遺産相続には7日以内から1年以内にしなければならない様々なルールがあります。

7日以内の手続き

両親や祖父母が亡くなった時に、遺産相続の権利が発生したにも関わらず親族間では折り合いがつかず、争いが起きることはよくあることだと言われています。
テレビドラマや映画で遺産相続のトラブルが原因で殺人事件が起きる、といったものは数多く制作されていることから、そのイメージも強いものと推察されます。


それほど遺産相続というのは難しい問題だと考えられていますが、遺産相続では決まった期日までに行わなければならない手続きがたくさん存在しています。

まず最初に訪れることになるのが、7日以内の手続きです。
故人が亡くなった時に何よりも最初に行わなければいけないことは、死亡届を提出することです。
死亡届は届け出をすることが法律で義務付けされていて、この届を提出すると火葬許可証というものが交付されるようになり、葬儀を行うことが認められます。
死亡届は遺族であれば誰でも提出をすることが可能で、費用も必要ありません。
死亡届を7日以内に提出しないと戸籍法の違反となりますので、できるだけ早く提出することを心がける必要があると思います。

1ヶ月以内の手続き

死亡届を提出して葬儀が行われたら、次に遺言書の有無を確認する手続きを行うことになります。
これについては、基本的に1ヶ月以内に行うことになる手続きに該当します。
遺言書が故人によって残されている場合には、遺言書に書かれた内容に沿って遺産分割が行われますので、遺言書の有無の確認は重要になると考えられます。
もし遺産分割の協議後に遺言書が発見されたりすると、一度まとまった協議が破談になり兼ねず、遺産相続のトラブルが起こる可能性が大きくなると言われています。

この次に、相続する権利を持つ法定相続人の確定手続きを行う必要があります。
この相続人確定の段階で、一人でも相続人が欠けていると、遺産分割協議が行えなくなります。
戸籍謄本で確認をして、遺族が知らない相続人がいないかを、十分に確認をしておくことが大切です。
そして故人の相続される財産についての調査を行いますが、故人の銀行預金に関しては、死亡届を提出すると同時に処分は自由に行えなくなります。

遺言書の保管場所にも注意する必要があります。

3ヶ月以内の手続き

相続において最も重要なのが、この3ヶ月以内に行う手続きだと考えられ、通称として3ヶ月ルールと呼ばれているものになります。
この手続きというのが、故人の遺産の相続を遺族が行うのかを決定するものです。
この決定を3ヶ月以内に行わなければ、単純承認を認めたことになりますので、仮に借金が大量にあったとしてもすべて相続することにもなり兼ねません。

そのため、まずは相続される遺産の内容など、資料を収集して調査を行うことになります。
ここで調査した結果から相続を放棄するのか承認するかの判断を行いますが、「単純承認」、「相続放棄」の他に「限定承認」という方法も存在します。
限定承認は借金があってもすべてを相続するのではなく、相続される財産の範囲内で借金を相続するという方法です。
相続人が多い場合には、全員の意見が一致して承認をしなければなりませんので、早い段階での協議が必要になると考えられます。

10ヶ月以内の手続き

故人が亡くなってから10ヶ月も経つと、かなりの時間が過ぎていますので、遺族の生活も落ち着いているものと推察されます。
この時点で重要になる手続きは相続税の申告を行うことですが、相続税を支払った経験がない方がほとんどですので、しっかりと確認することが必要になると考えられます。
相続税の申告に関しては、「被相続人が死亡した日の翌日から10ヶ月以内に行うこと」と定められています。
つまりは10ヶ月間、何もせずに相続税の手続きを行わないまま時間が経過してしまうと税金の申告漏れになるということです。
この期間を過ぎてから申告を行うと、延滞税・加算税が発生する可能性も考えられます。

もちろんこの相続税は相続の際に必ず発生するものではなく、相続される金額によって異なりますので、相続が決定したら確認をしておくことが求められます。
さらに10ヶ月以内に必要な手続きと言われているのが、相続登記の申請です。
これは相続する遺産の中に、不動産が含まれている時に必要となる手続きです。
この手続きが正しく行われなければ相続税の申請もできなくなるため、充分な注意が必要になると言われています。

1年以内の手続き

1年以内に行われる手続きは、基本的に兄弟姉妹以外の法定相続人に認められた権利で、「遺留分減殺請求」と呼ばれる手続きになります。
現在は遺留分侵害額請求と呼ばれていますが、これは兄弟姉妹以外の法定相続人が、最低限の資産を受け取るための手続きです。
相続のすべての状況において必要なものではありませんが、遺留分が相続で侵害されている時に行使する権限になり、1年以内または相続後10年とされています。

遺留分減殺請求は個人でも行うことは可能ですが、正確な請求額の計算及び裁判も想定しておく必要があるため、専門家に相談することが得策です。
遺産相続に関する手続きは期限が決められたものが多く、期限を過ぎるとトラブルになったり権利を失うことが多いため、事前に確認をして早めの手続きを行うことが重要なポイントでしょう。
不明な点は、法律の専門家に相談して対応することを心がけましょう。