IT業界以外の人には馴染みが薄い?グロースハック、グロースハッカーってどんなもの?

グロースハックとは

世界の経済・産業界において、ITの重要性は日増しに高まる傾向にあり、ITの活用が企業や産業の命運を分けるといっても過言ではない時代です。
IT業界には業界特有の略語や通称が多く、業界以外の人にとってはなじみのない言葉がたくさんあるように感じられます。
ここ数年のIT業界において浸透し始めた言葉の一つに、「グロースハック(Growth Hack)」があります。
このグロースハックは、名称を聞いただけでは何を意味するのか全く理解できない方も多くいるのではないでしょうか。

しかし、有名なFacebook・Twitterが大きく成長した背景には、このグロースハックが欠かせなかったとも言われており、その重要性は業界内でも注目されていると推察されます。
ではグロースハックとは、具体的にどのようなものなのでしょうか?
グロースハックに関して、言葉としては浸透してきた傾向にありますが、日本国内でも海外でもまだ明確な定義はありません。
実際の意味としては、効果的な改善を継続的に進めながらサービスを成長させるための手法のことを、こう呼んでいるように推察できます。

Twitterを例にすると、サービス開始当初はフォローする人数が5~10人くらいのユーザーの定着率が高いことに着目し、そのデータを元にして初回登録時にフォローを5人はさせるように導くように、改善を行いました。
その結果、Twitterの利用者数が前月と比較して4倍にまで跳ね上がったと言われ、この改善の効果の大きさを知ることができます。
この具体例のように、サービスの向上・改善を目的に様々な施策を施し、成果の上がった方法をサービスに導入して成長を促すことを、グロースハックと呼ぶようになりました。

この手法を導入し、サービスに様々な施策を行う人たちのことを、業界ではグロースハッカーと呼び、アメリカなどの欧米の国々では、企業から優秀なグロースハッカーが必要とされる人材にまでなっています。
今後は日本でも、グロースハックの需要は高まっていくことが想像できます。
しかし、やみくもにグロースハックを導入しても必ず成果が出るとは限りません。
グロースハックを導入するうえで大事なことはツールとして考えるのではなく、あくまで考え方である、という捉え方が重要になるでしょう。

成功した企業やサービスの事例はたくさんありますが、そのまま取り入れれば改善ができるわけではなく、それぞれの企業やサービスに合ったグロースハックを行わなければなりません。
事例を真似するのではなく、あくまで参考事例として自らのサービスに置き換え、どのように進めていくかを考えることで成功への道筋が作られると推察できます。
導入を開始するにあたっては、A/Bテストというものを行うことがおすすめです。
このテストは、Webサイトのデザイン・文言・レイアウト等の効果的なパターンの比較検証を行うもので、グロースハックを始める足掛かりとして最適だと考えられます。

マーケティングを制する者が生き残っていくIT時代

グロースハックが注目されている理由

グロースハックが今後ますます注目されていくことになる理由は、いくつかあります。
特に注目される大きな要因は、IT業界ならではの特性にあると考えられます。
近年主流になりつつあるスマホのアプリや、一般的に利用者の多いWebサービスは、基本的に開発期間が短期で、参入に関してのハードルが低い傾向にあります。

参入のハードルが低い市場には参入するライバルが必然的に多くなり、魅力のあるサービスがあれば、すぐ乗り換えられてしまう可能性が高くなるのです。
つまり自社が運営するサービスが、ユーザーからどのように捉えられているかをデータ的に分析し、短いスパンで検証を行いながらサービスの改善に努めることで、生き残りを図ることが重要になります。
このような特性が、グロースハックが注目されることに繋がっていると考えられます。

実際にグロースハックを進めたことで、大きな成功を収めた具体的な例としては以下のものがあります。
料理のレシピを会員登録をすることで掲載したり、掲載されたレシピを共有できるサービスとして、多くの人が利用しているクックパッド(Cookpad)は、まさにグロースハックで大きな成果を上げています。
クックパッドでは、有料会員の獲得数をアップさせるためのグロースハックを、地道に行い成果を残しました。

具体的には有料会員登録後も一定期間は無料で体験できるシステムを導入しました。無料期間が終了しても有料会員のメリットを体感させることが目的です。
そして、特定の期日に無料クーポンをサービス、また誕生月に無料クーポンサービスをするというのも、無料会員と有料会員の差別化を大きくアピールしています。
主婦層が無料での特典に魅力を感じる点をテスト等の結果から明確にしたこともあり、このグロースハックでは目標以上の有料会員を獲得するに至りました。
以上の点からも、今後は日本の多くの企業がグロースハックを導入していくことが予想されます。