株式報酬の種類5選

1.パフォーマンスシェアユニット(PSU)について


企業の業績をアップさせる新たな方法として、色々な制度が試されています。
自社株を役員や従業員が設定された価格で購入し、株価の上昇分が報酬になるストック・オプション制度が導入される企業も多いようですが、これとは別にパフォーマンスシェアユニット(PSU)という方法が近年導入され始めているようです。


パフォーマンスシェアユニット(PSU)とは、短期間の結果ではなく中長期的な計画に基づいた業績目標の達成レベルに応じて、株式を報酬として交付することになっています。

ストック・オプションでは、業績とは関係なく株価が下落して正当な報酬を得られない危険性がありますが、パフォーマンスシェアユニット(PSU)では、その可能性を排除していると考えられます。


パフォーマンスシェアユニット(PSU)の基準としては、主要計画の達成レベルで株式の付与数を決定する、計画の業績評価に合わせてインセンティブが決定するという特徴があり、市場での株価の変動を受けないというメリットがあります。
今後は企業内での成果報酬の仕組みとして、パフォーマンスシェアユニット(PSU)が活用される機会が多くなると予測されています。

2.譲渡制限株式(RS)について


業績アップの手段として、また成果報酬の新しい制度として評価が高まっている譲渡制限株式(RS)があります。
リストリクテッド・ストックとも呼ばれる譲渡制限株式(RS)は、譲渡の期間が一定期間内に制限された株式報酬のことです。


主に役員に交付されることになるかと思われますが、これには一定期間内は絶対に退職しないという条件が基となっています。

支出を追加せずに保有する株式が与えられ、業績がアップすることで株価の上昇分がそのまま報酬扱いとなる仕組みであると思われます。


譲渡制限株式(RS)もパフォーマンスシェアユニット(PSU)と同様に、ストック・オプションで起きる可能性の高い株式の価値が無くなる、という心配はありません。
追加で資金が必要になることもなく、比較的リスクの少ない制度と言えるかと思われます。

役員や従業員側としては有利になる報酬制度で、今後導入する可能性が高まっていると考えられます。

様々な種類があり、会社発展に寄与できるか。

3.株式報酬型ストック・オプションについて


パフォーマンスシェアユニット(PSU)と譲渡制限株式(RS)の制度は、受け取る側に有利な制度として導入が増加すると思われていますが、成功報酬の制度としてこれまで導入されてきた株式報酬型ストック・オプションはデメリットばかりなのかと言われると、決してそうではないことが分かります。


株式報酬型ストック・オプションは、社員や役員に対して会社があらかじめ決められた株価で自社株を購入できるようにする制度です。
メリットとしては、権利を行使した側からは付与者の業務に対する意識の向上が期待されることが挙げられます。


さらに給与として高額な支払いをせず、能力の高い従業員を雇用できる可能性が高くなることが推察されます。

一方でデメリットとしては、業績の向上と株価の上昇が必ずイコールではないため、株価の上昇が期待できない時に従業員の意識が低下する危険性がある、と考えられます。


その状態が続くと、優秀な人材が退職等で流出する危険性が高まることも、ないとは言えないかもしれません。

4.SAR(ストック・アプリシエーション・ライト)について


業績と連動する成果報酬の制度として知られるSAR(ストック・アプリシエーション・ライト)は、事前に期間を定めた中で、あらかじめ設定した株価の金額よりも株価が上昇した際に、その差額が報酬として与えられる仕組みのことです。

他の成果報酬の制度と違い、株式を購入したり購入する権利が発生することなく、株価の変動分が報酬として受け取れるところが大きな特徴となっています。
企業側としても、株式を新たに発行する必要がない点もメリットと考えられます。
一方の受け取る従業員側も、業績が上がらず株価が低下することになっても、報酬が得られないだけで減額分を補填する心配もなく比較的リスクの少ない制度と思われます。

5.ファントムプランについて


SAR(ストック・アプリシエーション・ライト)やストック・オプションとよく比較される制度の一つに、ファントムプランが挙げられます。

このファントムプラン(ファントムストックとも呼ばれる)も、企業側が自社の株式を利用して従業員の報酬にあてる制度です。
ファントムという言葉には架空・幻という意味がありますが、ファントムプランは株式を購入したり株式を購入する権利を付与することはありません。

その代わりに、架空の存在しない株式を対象の従業員に付与する制度となっています。

架空の株式(ファントムプラン)は期間が定められ、この期間が過ぎた後に付与した時の価格と完了時の株価の差額を報酬として得られる仕組みです。
それは、配当金として付与されるケースも考えられます。
メリットとしては、新たに株式を発行したり購入権を付与することがなく、資金が余分に必要となる心配がありません。

従業員側も、業績が上がらなかった時に株価が下がった分の保障をすることがない点も、プラス材料と思われます。
デメリットは日本での導入事例が少なく、経理上の処理があいまいな点が考えられます。

6.中期キャッシュプランについて


様々な業績を条件とした成果報酬制度が存在しますが、スポーツ選手の契約においてもよく取り入れられるインセンティブを企業に持ち込み成果報酬とする仕組みが、ストック・オプションによって一般的になりました。

特に中長期の計画に基づいた報酬制度としては、圧倒的にストック・オプションが導入されています。
しかし株価を連動させず、企業での業績のみを評価の対象として支給する、臨時的賞与のような制度があります。

株価とは全く連動せず報酬として与えられるこのプランを、一般的に中期キャッシュプランと呼んでいます。

中期キャッシュプランの計画は、中長期の計画に対しての実績がインセンティブとなるようにプランニングされると思われています。
しかし業績が株価に反映されていないにも関わらず高額な報酬となる場合もあり、その成果指標については非常に難しくなる可能性が考えられます。