乾電池やカセットテープだけじゃない。時代が必要とする技術力を提供し期待されているあの会社。
日立マクセルについて
昭和の時代には、ラジカセが音楽を楽しむためのアイテムとして主力の商品でした。
今のように個人むけの音楽を配信するサービスもなく、
カセットテープが主力の世代の方なら日立マクセルという名前には懐かしさを感じるでしょう。
日立マクセルは、乾電池と磁気テープを製造販売する企業として業界の根幹を担ってきました。
元々は日東電気工業の乾電池・磁気テープ製造部門が分離・独立して創業された会社で、
後に日立グループの企業であり、国産初のカセットテープを販売した企業として注目を集めました。
その後も国内初のフロッピーディスクの商品化、高性能のマンガン電池の商品化など
常に業界を先頭に立ち、牽引する企業として活躍してきました。
時代がカセットテープからCD・MDへとシフトしていく中ではCD-Rの商品化を
いち早く実現するなど時代の流れに合わせる高い技術と生産能力を有し、
デジタル化への対応能力の高さも見せてきています。
開発能力の高さから高性能アルカリ電池、リチウムイオン電池の商品化にも成功し、
ポータブル蓄電池を業界でいち早く商品化したことでも知られています。
軽量で高性能な商品が求められる現代社会のニーズにも対応し、
シート状のリチウムイオン電池を商品化することにも成功しています。
2017年に日立グループから独立し、マクセル株式会社に企業名が変更され現在に至ります。
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日立マクセルの事業内容
カセットテープ、乾電池のメーカーとして昭和のオーディオ機器に欠かせない商品を
世の中に提供していた日立マクセルは、現在創業当時から持つ
高い技術力を活かした事業展開を行っています。
乾電池製造の技術は、エナジー事業製品の開発・販売へ、
磁気テープ製造の技術は光学機器・システム事業の開発・販売へと活用されています。
一般的な乾電池、充電可能な二次電池は暮らしに欠かせないものですが、
高性能な円筒型、根型のリチウムイオン電池は産業機器用の電源として幅広く活用されています。
また地球温暖化対策は今後の世の中において重要な対策ですが、
二酸化炭素に影響を受けないガルバニ電池式酸素センサーを30年以上前から開発し、
販売を継続しています。
光学・システム事業では私たちの生活にも幅広く浸透しているICカードリーダー、
ライターを開発・販売しています。
多くの人が持つことが予想されるマイナンバーカードの法人向けカードリーダー、
2023年導入予定の電子車検用のカードリーダーなど新しいサービスに対応した製品も開発しています。
一般的に使用されているICカードも長く製造しており、
その実績は各業界からも高く信頼されている状況にあります。
また高性能のプラスチックレンズも、マクセルでは開発・製造を行っています。
金型から成型まで超精密な加工技術を一体化して運営し、
高品質なレンズのハイサイクル生産を可能にしています。
他にも一般向けでは、ヘルスケア商品、ヘアケア・ボディケア商品、モバイルバッテリー、
各オーディオ商品、ポータブル電源など日常に必要な商品の製造・販売も行っています。
もちろん創業当時から持つ技術を活かした記録メディアの製造も継続しています。
【マクセルHD】名門「日立」を去ったカセットメーカーの進路は/M&A Online
日立マクセルの初値と評価
日立マクセルは2010年に日立グループの完全子会社となり、
一度上場廃止となっていましたが、4年後の2014年に再上場を果たすことができました。
知名度・認知度の高さから上場にあたり、大きな期待を持たれました。
再上場にあたっての公開価格は2070円でした。
初値は大きな期待とは裏腹に、公開価格を約5%下回る1971円という結果となりました。
電池事業、光学・システム事業での実績から高評価も期待されていましたが、
IPOマーケットでは再上場ということがネックとなり、
人気化することができず公開価格を上回ることができませんでした。
https://www.nikkei.com/article/DGXNASGD1807S_Y4A310C1TJ0000/
日立マクセル、4年ぶり再上場 初値は5%安/日本経済新聞
日立マクセルの事件
オーディオファンにとっては長く馴染みのある日立マクセルは、
創業から何度も事業合併や子会社化などにより、事業形態の変更が行われてきました。
日立マクセル株式会社に変更されたのは、
第1回東京オリンピックの年でその後は多くの企業をグループ化するなどで事業を拡大しました。
企業として大きな変化を迎えたのが2010年で、
日立製作所により株式の公開買付が行われ上場を廃止し、完全子会社化されることになりました。
翌年には電池製造事業を会社分割により、日立マクセルエナジーという会社を新設しました。
上場廃止後わずか4年で東証一部に再上場を果たしたことは、当時大きな話題になりました。
日立マクセルが世間を賑わした事件としては、
除菌消臭器に対して消費者庁から措置命令が勧告されたことがありました。
『オゾネオ エアロ MXAPーAE270』というオゾン除菌消臭器に同社は、
新型コロナウィルスの不活化効果が確認されたと自社サイトなどに表示していましたが、
消費者庁の調査結果では一般住宅の部屋での効果を裏付ける根拠がなく、
再発防止策を求め措置命令が出されました。
マクセル側は消費者庁の措置命令に関して、
自社の実験結果は合理的と訴訟も検討すると公表したことから大きな話題になりました。
マクセル株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について/消費者庁
日立マクセルのその後
日立製作所の完全子会社となった後、わずか4年で再び上場を果たし、
企業としての再生の道を歩んだ日立マクセルは2017年に日立グループから独立する形になりました。
日立製作所が保有株の多くを売却し、出資比率が大きく低下したことが独立へと繋がりました。
このグループからの独立により商号をマクセルホールディングス株式会社に変更され、
事業はマクセル株式会社、マクセルフロンティア、マクセルシステムテックに継承されました。
そして2021年に事業会社として統合し、現在のマクセル株式会社へと変更されました。
事業そのものは、主力のエナジー部門を筆頭に高い技術と品質で順調に推移しています。
https://www.projectdesign.jp/articles/ae050505-d3ab-4141-97de-abb1beaa6e05
時代とともに変化し続けるマクセル 技術にこだわり新規事業創出/事業構想