライムプロスペクトとは

その昔、欧米の経済学の研究では、

人は常に合理的な考えで行動することを基本として理論が提唱されていました。
しかし多くの人が実際に経験しているように、

時に人間は非合理で不確実な意思決定によって行動することがあります。

過去の経済学のような固定観念を持たずに、

人の経済的な活動・行動を研究・実証するのが行動経済学の考え方です。
プライムプロスペクトは、この不確実な意思決定について検証された理論になり、

プロスペクト理論とも呼ばれています。

 

 

様々な角度から検証された。

 

 

行動経済学の中では最も有名で、多くの研究者がこの理論による実験を行っています。
これまでの経済学では、人の考えや行動を必ずこうなるというような、

現実とはかけ離れた理論が提唱されていました。
実際に私たちが判断した選択や行動に絶対はなく、時に間違った行動で損失を被ることもあります。
ギャンブルで大勝ちすることもあれば、失敗して大きな損失を被ることもあります。
雑誌や口コミサイトを見て、飲食店に行っても必ずおいしいとは限りません。
株式やFXによる投資でも、必ず利益が出るとは誰にも保証はできません。
投資家すべてが利益を上げることになれば、金融関連企業はその存在価値も無くなってしまいます。

つまり損をするか得をするか、利益が得られるか損失を被るかについては、

どちらの可能性が高いかの確率によるものです。
このように確率で判断するような状況において、

人がどのような意思決定・決断を下すかを理論として検証したものが、プロスペクト理論になります。
ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンと

エイモス・トベルスキーによって提唱されたこの理論は、

現在のビジネスにおいても、様々な業種でマーケティングに活用されています。

 

 

https://www.hojosen.co.jp/blog/6507/

この人の話を聞いてはいけない~マーケターが設定すべきもう一つのターゲット/ホジョセン

  

  

説明用の例や事例

私たちの行動や活動にはすべて意味があり、

合理的な判断をすることが当たり前だと、昔の経済学では考えられていました。
しかし、実際の人間の行動には、個人の持つ偏った知識や経験が大きく影響し、

必ずしも合理的とは限らないという理論が、現在では一般的になっています。
プライムプロスペクトまたはプロスペクト理論と呼ばれるこの理論は、

行動経済学、心理学の分野で幅広く活用されています。

一般消費者の立場でのわかりやすい例が宝くじです。

 

 

確率は低いとわかっていても、夢を見てしまう。

 

 
年末ジャンボ、サマージャンボなどのコマーシャルで、3億円が当たる夢のくじと宣伝されています。
もちろん前後賞合わせて、1等に当選すれば高額の賞金を手にするわけですが、

宝くじをかった人全員が得するわけではもちろんありません。
逆に大半の人が損をしています。
そうでなければ、宝くじを運営するところは赤字になって何のメリットもありません。

例えば、宝くじの1等賞の当選金額が1万円とか2万円だとしたらどうでしょう。
当選する確率は高いかもしれませんが、当たらないような気がします。
だから買わない人が多くなりますが、ジャンボ宝くじは3億円が当たる可能性があります。
もちろん当選する確率ははるかに低くなりますが、当選した時の利益の高さが大きな魅力となって、

ほとんど当たらなくても多くの人が購入しているのです。
プロスペクト理論では金額が大きくなるほど、

リスクが高くても人は受け入れる確率が高くなると論じられています。

  

  

https://schoo.jp/biz/column/1235

プロスペクト理論とは?意味や概要、マーケティングでの活用法を解説/Schoo for Business

 

 

マーケティングとして活用できる点

一般的に人は損失を恐れてリスクを避ける傾向にありますが、

それぞれの人が持つ価値観や経験がバイアスとなり、リスクがある方を選ぶことがあります。
論理的ではない行動をとる状況のことを、プロスペクト理論と言います。
このような人の行動や法則は、マーケティングの戦略としても活用されています。
この理論には、損失回避性・感応度逓減性・参照点依存性という基本的な3つの原則があります。
損失回避性は、損失によって起きる苦痛の大きさが利益によって得られる満足を上回るため、

利益より損失回避を選ぶ心理的な現象のことです。

失う悲しみや苦しみは、喜びよりも人は強く感じてしまうこと、大きな関係があることの表れです。
感応度逓減性は、利益や損失が大きくなればなるほど喜びや悲しみの感覚も同時に鈍くなる、

心理的な現象を言います。

 

 

得られるものと失うものを感情の天秤にかけて考える。

 

 
3つ目の参照点依存性は、ある一定の数値を基準とし、

その数値からの変化により損得判断をする傾向にあります。
1/2で1万円がもらえるか、払うかという2つの選択肢では損失回避性が働き、

多くの人はこの賭けを回避します。
1/2で100万円がもらえる賭けと、確実に50万円もらえるのどちらかを選択する場合には、

感応度逓減性により、ほとんどの人が50万円もらえる方を選びます。

100万円を確実にもらった後、1/2でさらに100万円がもらえる賭けと、

追加で50万円がもらえるのどちらかを選ぶという場合がまず1問目になり、

100万円を確実にもらった後、1/2で50万円を払う、

あるいは25万円を確実に払うのどちらかを選ぶのが2問目です。
この二つの場合は、1では確実に50万円もらう、

2では1/2で50万円もらえるを選ぶ人が大半になります。
1では感応度逓減性が働き50万円もらうを選びますが、2の場合は損失回避性による苦痛よりも、

感応度逓減性による苦痛が低くなり、リスクよりも利益が高くなる可能性を求めます。
この3つの行動心理をマーケティングに活用することが、商品の売り上げアップに繋がります。