インサイダー事案の懸念を乗り越え、コロナ禍以降は株価急上昇のソフトウェア会社。

SHIFTについて

SHIFTは、東京都港区に本社を置いているソフトウェア会社です。
2005年にコンサルティング会社出身の丹下大氏が設立して以来、全国各地にオフィスを設置しています。

SHIFTという社名は、日産が過去のプロモーションやCMなどで利用していたキャッチフレーズに由来しています。
SHIFTでは、企業理念の遂行のために邁進すると同時に仲間と楽しみながら業務に取り組んでもらうために、創業期に行動方針を掲げています。
掲げた行動方針は「つらいときこそ、笑顔」など5つで、これらを大切にしながら事業活動に邁進しています。

 

 

仕事に楽しみを見出して働きたいものだ。

 

 
一般的な企業は本社が複数の事業領域を手がけており、本業に付帯しているケースも珍しくはありません。
一方、shifutはクラウドやネットワーク関連、セキュリティ関連など傘下に様々な連結子会社を抱えています。
連結子会社は事業領域ごとに分かれているのが特徴で、それぞれが各分野・領域の強みを活かしたサービスを提供しています。

 

 

https://www.shiftinc.jp/

HOME/株式会社SHIFT

  

 

SHIFTの事業内容

SHIFTが手がけている事業領域は、主にソフトウェアの品質保証とテストです。
特に主力事業とも言えるのはソフトウェアのテストで、これまで多数の企業と取引してきた実績があります。
SHIFTは第三者検証のプロ集団であり、その知見を生かして専門的なソリューションを展開しています。
具体的には、不具合が発生しやすいポイントを狙い撃ちし、スピーディな不具合の検出を可能にしました。
さらに独自のテスト支援ツールも提供しており、テスト自動化のためのスクリプト作成も行っています。

 

 

リリース前のテストは重要なものだ。

 

 
ソフトウェアテストにおけるコンサルティングなど、累積されたノウハウを活かした事業を展開しているのも特徴です。
他にも様々な品質要素を評価するプラットフォームの提供も手がけています。
SHIFTは顧客のDXや事業拡大にワンストップで対応できるように、積極的なM&Aも実施しています。
ソフトウェアテストと品質保証のソリューションを軸として、体制の構築を進めています。
今後はM&Aを通じた新たなサービスの展開や、顧客の多様なニーズへの対応が期待されます。

 

 

https://www.shiftinc.jp/service_corp/outline/

サービス概要/株式会社SHIFT

 

 

SHIFTの初値と評価

SHIFTは、2014年に東証マザーズ市場で株式上場を果たしました。
その後、2019年10月に東証一部へと鞍替えし、2022年4月にはプライム市場へと移行しています。
2014年上場時の主幹事は野村證券で、公開価格は1,300円に設定されました。
公開時点でのPERは21.84倍、PBRは3.09となっていました。
一方、上場初値は公開価格を大幅に上回り、最終的に6,000円で取引されたのです。

 

 

高く評価されたスタートだった。

 

 
初値の騰落率は361.53%にも上った他、初値PERは100倍以上、PBRも14.28倍を記録しました。
当時のマザーズでは小型のIPO案件でしたが、SHIFTは上場前から非常に高く評価されていました。
理由としては、ソフトウェアのテスト事業という成長性がある事業であること、ロックアップがかかっていたことなどが挙げられます。
こうした理由から話題を集め、初値が公開価格に対して3倍以上の値を付ける結果となりました。

 

 

https://minkabu.jp/stock/3697

SHIFT/MINKABU

 

 

SHIFTの事件

SHIFTは、2016年に当時の取締役が金融商品取引法違反で処罰されたことがあります。
その頃、SHIFTは業績が思うように振るわず、2016年1月に業績の下方修正を発表しました。
しかし、当時の取締役は下方修正の公表前となる2015年12月に、その情報を知人に漏らしたとされたのです。
金融証券取引法では、業績が直近予想から大きく増減した場合、業績修正の情報は重要事実に当たるとしています。
そのため、知人に漏らした情報はインサイダー情報と捉えられ、同法で処罰を受ける結果になりました。

 

 

インサイダー情報と捉えられた。

 

 
そして2016年、当時の取締役に金融庁から351万円の課徴金納付命令が出されました。
SHIFTは同年3月に臨時取締役会を開き、当該取締役についてCFOなど役職の解任を発表しています。
一方、元取締役は課徴金納付命令の取り消しを求めた訴訟を起こしました。
その結果、2021年12月に東京地裁は命令を取り消し、国に賠償金を支払うことを命じています。

 

 

https://www.fsa.go.jp/news/28/syouken/20170411-2.html

株式会社SHIFT役員による重要事実に係る伝達に対する課徴金納付命令の決定について/金融庁

 

 

SHIFTのその後

インサイダー関連の事案があって以来、SHIFTは役員・従業員を対象としたコンプライアンスの勉強会を実施しています。
同時にインサイダー取引を防止するために、届出制度の徹底や社内処分の厳格化など、社内のインサイダー取引防止規程を改定しています。
役員に対しては年1回の誓約書の提出を義務化し、厳格に運用することを発表しました。

  

  

コンプライアンス強化に取り組んでいる。

 

 
2016年に業績の下方修正を発表した際は、それに合わせて株価も下落しています。
ただし、これはSHIFTに限らず、他の上場企業でも見られる現象です。
一方、株価の下落は一時的で済んだ他、2017年の後半からは上昇へと転じました。
そしてコロナ禍以降は株価が急速に上昇し、上場初値を大幅に上回る株価で推移しています。
2016年のインサイダーの事案は、株価へほとんど影響を与えなかったことが分かります。

 

 

https://www.shiftinc.jp/news/hazard-pay-for-employee-to-protect-from-covid19/

在宅勤務が難しい従業員に国内最大級の「危険手当」を支給/株式会社SHIFT