バブル崩壊やコロナ禍、ホテル業界に大きな影響を与えた数十年だった
日本ビューホテルについて
日本には、素晴らしいサービスを提供する旅館やホテルが数多くあり、
そのきめ細やかなサービスによって海外からの旅行客が増えています。
日本ビューホテルは、明治時代に創業された歴史のあるホテルグループとして長く活躍してきました。
ホテル事業を主とする企業としては、1953年に那須観光株式会社として設立しています。
その5年後の1960年にビューホテル1号店として、那須ビューホテルが開業されました。
1966年に現在の日本ビューホテル株式会社に商号を変更しています。
その後は自社運営、フランチャイズ契約で岡山、浅草などに次々とホテルを開業していきました。
ただ、バブル期のゴルフ場事業への投資が過度になっていたことが仇となり、
2001年に約800億円の大きな負債を抱え、民事再生手続きを取っています。
みずほ銀行系のファンドが再生のサポートを行い、2012年に負債を返済することに成功しました。
その2年後には、インバウンド景気により業績が向上したことなどのプラス要素もあり、
東証二部に上場することになります。
翌2015年には東証一部上場を果たし、新たに両国ビューホテルを開業、
札幌・大阪にもビューホテル開業と順調に業績をアップさせていきました。
しかし、少子化、結婚式の需要の減少に人件費の高騰などが重なり経営状況が悪化、
2019年にヒューリックの完全子会社となり、上場を廃止する運びとなります。
TOP/日本ビューホテル株式会社
日本ビューホテルの事業内容
ホテル事業を長く続けている老舗グループの日本ビューホテルは、
宿泊サービスはもちろん複数のサービスを提供しています。
基幹事業のホテル、宿泊施設のサービスは、浅草・両国・札幌・大阪の直営ビューホテル、
那須高原ホテルビューパレスとリゾート旅館おくたま路の6つの直営ホテルに
平ビュー・岡山ビュー・ホテルプラザ菜の花の3つの提携ホテルがあります。
大自然に囲まれた場所、アクセスが抜群な場所などそれぞれに大きな特徴があります。
近年は減少傾向にありますがホテルで結婚式を挙げるカップルは多く、
ウェディングサービスも重要な事業の一つです。
現在は浅草ビューホテルのみでウェディングサービスを行っていますが、
江戸時代から続き町の情緒あふれる浅草ならではの魅力もあり、
結婚式も素晴らしいものになるでしょう。
ホテルに宿泊した際、食事が素晴らしくないと楽しさも半減してしまいますが、
ビューホテルグループのホテルには多彩な食事スペースが確保されています。
浅草のホテルには3つの異なるレストランとバーラウンジに加え、
美味しいスイーツが楽しめるパティスリーも存在します。
観光での使用はもちろんですが、ビジネスでもホテルのスペースは活用されます。
会議や研修、展示会、各種イベントに利用可能な広い会場も設置されています。
もちろん、パーティや宴会の場所としての利用にも最適です。
おくたま路、那須高原ホテルビューパレスには、ホテル内に天然温泉が設置されています。
那須高原の方には、高原の美しい風景を眺めながら入ることのできる露天風呂もあります。
ビューレストラン&バーのご紹介/日本ビューホテル株式会社
日本ビューホテルの初値と評価
宿泊サービス、結婚式場サービスなどを展開する日本ビューホテルは
民事再生手続きなどの紆余曲折を経て、2014年に東証市場に上場を果たしています。
当初は一部ではなく二部での上場であったため、人気銘柄とは呼べない状況でした。
公募価格は2200円で売出株数は100万株、公募株数は125000株となっています。
公開時の初値は2150円で公募から50円のマイナスとなりましたが、
二部スタートで悪条件が重なった状況としてはまずまずのスタートになりました。
【材料】<みんかぶ・個人投資家の予想から>=「買い予想数上昇」5位に日本ビューホテル/KABUTAn by MINKABU
日本ビューホテルの事件
観光ホテルグループとして事業を行っている日本ビューホテル株式会社は、
一時多くの直営ホテルと提携ホテルを持つ巨大なホテルグループでしたが、
現在は縮小して9つのホテルを運営しています。
日本ビューホテルは、2001年にゴルフ場事業に対する過大な投資などが経営を圧迫し、
民事再生手続きを行うことになります。
手続きを行った段階での負債の総額は約800億円と大きなものでした。
みずほ銀行系のファンドの介入により再生の道を辿ることになりましたが、
不採算施設やホテルの売却や閉鎖などは行わず、設備投資を抑える形で再生を図りました。
施設・土地の売却を行えば再生は早くなりますが、収益が良好になったときに
事業を拡大することが難しくなるため、10年以上債務の返済にかかりました。
結果的にその判断は間違っていなかったのでしょう。
返済完了後の2014年に上場を果たし、順調に進むと思われましたが結婚式の需要の低下、
遊園地事業の人で不足に伴う人件費の高騰などが重なったことなど、
様々な要因から経営状況は悪化していきます。
その結果、2019年に不動産業、投資開発事業のヒューリックに株式を売却し、
完全子会社となりました。
一部上場からわずか4年で上場は廃止され、新たな道を歩むことになります。
日本ビューホテルに見る、再建手法の変遷/M&A Online
日本ビューホテルのその後
旅行・レジャー関連の事業はインバウンド効果の恩恵を受けて業績を拡大していましたが、
世界的なコロナ禍によって一転業績が悪化した会社も多くなりました。
日本ビューホテルはコロナ化よりも前から業績が安定せず、
ヒューリックの完全子会社となり、業績のアップを目指しています。
子会社化されて以降は5つ以上のビューホテルの営業を終了させ、
いくつかのホテルは譲渡後に新たな名称で営業を再開しています。
親会社となったヒューリックはホテル事業の拡大を進めています。
これまでビジネスホテルの「ゲートホテル」、高級旅館「ふふ」を展開して、
ビューホテルの知名度を活かしたブランド戦略で事業拡大を目指しています。
その中で、ビューホテルが持つ役割は大きなものとなるのは間違いありません。
新型コロナウイルスで変わる観光・ホテル業界のいま/株式会社日建設計