世界でもトップにあった日本の液晶ディスプレイ。海外製品に押され気味だが、再度世界へその名を轟かせてほしい。
ジャパンディスプレイについて
テレビ、液晶ディスプレイは、かつて性能の高さから世界でも日本製が断トツの
人気を誇っていましたが性能差が少しずつ縮まっていき、
格安の韓国・中国製にその地位を奪われ、低迷期へと入っていきました。
高い技術力と性能を世界に再度アピールすることを目的に、
日本の液晶メーカー3社(ソニー・東芝・日立)の液晶ディスプレー事業を日本の政府が関わる
産業革新機構が主導となり立ち上げたのが、『株式会社ジャパンディスプレイ』です。
日立製作所が開発・実用化したIPS方式のアクティブマトリックス液晶の特許を継承し、
小型のディスプレイに特化し、開発・販売を行っています。
LTPS(低温ポリシリコン)技術を組み合わせた液晶パネルは東芝と日立が主力で、
タッチパネルの技術はソニーが開発した機能を取り入れ各社の技術を結集し、
高性能なディスプレイの製作を継続し世界市場へとアピールしています。
発足は2012年で、2014年に東証に上場を果たしました。
大型の液晶・ディスプレイでは韓国・台湾メーカーの低価格競争による価格の下落があり、
収益が見込めないと考え、現在主流となっているスマホ向けの小型ディスプレイ向けに
中小型の液晶パネルメーカーとしてシェア1位を目指し、誕生した経緯があります。
日の丸液晶メーカーとして誕生時は大きな期待が寄せられましたが、
現状は苦戦が続いており、創業後一度も黒字を計上できない状態となっています。
スマホ市場で主流となりつつある有機ELディスプレイ事業進出の遅れが響き、
スマホ液晶戦線でも苦戦が続き新たな道を模索する状況が長年続いており、
新製品の開発、市場の獲得が必須な状況です。
HOME/株式会社ジャパンディスプレイ
ジャパンディスプレイの事業内容
ジャパンディスプレイは、日本の液晶ディスプレイ製造技術を結集して誕生した、
企業で世界の市場から遅れをとったメイドインジャパンの液晶を
世界に再度認めさせることを目的としていました。
日立・東芝、ソニーを中心にPanasonic・エプソン・TOYOTAなどの日本企業の液晶部門の一部を
統合し設立され、当時はメイドインジャパンの復活の期待度は高い状況でした。
創業当初の主力事業はスマホ向けの小型液晶で、日本のメーカーの液晶部門を
統合したこともあって、2018年までは世界でのシェア1位を誇っていました。
液晶ディスプレイの技術に関しては現在も高いレベルで超高精細化、
高画質でありながら薄型で軽量、低消費電力を実現可能な技術が導入されています。
事業はスマホ向け液晶を中心としていた創業当初から、
様々な分野へと事業を拡大する傾向にあります。
近年話題となっているメタバース向けの超高精細ディスプレイは、
今後事業収益を高めることが期待される商品のひとつです。
メタバースに求められるのはリアリティのある画質、高リフレッシュなレート、
高速応答機能、広い視野角などいずれも高い技術と機能性が求められます。
多くの企業の開発・製造技術が結集されたことにより、
すべてを高レベルで維持し、業界をリードする存在となっています。
ヘルスケア・医療関係にも高解像度の液晶は必須で、IPS、LTPS液晶の技術が活用された
液晶を製造し医療関係者をサポートしていきます。
他にも産業用途で様々な環境に適した製品を市場へと送り出しています。
カーナビゲーションなどの車載製品のディスプレイ部門でも高い技術で、
ニーズに合わせた商品が登場している状況にあります。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2210/31/news102.html
液晶で光の広がり方を変える“自由な照明”、ジャパンディスプレイが量産へ 「照明の世界に革新」/IT medhia NEWS
ジャパンディスプレイの初値と評価
政府系の投資ファンド産業革新機構が中心となり、
日本の液晶メーカーの技術とノウハウを結集して創設されたのがジャパンディスプレイで、
創業から2年後の2012年に東証一部に上場を果たしています。
上場開始時には日の丸液晶という呼び名で期待度が高い傾向にあり、
投資家間でも注目されていました。
上場時の公開価格は1株900円でスタートしましたが、最終的に769円と
公開価格を15%も下回る低調なスタートとなり、以後に不安を抱かせる結果となっています。
大きな期待を持たれてスタートしましたが、低い初値でスタートした要因は
ジャパンディスプレイが民間投資家から思ったほど期待されていなかったことにあります。
日本のトップ企業の液晶部門が統合されたことには期待がありましたが、
すでに成長期を過ぎた会社の寄せ集めにすぎず、新たな伸びしろのようなものを期待する人が
少なかったことがマイナススタートの一因となっていました。
現在はその評価は大きく下落し、60円前後に低迷上場廃止の可能性も伝えられる状況となっています。
ジャパンディスプレイのIPO上場・初値予想情報まとめ/価格.com
ジャパンディスプレイの事件
大きな期待を持ってスタートした『ジャパンディスプレイ』ですが、
創業当初からの赤字状況に改善は見られず、苦しい状況が長く続く結果となりました。
大手企業の事業部門が合体されたことなども、企業としての円滑な経営に影響を与えていましたが、
政府系ファンドからの投資がメインで、半国営のような運営が悪い状況を
さらに生み出したようにも見えてきます。
業績の不振から、筆頭株主でもある政府系ファンド産業革新機構が産業革新投資機構へと
改編されるなどの大きな出来事もありました。
その後、産業開発投資機構と経産省の対立が表面化し、
民間から登用された取締役が全員辞職してしまい機能停止に陥ってしまいます。
この出来事は株価にも影響し、ついに50円台まで低下することとなりました。
2019年には、会社幹部による約6億円にも上る着服が発覚します。
その幹部が自殺をしてしまうのですが、後に経営陣の指示による不正会計の疑惑が浮上、
第三者委員会の調査で上場直後から不正な会計が行われていたことが発覚、
企業として大きなマイナスイメージを生んでしまいました。
ジャパンディスプレイの不正会計問題に関する第三者委員会報告書の概要/Legal Search
ジャパンディスプレイのその後
赤字経営の状況が長く続き、不正会計問題など負のトラブルが連鎖する
『ジャパンディスプレイ』は企業存続も危ぶまれる状況でしたが、
新たな投資企業による支援を受けて再生を図っています。
ジャパンディスプレイの持つ技術やクオリティは世界のメーカーに劣らない高いもので、
その技術力高めれば再生は可能です。
現代は地球温暖化や貧困の拡大など、
世界中に起きる様々な問題をグローバルに解決する必要があります。
環境に関する取り組みを現在は率先して行っており、
世界に認められる企業への脱却が期待されています。
ジャパンディスプレイが新開発、照明の新用途拓く「液晶パネル」の機能/ニュースイッチ