多くの患者や投資家の期待を背負ったが、上場廃止となったアキュセラ・インク
アキュセラ・インクについて
世界には、原因が不明だったり発症者の少ない難病と呼ばれる病気がたくさんあります。
私たちが生活するために欠かせない目に関する難病も数多くあり、
世界中の研究者が難病を改善する治療薬の研究を行っています。
欧米で失明の要因第1位と言われる難病が『加齢黄斑変性』と呼ばれる眼疾患で、
世界に約1億3000万人の患者がいると言われています。
アキュセラ・インクは、加齢黄斑変性の世界初の飲み薬の開発を手掛けたベンチャー企業で
東証マザーズにも2014年に上場を果たしています。
本社をアメリカシアトルに置き、多くの臨床医試験を重ね実用化に向け取り組んでいました。
ただ、2016年に臨床第2b/3相試験のデータで主要評価項目を達成することができませんでした。
この試験結果に基づき、2008年から共同買いお初を続けてきた国内大手製薬メーカーの
大塚製薬との共同開発も終了し、株式上場もその後廃止される運びとなりました。
加齢黄斑変性とは/参天製薬株式会社
アキュセラ・インクの事業内容
アキュセラ・インクは、眼科治療薬に特化したベンチャー企業で2002年にアメリカで創業しました。
2006年から失明の要因となる難病の『加齢黄斑変性』の飲み薬開発を目的として、
エミクススタト塩酸塩の開発に着手します。
このエミクススタト塩酸塩の開発に関しては、大塚製薬と共同開発・共同販売契約を締結、
市販化された際の市場の大きさが期待され、東証マザーズにも上場を果たします。
しかし、加齢黄斑変性治療薬の開発が頓挫したタイミングで、大塚製薬との共同開発も終了し
本社機能の移転、新法人設立などの紆余曲折を経てアキュセラジャパンから
久保田製薬ホールディングスに商号を変更して現在に至っています。
一度大塚製薬との共同開発は中断しましたが、エミクススタト塩酸塩の研究・開発を再開し、
第2相臨床試験では網膜症の発症に関して軽度の改善が見られるデータの取得ができています。
第3相臨床試験を行うためには大規模の試験となり、研究開発資金が莫大な金額から
パートナー企業が必要で、現在は共同開発可能な企業を求め交渉中です。
この他の主な事業としては、近視の進行を抑制することを目的とした
クボタメガネの開発事業があります。
2050年頃には、全世界の人口の約半分が近視になるという予測データが示すように、
近視の治療・改善は重要なテーマの一つです。
近視には、軸性近視、屈曲性近視、偽性近視、核性近視などに分類されていますが、
多くの症状が軸性近視と診断されています。
通常近視の矯正にコンタクト、メガネを使用していますが、
クボタメガネは新しいテクノロジーを取り入れた技術となっています。
クボタメガネは、ナノテクノロジーを活用し、
メガネ内に投影装置を組み込み最も効果的な映像を網膜の周りに投影することを可能にしています。
現在初期型のプロトタイプが完成、商業化に向けて臨床試験が行われています。
眼科医から転身して創薬ベンチャーを立ち上げたトップの決意―窪田 良(窪田製薬ホールディングス社長)/経済界ウェブ
アキュセラ・インクの初値と評価
アキュセラインクは、新薬の開発・研究の成果が期待され、東証マザーズに上場されました。
上場当時の株価の初値は2300円で、公開価格の1800円を約28%上回る高い金額です。
上場から2年ほどは事業に対する期待感から安定傾向でしたが、
新薬の臨床試験で十分な結果が得られず、一時期跳ね上がった株価は暴落し
同じ年に大塚製薬との共同開発も終了、上場廃止となります。
その後、窪田製薬ホールディングスという別会社として立ち上げ東証マザーズに再上場しています。
新会社となってからは、株価は安定した銘柄になりました。
アキュセラ Research Memo(7):2016年12月に内国株式として上場予定、株式価値の向上が期待される/Kabutan by MINKABU
アキュセラ・インクの事件
失明に繋がる難病の治療薬の開発が期待され、東証マザーズに上場を果たしていた
アキュセラ・インクですが、商品化の目途がつかず上場廃止になったこともあります。
同じ時期に株価の大暴落で投資家の多くを泣かせた大きな事件もありました。
東証マザーズに上場してから数年の間に新しい眼疾患の治療薬の開発をする
気鋭のベンチャー企業として業界でも話題になったこともあり、
2016年初頭に1000円前後だった株価が3ヶ月後には3倍以上にまで爆上がりしました。
加齢黄斑変性の治療薬の開発が成功すると業績が大幅にアップすると期待され、
投資家が買いに動き一気に株価は上昇していきます。
新薬の治験が最終段階に入ったと伝えられた4月位の終わりから、期待度はさらに上がり、
5月25日時点では株価は7700円まで上昇していました。
6月に入れば新薬が承認され、実用化に向けて株価はさらに上がると期待されていましたが、
この25日を境に株価が急激に落ちていきます。
これは発表された試験結果が評価項目を達成できなかったからで、
大塚製薬との共同開発プロジェクトも終了に追い込まれました。
6月初頭には結局1100円まで下がり、当初の株価とほぼ同じになってしまいました。
結局アキュセラ・インクは11月に上場を廃止し、
その後窪田製薬ホールディングスとして生まれ変わり再上場をすることになります。
アキュセラ・インクのその後
加齢黄斑変性の治療薬開発で一時期大きな注目を集め、
東証マザーズ市場に上場を果たしたアキュセラ・インクは、
新薬の承認までわずかのところで結果が得られず、上場廃止し法人として数回の変更をした後、
現在の窪田製薬ホールディングスへと生まれ変わりました。
一度頓挫した治療薬の研究も継続し、第2相の臨床試験では有効な結果も出ています。
失明のない世界をスローガンに視力回復、
視力維持のための治療薬医療機器の開発で世界に貢献する会社となっています。
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