マーケティングを制したい人へおすすめのイノベータ理論と戦略

発案者

経営学やマーケティングの分野では様々な理論やツールが使用されていますが、その多くが1960~1970年頃に発案されているかと思われます。
その中で、現在マーケティングで多くの企業・事業関係者、研究者が使用しているイノベータ理論(キャズム理論)について紹介をします。
まずイノベーター理論は、1962年にアメリカのスタンフォード大学の社会学の教授エベレット・ロジャース氏によって提唱されました。
イノベーションを普及させるための理論として生まれ、商品購入が早いと考えられる順に5つに分類しています。

一方のキャズム理論は、イノベーター理論で普及率16%の論理というものが提唱されていますが、これに対して異なる論理として、アメリカのマーケティングコンサルタントのジェフリー・ムーアによって提唱されたものです。
普及率16%をクリアすると、その後の層にまで広がる分岐点になるというイノベーター理論に対して、後の層との間には大きな溝(英語でキャズム)があることを見出し、キャズム理論を提唱したものと思われます。

特徴、評判

イノベーター理論に不可欠な5つの分類と、その市場での比率について紹介します。

「イノベーター(革新者)」
挑戦的で新しいものに対する興味が強く積極的に採用をする人、全体の占有率2.5%

「アーリーアダプター(初期採用層)」
情報収集に長けトレンドに敏感であり、自ら採用を判断する人(オピニオンリーダー)、全体の占有率13.5%

上記のイノベーターとアーリーアダプターを合わせた16%をイノベーター理論では重視し、「普及率16%の論理」を提唱していると思われます。

「アーリーマジョリティ(前期追随層)」
慎重なタイプですが、平均値よりも新しいものの導入が早い層、占有率34%

「レイトマジョリティ(後期追随層)」
大多数が試した後から追随していく層、占有率34%

「ラガード(遅滞層)」
究極の保守層、占有率16%

以上の5つがイノベーター理論である、と考えられます。

キャズム理論では、イノベーター理論のアーリーアダプターまでの16%の2層に普及することが後の層に広がる分岐点、という理論の問題点を指摘しています。
アーリーアダプターを対象としたマーケティング戦略では、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間の大きな溝を埋めることはできないというのが、キャズム理論の根幹となっていると思われます。
つまりはアーリーマジョリティを含めた50%までを考えたマーケティングこそが重要である、というのがキャズム理論の大きな特徴と推察されます。
家電等でのハイテク商品は、このキャズム理論に基づいた戦略・マーケティングが必要である、と最近は考えられています。

メリット、デメリット

イノベーター理論のメリットとデメリットを理解すると、自ずとキャズム理論のメリットとデメリットが見えてくると思われます。
イノベーター理論における5つの層のモデル(イノベーター・アーリーアダプター・アーリーマジョリティ・レイトマジョリティ・ラガード)それぞれの割合についてですが、この数字の根拠は何から生まれているのでしょうか。
イノベーター理論について研究した文書によれば、イノベーター理論を提唱したロジャース教授は、イノベーター・アーリーアダプターの割合2.5%と13.5%について確たる根拠はなく、100人いれば2人か3人程度は新しいものに興味を持つ変わり者がいるといった程度で考えられた、という驚きの回答がありました。

つまり一見正確に弾き出された数値のように見せかけて、人間とは大体こう分類されるという推測から出されたものと考えられます。
この件から、市場や業界・業種に応じてイノベーター・アーリーアダプター等の5つの層の比率は違う、と考えて戦略を立てればメリットになりますが、この比率にこだわりすぎて戦略を立てると失費するデメリットになると思われます。
キャズム理論に関しても、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの溝の大小を業種や状況に合わせて考えればメリットになる、と考えられます。

様々な書籍で紹介されている

書籍について

イノベーター理論をより詳しく理解するためには、解かりやすく解説をした書籍を読むことが近道と思われます。
理解度を深めるために、おすすめの書籍を紹介します。

「イノベーションの普及」エベレット・ロジャース著
イノベーター理論の開発者で提唱者でもあるロジャース本人がまとめた著書で、初版から改定を重ねて現在のマーケティングにマッチする内容となっています。
イノベーター理論の詳細が解かる内容だと思われます。

「キャズム」ジェフリー・ムーア著
こちらもキャズム理論提唱者のジェフリー・ムーア自らが、キャズム理論についてまとめた著書です。
キャズム理論での成功・失敗の事例を多数紹介しています。
イノベーター理論についても紹介しているので、初心者にもおすすめです。

「本気で変わりたい人の行動イノベーション」大平信貴著
こちらは行動イノベーションについて深く研究してきた著者が薦める、一分間で未来を変える方法を提唱する内容です。
即断・即動が経営・ビジネスで重要であることを説いています。

派生した戦略

イノベータ理論(キャズム理論)は、経営・ビジネスにおいて重要な理論であると推察されます。
実際にこの理論に基づいた販売戦略とはどんなものなのか、キャズム理論を活かした販売戦略の例を紹介します。
新商品を発表した際には、どの業界でも当初話題を集めて販売数は一時的に増加することが多くなると思われます。
ただアーリーアダプターまでの反応は良くても、アーリーマジョリティの反応が思わしくないと市場の活気は弱まり、そのまま対策を打たないと市場は風化の一途を辿ると思われます。

キャズム(溝)を超えていくためには、アーリーマジョリティに興味を持たせる活動が必要になります。
メディアに積極的に広告を打つことや、お得なサービスなどがあるような販促のキャンペーンを大々的に行うなどの戦略で、アーリーマジョリティの層にアピールすることが重要であると思われます。
アーリーアダプターへのアプローチで成果があったときは、素早くアーリーアダプターへのアプローチを展開していくキャズム理論から派生した戦略が、成功への指標となると考えられます。