日本の農業を長年支えてくれているあの会社の始まりは、農薬の製造・販売からだった。
OATアグリオについて
自然豊かな日本は農業が盛んですが、農薬・肥料も主に製造販売する企業の「OATアグリオ」は、
現在東京都千代田区に本社を置いています。
前身の大塚化学は、大塚製薬の有機化学部門が1950年に分離・独立して設立しました。
設立当初より農薬の製造・販売を行っていますが、
1960年代から80年にかけて除草剤、殺虫剤、殺菌剤などを開発・販売し、業績を上げています。
1984年に設立時の大塚化学薬品株式会社から、大塚化学株式会社へと社名を変更しています。
その後、2000年までに殺虫剤6種、殺菌剤2種、除草剤1種など多くの農薬を発売しました。
2010年に大塚化学からアグリテクノ事業部が独立し、大塚アグリテクノ株式会社が設立されます。
2014年の東証二部上場同時に、社名をOATアグリオ株式会社に変更します。
主力商品の農薬に関しては、ダニサラバ、ショウチノスケフロアブル、
オリオン、オンコルシリーズなどが現在も販売されています。
中でもオンコルシリーズは、
販売開始から35年を超えるロングセラーで農業従事者には欠かせない殺虫剤となっています。
OATアグリオの事業内容
農薬・肥料を製造販売する「OATアグリオ」は、
世界の食糧増産への貢献を目的に製品を開発・販売しています。
防除技術、施肥灌水技術、バイオスティミュラントの3つの技術を活用した事業展開を行っています。
防除技術は、徳島 鳴門とインドの2つの拠点による研究体制で、
長期にわたる研究の成果からオンコル、オリオンという殺虫剤、オーシャイン、
ショウチノスケフロアブルという殺菌剤、殺ダニ剤のロングラン製品をこれまでに販売しています。
これらの製品は、使用回数制限のない安全で環境にも優しい防除資材として、
農業従事者から高い信頼を得ています。
施肥灌水技術は、栽培・水耕栽培肥料に関して国内シェアNo.1の実績を誇っています。
肥料の方でもOATハウス、OK-F、タンクミックス、養液土耕の各シリーズと、
亜リン酸肥料など吸収性、即効性に優れた肥料を精蔵王・販売しています。
特にOATハウス肥料シリーズは水耕栽培の分野においてトップシェアを長く維持し、
家庭用のキットから大規模農場に至るまで幅広い場所で使用されています。
植物の本来持っている免疫力を高めることによって、
耐寒、耐暑性及び病害虫耐性を上げることを目的にしたバイオスティミュラントの技術は、
地球温暖化が進む現代社会で大きな注目を集めています。
厳しい環境や気象条件でも植物の成長を妨げない植物成長製剤の開発によって、
農作物の栽培の促進に貢献しています。
開発された成長製剤を除草剤と併せて使用すると除草剤による植物へのストレスを軽減し、
成長を促進することも可能になります。
OATアグリオの初値と評価
農業用の農薬・肥料などの開発・製造・販売を行う「OATアグリオ」は、
2014年に東証二部に上場しました。
公開価格は4200円で公開株数は92万株、公募株数は10万株でした。
株式の売買単位は100株で初値の上昇も期待されましたが、
初値は3935円で公開価格を約6%下回る結果となりました。
株式発行による資金の使途としては、新たな農薬・肥料などの製品開発・研究に必要な
設備投資の資金として、また事業の運転資金へ充当する予定となっています。
IPOの案件としては、農薬・肥料製品の製造・販売という事業内容には真新しさが感じられず、
公開価格を上回ることができませんでした。
OATアグリオ/MINKABU
OATアグリオの事件
大塚化学のアグリテクノ部門から独立し法人化したOATアグリオは、
農薬・肥料等を研究・開発及び販売する企業として2014年に東証二部に上場後、
2015年に東証一部に指定替えして現在に至ります。
製造・販売する製品に関するトラブルや事件の類は、これまでに発生していません。
大塚化学からの独立に際しても、OATアグリオと大塚との間で大きなトラブルもありませんでした。
徳島県鳴門市にある研究開発部と製造工場は大塚化学の敷地内にあり、
株式の約5%を大塚化学が有している形となっています。
OATアグリオ—急落、業績上方修正も材料出尽くし感が優勢/MONEY VOICE
OATアグリオのその後
安心・安全な農作物の栽培に欠かせない農薬・肥料を研究・開発する「OATアグリオ」は、
東証に上場後も高品質な製品の開発に取り組んでいます。
近年、世界中の企業、自治体で取り組まれているSDGsにも、積極的に取り組んでいます。
防除技術の向上が薬剤耐性の高い農作物の栽培が可能になると、食糧増産に繋がります。
バイオスティミュラントは作物の免疫力の向上に、
施肥灌水技術は最小限の水と肥料で作物の栽培を可能にするため、
同社の行う事業自体がSDGsに大きく貢献していることになります。
現在は農業従事者に向けた製品以外に、家庭園芸用の肥料でも高い実績を誇っています。
植物に必要な成分をすべて配合したジャストワン液肥は、
プランターでの少量栽培や水耕栽培にも対応した肥料で、家庭でも気軽に使用することができます。