今話題の「かんぽ生命」の歴史を改めて振り返る

かんぽ生命の創業者と歴史

昔は郵便局の簡易保険としてたくさんの人が加入していたかんぽ保険は、民間の保険会社としては最大手になった保険会社です。
2005年10月に小泉元首相が政治生命をかけて取り組んだ郵政民営化法が成立し、その翌年の2016年に企業としてのかんぽが誕生しました。

2007年9月末をもって簡易生命保険の新規受け付けが終了し、新たな民間生命保険会社としてスタートしました。

2017年10月から生命保険業務を開始し、その営業と同時に「株式会社かんぽ生命保険」と会社の商号も変更をしています。
民営化以前に取り扱っていた簡易生命保険の管理業務も、管理機構からの委託により同時に開始をしています。
そして2017年12月に新規保険業務の認可を正式に取得し、民間の新保険会社として保険業界に参入していくことになります。
翌2008年には、法人向けの保険商品の委託販売をスタートさせました。

同年7月に保険商品の「かんぽ生命 入院特約その日から」の販売を開始、翌2009年7月にはこれまで支店のなかった奈良・和歌山に新たに開設したことにより、日本全国47都道府県すべての設置を達成しました。

その後2011年10月には、「かんぽシステムソリューションズ株式会社」を子会社化して、ネットワークシステムを強化していきます。
2014年4月には、新たに学資保険商品の「はじめのかんぽ」の販売を開始、同年7月にはアフラックのがん保険受託販売の取り扱いも開始させています。

翌2015年10月に、新たに養老保険「新フリープラン」という短期払い込み型の保険商品の販売を始め、同年11月には東証一部に満を持して上場しています。
2016年には、民間最大手の第一生命との業務提携を行い、企業の運営力を強化して現在にまで至ります。

かんぽ生命が民間企業として誕生してから12年の歳月が流れ、経営トップの社長も何人も交代をしています。
株式会社かんぽとしてアウターとした2006年当時は、元日銀の社員で日本郵政公社の常務理事でもあった山下泉氏が社長として、2012年までの約6年間務めました。

安心の保険とは

その特徴と 効果とは

簡易保険事業がかんぽ保険という民間企業になった経緯としては、小泉純一郎元首相による郵政民営化が大きく関わっています。
郵政解散と呼ばれた国政選挙で自民党が圧勝したことから法案が国会を通過し2007年上期をもって簡易生命保険の新規受け付けが終了し、新たな民間会社かんぽ生命へと歩みを始めました。


現在のかんぽ保険になってからは、石井雅実氏が改正郵政民営化法の成立のタイミングで前社長から受け継ぐ形で就任、その後石井氏は2017年5月まで社長職を務め、新たに社長として就任したのが現在の植平光彦氏です。
この方は保険業界で、約40年の長きに渡って活躍をされた人物です。

東京海上火災に昭和54年に入社後実績を残し、平成24年には東京海上ホールディングスの執行役員部長に就任、翌25年にかんぽ生命保険の常務執行役員として迎えられ、平成29年には取締役兼代表執行役社長に就任しました。
生命保険事業に長く従事し、システムにも精通した現在の社長が就任以降、低迷していた収益も好調で日本郵政全体の底上げにも貢献をし、評判は上々と思われます。


一般の保険加入者にとっても企業の経営が健全化されることは望ましいことですので、今後も増収・増益となっていくことを期待したいところで

郵便局員という最高の営業マン

かんぽ生命を語るには、郵便事業の民営化は切り離せません。
国の郵政事業として開設された郵政省が運営をしていた郵便局の取り扱っていた保険商品が簡易保険になり、郵便局の窓口や保険外交員との契約から拡大していったと思われます。


民間の生命保険に比べて職業上の制約が少ないこと、医師の診断書が不要などのメリットがあることから、「簡易保険」という呼び名になったと考えられます。
危険度の高い職業に従事している方(スタントマン・鳶職等)でも加入が可能なこともあり、加入者は当時生命保険で最も多い時代が長く続きました。

逆に成約が少なく加入しやすい分、保険金の受取額は民間の生命保険よりも低く抑えられていた点がデメリットであったと思われます。
当時は国営事業として扱われていたため、簡易生命保険法によりその内容が規定されていたようです。
これにより民間とは違う多くの特典(時効機関の優遇・倍額保障等)が、加入者を更に増やす要因と考えられます。

先進的な取り組み

かんぽ生命では、日本の社会状況に合わせた先進的な取り組みもされています。
近年の日本では人口の減少・少子高齢化が大きく問題視されていますが、かんぽ生命ではサービスの提供、質の向上を図ることを目的としてAI(人口知能)の導入・ビッグデータの活用を進めていると考えられます。


AIの活用・導入は世界各国で検討されている重要事項ですが、かんぽ生命ではいち早く導入のためのプロジェクトを立ち上げています。
先陣を切って導入することで、差別化を図ろうとしていることが想像されます。
顧客の立場からも、今後の推進具合を注視していかなければなりません。

今後の展望

かんぽ生命は民間の保険会社になってからはまだ10年弱と歴史が浅く、現状は国営化時代の旧簡易保険から継続している加入者により成り立っている部分が高い、と考えられます。
現状では旧契約の減少に対して新規契約の数が下回っており、利益は減少の傾向があります。
今後においてはサービスの質の向上・デジタル化は必須で、他社との差別化を如何に明確にするかが利益の向上には欠かせない、と考えられるでしょう。
国営の郵政事業から民営化になってまだ10年と、民間企業としては新参のかんぽ生命ですが、国営時代からの長い信用を失くさない取組が求められます。