「ビジネス基礎講座特集」起業が多くなり、今こそビジネスマンに必須な”会社法”の基本をおさらい

会社法とは

会社員として働いていても、ある程度の法律知識を持っておく必要がありますが、自身で会社を立ち上げて経営者として会社運営をする立場になると、経営に関する法律に詳しくなっておくことが求められます。

基礎知識として特に知っておく必要がある法律が、「会社法」です。
会社法人を対象にした法律で、この法律に則って会社経営を行うことが必要です。 会社法は13年前の2006年に施行された法律で、以前は3つに分かれていた会社に関する法律を、一つにまとめたものです。

この会社法の施行直前に、会社設立に関して大きく変わったのが有限会社の存在です。
2005年の法改正によって、有限会社を新たに設立することは認められなくなり、株式会社として設立する会社がほとんどになりました。

会社法には、会社を設立するための方法・手順、資金の調達方法、運営方法など、会社経営のルールが事細かに網羅されています。
設立はもちろん、会社の解散についても、その方法が記載されています。

会社法はなぜ必要か

経営者にとって会社法がなぜ必要かと言うと、この法律を熟知しておくことで、経営方法が柔軟にフレキシブルな対応が可能になると考えられているからです。

会社の運営に関する法律が定められていなければ、会社間での取引のルールをそれぞれの都合で進めようとすることになり、商談がまとまる可能性が大きく下がるかもしれません。

また従業員の働き方にも、大きく影響を及ぼすことが考えられます。
会社経営を円滑に進めると共に、社会全体の流れにも大きく関わる法律と考えられています。

会社法において、会社は4つに分類されています。
会社法設立前の商法でも4つでしたが、その名称と分類は大きく異なっています。


旧商法では、株式会社・有限会社・合資会社・合名会社の4つであったのに対し、会社法では有限会社が廃止され、株式会社・合資会社・合名会社に新たに合同会社が追加されました。
この4つのうち、合資・合名・合同の3社は特分会社に分類され、株式会社とは区別されています。

基本的な知識として必要な時代に

会社法の基本的な考え方

会社法においては、会社の分類とその内容について詳しく記載されています。
合同会社・合名会社・合同会社は持分会社となります。

持分会社は、特定の信頼関係にある出資者が集まって会社全体の権限・利益配分などを、出資者自身が決定権を持って業務を執り行う形となります。

一方の株式会社は、株式を発行して不特定多数の出資者を募り資金を調達、その資本金を元に事業を展開していきます。
株式会社では、出資者と会社を運営する取締役が法律上別になっている、経営・所有の分離が試されていると考えられます。

持分会社と株式会社の違いは、特定の出資者で会社を運営することと、不特定多数の出資者で会社を運営することにあります。
持分会社は、日本の会社組織の中では希少な会社に分類されます。
そのため会社法では、基本的に株式会社の運営方法についての記載が多いように思われます。

会社法の適用

会社法は2006年に新たに施行された法律ですが、会社法の基本は施工以前に定められた商法から引き継がれています。
会社法は商法の特別法として考えられ、株式会社に関わる規定を定めたものとされています。

会社法では経営と所有が分離されていますが、株式を公開していない親族経営の株式会社などの多くは、経営者と所有者は同一の場合が多く、利益相反取引等の問題が起こる可能性があります。

この点について、会社法では適用範囲を詳しく定めています。
この適用範囲を逸脱しないように、経営者は会社運営を行っていく必要があります。

株式会社には取締役が配されていますが、取締役と会社の間では利益相反の状況が起こりえます。
会社法の適用では会社を法人として人格を与えており、取締役と法人との間での取引の様々なケースに対応するように定められています。
この内容を詳しく理解しておくことが、経営者には必要であると思われます。

会社法の問題点

会社法は会社経営のルールを定めた法律として、会社運営に必要な手続きなどを記載したものです。

経営者にとってその内容を理解しておくことは必須と言えるものですが、いくつかの問題点があります。
まずは法律全般に言えることでもありますが、内容がとても分かりづらいところです。

法律の専門家である司法書士の方であれば簡単に理解できるのかもしれませんが、一般の経営者にとっては専門用語が多い点は改善が求められます。

また条文の量が膨大すぎる点も、問題点だと考えられます。
構成もかなり複雑で、全てを理解することは現実的には不可能と言えるかもしれません。


経営者が会社法を学ぶ際には、条文の中から最低限必要なポイントを覚えておくことをおすすめします。
第2編 株式会社・第3編 持分会社・第5編 組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転・第7編 雑則の4編を最低限熟読しておくと、会社運営にも大きくプラスになります。