誰もが知っているあの大企業も失敗を経て成功した事例がある。プロモーション戦略に大切な認知について押さえよう。
非助成認知と助成認知とは
毎年流行したものや言葉についてはテレビ番組で特集したり、流行語大賞を選んだりしますが、
人気の商品や有名人は特別なヒントを与えなくても多くの人が知っています。
企業や個人が商品や人物、言葉などの認知調査をよく行っていますが、
調査の方法は非常性認知と助成認知という二つになります。
非助成認知は、ブランドや商品などについて調査する際に、
ヒントになるような言葉や連想できるような手がかりが全くない状態での認知度を調べたものです。
逆に事前にヒントを与えたり、2択・3択など選択肢を初めから提示して、
認知度を調べるのが助成認知となります。
例えば、ファッションブランドでブルガリ、シャネル、グッチなどの
海外のトップブランドについては、ファッションに興味を持っていない人でも
名前くらいは知っている方が大半です。
しかし個人で販売数が少ないプライベートブランドやデザイナーズブランドに関しては、
商品のクオリティは高くても、ファッション通以外の人は
名前を聞いてもピンとこないことが多くなります。
非助成認知調査と助成認知どちらにもメリット・デメリットがありますが、
商品の認知度調査を行う場合、商品の金額のエリアによって使い分けると有効です。
非助成認知が低かったとすると、調査対象の人の購入確率も低くなる傾向にあります。
逆に日常生活で使用する消耗品などの場合は、
商品のブランド名を並べて選択してもらう助成認知度の高いものを選ぶ傾向があります。
例えば、喫茶店やレストランに行こうと思ったとき、店を決めてない人は誰もが知っているお店、
あるいは普段から利用している知っているお店を選ぶことが多くなるので、
この場合も名称が分かる調査が有効です。
このように価格帯や購入層など、状況に応じた回答方法を選ぶことが重要です。
「純粋想起」とは?~今さら人に聞けないマーケティング用語をおさらい!/SMMLab
説明用の例や事例
商品やブランドの認知度調査には非助成認知と助成認知の二つの方法がありますが、
それぞれに適した購買意欲を高める例を挙げていきます。
非助成認知を高めることが購買へと向かう例としては、高級車を選ぶときがあります。
高級車が欲しいと思ったときに、高級車イコール〇〇というメーカーと
イメージ付けることができれば、その時点で購買する可能性が高くなってきます。
逆にここで○○メーカーというものがイメージされない、
ヒントを与えなければいけない場合には、選択される率も低くなります。
つまり非助成認知の高いメーカーは、高級車が欲しいと思ったときに
イメージすることが多くなり、購買率も高くなるというわけです。
更にデザインや走行性能の特徴や年齢層、男性向け、女性向けなど
具体的に絞り込んでいけるように導ければ、ブランディングとしては成功と言えるでしょう。
続いて、助成認知度の高いものが購買へと繋がる例を挙げます。
どんなものでも基本的には非助成認知が高ければ高倍率も高くなりますが、
物の種類や場面によっては必ずしも非助成認知が高い方が選ばれるとは限りません。
普段から購入する機会の多い日用品や食料品など安価なものは、
助成認知が選択をサポートする可能性が高くなります。
最近はコーヒーショップ・スタンドが多くなり、スターバックスは店舗数が多く人気です。
スターバックスでコーヒーを飲みたいと思ったときに、
近くには残念ながらスタバがなかったとします。
すぐ傍にはファストフードのマクドナルドとサブウェイがあり、
コーヒーを飲むだけならこの2店でも十分な感じがしますが
ドトールの看板を近くで見つけたら、恐らくはドトールに行きたくなるでしょう。
この場合は、スタバと同じカフェということから、
ドトールの看板が助成認知効果を生んで選択したことになります。
https://jp.surveymonkey.com/mp/unaided-vs-aided-brand-awareness-survey-questions/
ブランド認知度アンケートの助成想起と純粋想起の質問: それは何を意味するか?/Survey Monkey
マーケティングとして活用できる点
非助成認知・助成認知が人の購買に大きく影響することは、ビジネスの世界では常識となっています。
マーケティングの分野でも、非助成認知は様々なシーンで有効に活用されています。
近年の日本では栄養ドリンクやエナジードリンクの人気は高く、
これまでに数多くのドリンクブランドが誕生し、
ヒットに繋がるものもあれば戦略のミスなどで消えていったものもあります。
F1のスポンサーとしても有名になったレッドブルは非助成認知を巧みに活用し、
日本でも人気のエナジードリンクになりました。
レッドブルが発売されたころはエナジードリンクという言葉の認知度は低く、
疲労回復を謳った栄養ドリンクと同じように思われていました。
ただ、レッドブルは発売当初から疲労回復を謳わず飲むとパワーが漲る、
強くなるというイメージでプロモーション活動を行います。
「翼を授ける」というキャッチーなフレーズも、力を与えるというイメージに大きく役立ち、
「エナジードリンク=レッドブル」と多くの人が認識することになりました。
自らが作り上げたブランドコンセプト(非助成認知)が、
新事業の成功を妨げたという失敗の事例もあります。
高品質・低価格の衣料ブランドと言えばユニクロですが、
運営しているファーストリテイリングというファッション業界の
トップメーカーの唯一の失敗例として、野菜の宅配サービス『SKIP』が挙げられます。
高品質で栄養度の高い高級野菜の宅配サービスは、
その内容だけを見ればすごく魅力的なものでしたが、
顧客の中には「ユニクロ=低価格」というイメージが定着していました。
そのためユニクロが高級な商品サービスを提供することに抵抗を感じてしまい、
事業としてはわずか2年で撤退を余儀なくされました。
後にその反省を活かし、さらに低価格をコンセプトとした『GU』を立ち上げて成功させています。
「モンスターエナジー」ここへきてレッドブルを超す人気となったワケ/現代ビジネスプレミアム倶楽部