日本を揺るがす汚職事件もあったが、みんな一度は利用したこともあるだろう大手企業。

リクルートについて

就職活動全般のことをリクルート活動と呼びますが、就職情報・就職支援を主な業務として誕生したリクルートグループは、就職関連以外の業務にも活動の幅を広げ、国内有数の企業となっています。
株式会社リクルートは、1960年に大学生向けの求人情報を紹介する企業として誕生しました。

1962年に大学生向け求人情報誌「企業への招待」を創刊し、人財を募集する企業の広告を主体としたリクルートモデルのスタイルを確立します。
1967年には、自社の従業員のスキルアップを目的にリクルート大学を開校、社訓も制定し、強い組織づくりも進めていきます。
就職関連のサービスを充実させながら、1976年に不動産関連の事業を新たに立上げ、雑誌「住宅情報」を創刊しました。

1980年には、日本初の女性専用転職情報誌「とらばーゆ」を創刊します。
女性の社会進出を強くサポートする形になり、女性が転職することをとらばーゆと呼ぶ人が増え、流行語にもなりました。

 

 

就活、転職活動をしようとした時よく名前があがる。

 

 
1984年に新たな事業として中古車情報誌「カーセンサー」を創刊、今ではグーと並ぶ二大中古車情報誌として知られています。
リクルートの事業拡大はその後も続き、1990年に多彩な旅情報や予約サービスを提供する「じゃらん)が創刊され、1993年にはブライダル情報の総合サービス雑誌の「ゼクシィ」が創刊されています。
リクルートが展開する事業はどの事業もユーザーから高く評価され、国内有数のコンテンツとして認知されています。
2000年代に入っても新規事業編参入は止まらず、お得なクーポンがもらえるグルメ情報誌「Hot Pepper」を創刊し、この頃から各雑誌と並行してインターネットでのサービスも開始しています。

2006年にカンパニー制を導入、事業一つ一つを事業経営の単位にすることで経営判断のスピードアップを図れるようになりました。
2007年にサロン予約をオンラインで簡単に行える「ホットペッパービューティー」のサービスを開始、これまでの美容(サロン)関連の予約の常識を覆す革新的なサービスとして大きな話題になりました。
その後も大学受験活動をサポートするスタディサプリ、小売業などのレジ業務の負荷軽減を目的としたAirレジ、電子マネー・QRコード決済サービスのAirペイを導入するなど、新たなサービスを幅広く展開しています。
2021年にこれまでのカンパニー制から事業会社7社とリクルート本体が統合され、株式会社リクルートとして新たな一歩を踏み出しました。

 

 

https://www.recruit.co.jp/

TOP/株式会社リクルート

 

 

リクルートの事業内容

就職情報の総合企業として業績を上げてきた株式会社リクルートですが、現在は販促領域・人材領域の大きく二つの事業領域でサービスを展開しています。
事業の母体となった人材領域では、個人のユーザー向けの求職活動はもちろん、受け入れる企業・クライアント側の採用活動をサポートするツール・プラットフォームの運営、人材紹介サービスを展開しており、双方にメリットのあるサービスが提供されています。
人材マッチングサービスのツールとしては、リクナビ、リクナビNEXT、タウンワーク、Indeed、リクルートエージェントなど、ユーザーの希望に沿ったツールを選択することが可能です。

 

 

仕事情報だけでなく、結婚や美容に関する事など多岐に展開している。

 

 

リクルートが提供するサービスが優れているのは、人材領域・販促領域双方の事業でのノウハウを活かした業務支援が行える点にもあります。
販促領域のサービスは国内有数のユーザー登録で高評価されているものが多くなっています。
住宅情報の「SUUMO」、美容関連の「Hot Pepper Beauty」、旅情報の「じゃらん」、ブライダルの「ゼクシィ」、飲食の「Hot Pepperグルメ」など幅広い広告戦略の効果もあり、知名度が高い人気のサービスが多数を占めています。
現在提供されているサービスの充実度の高さは言うまでもありませんが、今後も時代の変化・ニーズに合わせた新しいサービスの提供も期待されます。

 

 

https://www.recruit.co.jp/service/

サービス/株式会社リクルート

 

 

リクルートの初値と評価

人材情報の総合サービス、日常生活に欠かせない美容・ブライダル・旅・住宅などのサービスを幅広く展開する株式会社リクルートは、2014年に東証一部に上場しています。
上場時の公開価格は3100円で、初値は公開価格を約2%上回る3170円となりました。
売出株数は約3400万株で、調達された資金は約2138億円になります。

 

 

順調に推移している。

 

 
上場が報告された当初に予想された数値よりも低い初値となりましたが、公募割れは回避できました。
業績が上向いていることもあり、その後の市場での動きは良好な数値で推移しています。

 

 

https://minkabu.jp/stock/6098

リクルートホールディングス/MINKAUBU

 

 

リクルートの事件

現在のリクルートは国内有数の優良企業として誰もが知るところですが、昭和の終わり昭和63年に政界・財界を賑わす大きな事件を起こしています。
ロッキード事件と並ぶ戦後最大の汚職事件として、リクルート事件はテレビ・新聞などで大きく報道されました。
リクルート事件は政界関係者も大きく関わった事件として当時の自民党竹下内閣は総辞職となり、野党第一党の社会党が大きく躍進する事態を生み出しています。
この事件では、リクルートの会長が未公開株を国会議員に譲渡していたことが大きな問題となりました。

 

 

日本を代表する汚職事件だ。

 

 
公開する前の株を持っていれば上場されたときに株式の価値が大きく上がり、大きな利益を得ることが可能になります。

こんなことがまかり通れば、一般の投資者はたまったものではありません。
親交のある一部の人だけが利益を得られる、つまり賄賂として悪用していたことになります。
リクルートの創始者で当時リクルートの社長でもあった江副氏がリクルートグループの子会社のひとつ、リクルートコスモス社の未公開株を地方議員から国会議員に至るまで賄賂として譲渡しています。
これによって莫大な利益を得た政治家たちは、リクルートが業績を上げやすくなるように便宜を図りますが、1988年のあるスクープにより多くの政治家や財界人が恩恵にあずかっていたことが発覚し、大きな事件となりました。
贈賄側は江副氏を含む12人が起訴されましたが、賄賂を受け取っていた政治家は何故か全員不起訴になるという不思議な事態に陥り、このことが現在の政治不信に繋がっていると言われています。

 

 

https://kotobank.jp/word/%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E4%BA%8B%E4%BB%B6-158958

リクルート事件/コトバンク

 

 

リクルートのその後

リクルートコスモスの未公開株に関わる贈収賄事件は、日本の政治に大きな影響を与えた事件となりました。
リクルートはこの事件をきっかけに、企業としてのコンプライアンス体制の強化に取り組み、企業理念を制定、失墜した信用を取り戻し現在に至っています。
もちろん現在のように幅広いユーザーから支持される優良企業になるまでには、企業としての大きな改革が必要になりました。

 

 

コンプライアンスはとても大切だ。

 

 

企業理念の制定と同時に経営の三原則も制定しています。
新しい価値の創造・個の尊重・社会への貢献が三原則として掲げられていますが、事件以前は商業的合理性の追求が原則に含まれ、ここに重きが置かれていました。
起業は営利が目的ではありますが、社会への貢献を無視した利益の追求では信頼は得られないという結論に達し、新しい三原則が生まれたのでした。
現在リクルートが事業展開しているサービスは、多くの人が必要とされ、なくてはならない企業へと上り詰めました。
市場のニーズに応える様々なサービスが開発・継続されることが望まれています。