ドローン・VR・AIの次はなんだ?投資家も注目するDeeptech

Deeptechとは

ビジネスの世界では業界特有の言葉がいくつも存在しますが、Deeptechもその言葉のひとつです。
Deeptechの意味を語る上では、要素技術というものが重要なポイントになると考えられます。
新たに開発されたり、これから使われようとしている技術の中で、実用性があってすぐ使えるような技術とは違い、その技術自体が何に使えるものなのかよく解かっていないものを、要素技術と呼んでいます。
すぐ実用できる技術には、ベンチャー企業の場合は投資が集まる可能性が高いです。
しかし実用性が不透明な技術には投資が集まりにくいため、将来的に可能性があっても、なかなか表には出てこないことが想像されます。

このような要素技術の中で、将来的にインパクトが高く期待値のあるものをDeeptechという呼び方で注目していこう、という考え方です。
大学の研究室や研究・実験機関などで長年多額の金額を費やして研究されている、眠った技術の掘り起こしと考えれば解かりやすいかもしれません。
実用化するために高度な技術と長い時間が必要ですが、最先端の技術としっかりと基礎研究がされていて、なおかつ成功時のインパクトと将来性の非常に高いものが、Deeptechと考えられます。

Deeptechの日本と世界の違い

海外の投資家は、このDeeptechに対しての動きが早く、成功の可能性に対しても敏感に反応をしています。
技術力では海外に劣らない日本では、Deeptechに対する取り組みはどのようになっているのでしょうか。
過去にDeeptechでのビジネスチャンスを逃すことが多かった日本では、近年Deeptechに対して活発な取り組みが行われています。
その代表的なイベントが、日本ディープテックグランプリです。

このグランプリは年に1回開催される大型のイベントで、2019年度は9月に開催されました。
230以上のチームが参加し、ファイナルに残った12のチームの中から、エネルギー消費問題に一石を投じる高熱伝導素材を開発する企業が選ばれました。
世界のDeeptechに対する取り組みに対して遅れをとってきた日本でも、最近ではこのような活動が行われていますが、過去に海外のDeeptechとして注目され、現在幅広い分野で実用化されているものがあります。
ドローン・VR・AIはその代表的なものであり、今では知らない人はいないほど有名なテクノロジーとなっています。

Deeptech分野での有名企業

Deeptech分野は、今後は投資家から注目される分野でもあり、巨額の資金が動くプロジェクトが多数立ち上がることも想像されます。
日本ではディープテックグランプリが有名ですが、このグランプリに関わる株式会社ディープコアが中心的な役割を担っているでしょう。
株式会社ディープコアは、日本のインキュベーターでAI(人工知能)の開発に特化したインキュベーション事業を行っています。
IT大手のソフトバンクグループの子会社になり、アドバイザーとして東大の教授で日本のAIの第一人者として有名な松尾豊教授と、ソフトバンクCEO孫正義氏の実弟孫泰造さんが参加しています。

近年の活動としては、AIスタートアップ特化型の60億円規模のファンドを設立し、日本国内では最大規模のベンチャーファンドとして注目されています。
もちろんAIは未来の生活を大きく変えるものとして巨大な市場になると予想されていますが、AI以外のDeeptechにも注目が集まりつつあることも、ディープコアのような企業が活動しているからでしょう。
この他にも、新しいイノベーションシステムの研究を行っている沖縄科学技術大学院と民間企業がタッグを組んでDeeptechのフォーラムも開催され、Deeptechに対する注目度は高まりを見せています。
海外のDeeptech企業に負けない取り組みで、躍進を遂げていくことが期待されています。

VRという言葉も今では一般的に認知されている。

Deeptechの今後

現在Deeptechとして注目されているのは、AI(人工知能)・VR・ドローンの3つになりますが、ドローンは既に様々な分野で導入され、実用化が着実に進んでいます。
VRはゲームの分野で主力になりつつありますし、AIも研究・開発を大手企業が積極的に取り組み、もはやDeeptechとは呼べない分野にまで発展しています。
Deeptechの分野で今後注目されるのは、日本やアメリカなどの先進国に向けた活動よりも、今後の可能性を秘めた開発途上の国々に向けたプロジェクトが、日本の高度な技術を活かすために有効と考えられます。

経済成長が飛躍的に向上する時期は、様々な社会問題も同時に起こる可能性を孕んでいます。
日本でも高度経済成長期には公害による大きな病気が社会問題となり、現在もその後遺症に苦しむ方がおられます。
インドネシア・ミャンマー・マレーシアなどの東南アジアの国々は経済的な発展が進む中、高温多湿の気候による降雨量の多さから、道路開発で問題が多発しています。
この問題解決には、日本の化学系企業が開発した薬品が大いに貢献することになりました。
直近5年で2兆円近くが東南アジアに民間投資されている現状から、Deeptechの新たなビジネスチャンスは開発途上の国にあると推察されます。