今後さらに世界中で市場拡大が期待されるスリープテックビジネス
スリープテックとは
睡眠の重要性については、健康志向の強くなった現代社会では、昭和の時代以上に多くの方が意識するようになりました。
食事の摂り方、定期的な運動などに関しては、以前からテレビ番組や雑誌などで様々な方法が紹介されていますが、睡眠に関しての方法も注目されています。
近年スリープテックという言葉を、様々なメディアで聞く機会が増えてきていますが、スリープテックとはどのような意味があるのでしょうか。
睡眠に関しては「睡眠時間が短い」、「熟睡できない」、「慢性不眠」など様々な問題がありますが、多面的に不眠を検証し、テクノロジーを活かして解決することをスリープテックと呼びます。
私たち日本人は先進国の中でも少ない方で、厚労省の調査結果でも成人の約40%が睡眠不足に陥っています。
快適な睡眠により、体調を整えて健康な生活を送ることはビジネスにもプラスの影響を与えることになるため、スリープテックの考えが注目されるようになりました。
睡眠の改善というと、寝具(ベッド、枕、マット、布団)が主になるイメージがありますが、照明やBGM、アロマなど様々なツールを活用したビジネスが市場には登場しています。
市場の規模
日本以上に海外では健康に関する取組みが活発です。
喫煙に関しても法律により厳しい規制がされているように、体を健康にするスリープテックに関するビジネスに参戦する企業は、年々増加する傾向にあります。
スリープテックビジネスの市場は大きく拡がりを見せていますが、2014年当時の調査では580億ドル(日本円で約6兆5800億)だったものが、2020年では、800億ドル(日本円で約9兆800億)にまで市場が拡大するに至っています。
中国で睡眠障害市場が急拡大。スリープテック製品も流行|中国トレンド調査/マナミナ
今後、多少の市場規模や金額が前後することを繰り返しながら、拡大していく傾向は変わらないことが予測され、スリープテックビジネスへの参入は企業にとっても大きなチャンスになります。
海外から若干遅れている日本のスリープテックの市場は、現在約1兆2000億円と予想されていますが、潜在的な市場規模は約3~5兆円に上ると言われ、異業種からの市場への進出も数多く検討されているのが現状です。
今後は、多くの企業が研究・開発している新製品が市場に登場し、活発な状況が十分に起こり得ます。
睡眠の質や重要性について
睡眠は、人間にとってはもちろん動物が生きていくうえで欠かせない重要なものですが、日本人は全般的に平均睡眠時間が少ない傾向にあります。
現在は睡眠の質及び睡眠の重要性について考えられるようになり、様々な取り組みが行われています。
睡眠時間は、7時間前後が一般的に良いとされていますが、睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2つがあり、この2種類の睡眠を周期的に繰り返しています。
レム睡眠は眠りが浅く、脳の中にある情報を整理している状態にあります。
一方のノンレム睡眠は脳を休めている状態となり、眠り自体が深くなります。
睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠を約90分の周期で繰り返すサイクルとなっており、最終的に疲れが緩和され、ノンレム睡眠がだんだん浅くなり目覚めるという仕組みになっています。
この周期に関しては個人差があり、80分前後の人もいれば100分以上の長い周期の人もいますが、時間のバラつきの少ない睡眠を心がけることが重要になります。
よく体が疲れたときは寝だめをすれば良いという話を聞きますが、眠りはレム睡眠とノンレム睡眠の繰り返しで疲れを取るので、寝だめによって睡眠を貯めるということは現実的には不可能です。
人間は人生の1/3を睡眠で過ごしますが、睡眠は日常的に当たり前のことなので、体力があって元気な時には睡眠を軽視して、常に寝不足の状態になっていても気にしていない方は多いと思います。
睡眠不足が日常化していると人体には徐々に悪影響を及ぼすことになり、体調が急激に悪化することもありますので、スリープテックを導入して健康な生活を送れるようにすることが重要です。
睡眠とテクノロジー
睡眠のスリープと、テクノロジーのテックを合わせた造語がスリープテックです。
睡眠に関して様々なテクノロジーを活用した製品・サービス全般を、スリープテックと呼ぶようになりました。
世界中に不眠・睡眠不足・睡眠の質に悩む人が大勢います。
スリープテックの市場は今後一層拡大することが予想されていますが、それぞれの企業が研究・開発した最新のテクノロジーを取り入れた製品・サービスが数多く登場しています。
日本でも寝具ブランドとして知られるパラマウントベッドは、アクティブスリープというベッドを開発・販売しています。
このベッドは、使用する人が自分にとってちょうどいい角度にベッドの位置を自動調整してくれる機能が搭載されており、気持ちよく眠りに入れるように工夫されています。
マットレスの硬さも、身体の触れる部分に合わせて調整(6箇所)できる機能もあります。
フィリップス、「世界睡眠の日」に睡眠について考える/フィリップス
日本有数の寝具メーカー西川では、「ねむりの相談所」というカウンセリングサービスの提供を始めています。
眠りに関する悩みや疑問にスリープマスターと呼ばれる専門家がヒアリングを行い、睡眠の状況を専用機器で測定したり、適切なアドバイスを行っています。
アップル社が販売するアップルウォッチ専用のアプリとして開発されたオートスリープは、アップルウォッチに自分の睡眠の状況を詳細に記録・管理することが可能なアプリで、ヘルスケア部門で高い評価を得ています。
アプリを導入しておけば特に操作をする必要もなく、アップルウォッチを付けたまま眠るだけで睡眠のデータを計測し、データをフィードバックしてくれるうれしい仕組みが搭載されています。
今後も最新のテクノロジーを駆使した新製品・サービスが登場することが期待できます。