最も多い取引といわれる「サヤ取り」って一体どんな投資なの?

サヤ取りとは

投資というと経済に精通して知識のある人が行うものと思われていますが、最近は少額で簡単にできる方法もあり、身近なものへとなりつつあります。
ネットで投資ができるようになったことも、投資に興味を持つ人が増えた一因とも考えられます。
投資の世界には一般では使うことのない専門用語がいくつもありますが、投資のプロが「世界三大利殖」と呼ぶ手法があります。
サヤ取り・サヤすべり取り・オプション売りの3つがそれにあたり、機関投資家の間で広く活用されているのがサヤ取りです。
サヤ取りは別名「裁定取引」、「アービトラージ」、「ペトレード」など色々な呼ばれ方をしていますが、過去に財閥を築いた名家や、証券会社を創業した方などが巨額の利益を得た方法としても知られています。
株式投資は個人の投資家の方が最も多く行っている資産運用の一つですが、一般的には株価が上がると推測される銘柄を安値のうちに買い、株価が上がった時に売ることで利益を得るか、逆に株価が下がると推測される銘柄を高値のうちに売り、株価が下がった時に買い戻して利益を得る方法がほとんどでした。

この方法は市場の情報を元に分析して売り買いを行うのですが、なかなか簡単に結果を出すことは困難と考えられます。
サヤ取りは先述の方法とは違い、値動きのよく似た銘柄二つをセットにして一つを買い続ける代わりに、もう一つを空売りし続けるという投資手法です。
一般的なこれまでの方法が片張りなのに対して両張りと呼び、株価の上下の値動きによるリスクを抑える効果があると思われます。
この売り買いを行う銘柄の価格差(サヤ)で利益を得ることから、サヤ取りと呼ばれていると考えられます。
極端な値動きをした時に保険をかけているような感じで安全な取引ができるので、知識の少ない人でも失敗が少ない手法であると考えられます。
長く投資家が利用してきた手法として、今後も主力として活用されることが想像できます。

サヤ取りの歴史

サヤ取りは三大利殖として多くの投資家が利用する手法ですが、いつから活用されているのでしょうか?
サヤ取りが実際に活用された記録が残っているのは、日本では江戸時代の中期1700年代にまで遡ることになります。
先物取引で貴金属を売買することは今でもスタンダードですが、金・銀がこの当時は中心になっていました。
1700年代の日本では、金と銀を交換する際の比率は1:5になっていました。
銀5キロで金1キロと交換できると考えれば解かりやすい、と思われます。
一方で当時のヨーロッパ各国では、この交換比率が1:15と、日本の3倍の比率になっていました。

この交換比率の違いを投資で上手く活用すると、以下のようになります。
日本で銀5キロを入手して比率通りに金1キロに交換、この金をヨーロッパの市場へと持ち込み銀15キロに交換、再び日本に持ち込むと投資金額はそのままで金3キロに交換することができます。
これを何度も繰り返すと、確実に利益が増加していくことが解かると思います。
当時大富豪として知られるロスチャイルド家が、このサヤ取りの手法によって巨万の富を築いた、と言われています。
もちろん現在は取引の法律が定められ、一部の資産家だけが利益を得られるようなことはなくなっています。
アメリカの市場でも1980年頃から積極的に活用され、成功する投資家が増えたことから、三大利殖として認知されたと推察されます。

今ではネット経由でも様々な投資を行うことが可能になっている。

サヤ取りのやり方

リスクが少ない確実な投資方法として幅広く活用されているサヤ取りですが、投資初心者でも上手に活用することはできるのでしょうか?
サヤ取りは、よく似た値動きをする銘柄をそれぞれ売りと買いに分けて投資を行うことが基本となります。
サヤ取りをやる前には、まず準備が必要になります。
買うことに関しては特に準備は必要ではありませんが、売りに関しては少し準備をしておかないといけません。
売る方は基本空売りとなりますので、空売りが可能な環境を整える必要があることが推察されます。
つまり信用取引を可能にする手続きが求められる、ということになります。
その次に必要になるのが売り買いをする銘柄の選択になりますが、通常の銘柄選びのように株価の上昇・下降よりも、対象となる二つの銘柄の株価の差(差動き)を判断の基準にすることが考えられます。
差動きを見てセットにする銘柄を決定したら、サヤ取りのスタートです。

サヤ取りでセットにする銘柄選びには、ネットでサヤ取り情報のサイトが多く掲載されていますので、参考にすると良いでしょう。
サヤ取りで銘柄選びをするときに最も重要なのが値動きの相関性の高さで、サヤの開閉を繰り返しながらも動きが同調している銘柄を組み合わせることにあります。
最初はサヤが開いた状態になっていても、最終的に閉じる方向へと進む可能性が高くなると思われます。
同業種内で選ぶのがサヤ取りでは王道と言われていますが、その理由は業種・業界が同じであれば、状況に応じた動きも連動されるところにあります。
一方だけが極端な動きをする可能性は極めて低いことから、同業種を選ぶのがリスクを抑えることになると考えられます。
これらの情報を参考に取り組んでみてはいかがでしょうか。