地上波とは違うコアな層をターゲットに進化する衛星放送
日本BS放送について
通常のテレビ放送を地上波と呼ぶようになったのは、
衛星放送(BS・CS)が普及するようになってからです。
地上波とは違い様々なジャンルやテーマに特化した番組制作をするチャンネルが多く、
テレビの見方も大きく変わっていきました。
日本BS放送もBSデジタル放送のチャンネルを持つ企業であり、
BS11デジタルという名称のチャンネルを持っています。
東京のキー局が展開するBSフジ、BS TBSなどの民放BSは、
当初から標準テレビ放送局としてスタートしましたが、BS11はデータ放送用の帯域で、
BSデジタルと110度CSデジタルで『知求チャンネル』という名称で放送をしていました。
2004年にCSの標準テレビチャンネルとして、2005年にはBS・CSデジタル放送を行う
メガポート放送と合併し、BSデジタル放送の事業認定を受けBS11として
正式にデジタル放送をスタートします。
その後CS放送を廃止、BSデジタルハイビジョン放送に集中する形で運営を行っています。
株式の約6割をビッグカメラが保有しており、強い影響力を持っています。
その関係で、放送内のCMでもビッグカメラ・コジマのCMが多く見られます。
BS11/HOME
日本BS放送の事業内容
日本BS放送は、企業名にもあるようにBS放送を配信することを主としています。
BSハイビジョン放送に移行後は、ハイビジョンテレビ放送に特化した
放送形態で運営を行っていますが、認可された帯域があまり広くないため、
単独チャンネルでの高画質放送に絞った放送をしています。
50代以上の視聴者を主要なターゲットにした『ゆったりじっくりオトナチャンネル』という
コンセプトで、他のチャンネルとは一線を画した番組作りを行っています。
BS放送局としては珍しく報道局を自社内に持ち、政治報道にも力を入れています。
コトバンク/日本BS放送株式会社
日本BS放送の初値と評価
日本BS放送の株式は、2014年に東証2部に公開されました。
公開時の初値は1940円+6.6%で、公開当初の抽選に必要な申込金は約17~18万円となっていました。
当初の公開規模は約50億円と、当時の東証2部としては比較的大規模な金額でした。
ビッグカメラが筆頭株主ということもあり、
株主優待のビッグカメラ・コジマ・ソフマップの商品券がもらえるなどの特典があり、
比較的高い評価を受けている傾向が日本BS放送の株式には見られます。
自己資本率も高く経営の方も健全な状態で、悪くはない状況にあります。
MINKABU/日本BS放送
日本BS放送の事件
資本的にも安定した運営が行われている現在の日本BS放送ですが、
本放送開始当初は売上高よりも製作費が超過し、約15億円の経営損失を出しているような状態でした。
2010年頃からBSデジタル放送全般の好況に合せるように収益は上がり、黒字経営へと向かいます。
そんな好況時に、日本BS放送における大きな不祥事が発覚しています。
2011年に3ヶ月に渡って放送された『自論対論 参議院発』という番組が放送倫理違反になるのでは、ということでBPO(放送倫理・番組向上機構)での審議対象となりました。
この番組は、当時自民党の参議院議員であった山本一太氏(現群馬県知事)と、
元テレビ朝日アナウンサーの丸川珠代参議院議員が司会を務め、
現役の自民党の参議院議員をゲストとして招き討論をするという内容でした。
この番組終了後、BPOは3ヶ月という長期間にわたり同一政党の議員のみが司会とゲストを占めて
番組が放送されることは政治的な公平性を謳う放送倫理に違反する、と断じた意見書を公表します。
番組制作自体も日本BS放送側は自民党議員側に丸投げ状態で、
政治的公平性を確保しようとする意図が全く見られないという厳しい指摘も受けています。
テレビ放送における政治的公平性は度々議論の的になりますが、
日本BS放送のこの問題は好況に水を差すような不祥事として記憶されています。
日本BS放送のその後
日本BS放送はBS11デジタルという自社のチャンネルを持ち、標準テレビ放送局を開局しています。
放送倫理規定違反を指摘される不祥事もありましたが、2010年度以降は増資を行ったり、
番組の大幅改変などを行いながら黒字を計上し続け、好調を維持しています。
現在もビッグカメラが株式の約60%を有し、運営に置いて大きな影響を受けています。
提供スポンサーが一定程度確保されている番組を除いて、
ほぼ最低1社のCMをビッグカメラが提供しています。
資本金は約40億円、発行株式数は約1780万株で株主は約38000人、
ビッグカメラ以外の主要株主には日本カストディ銀行、マスタートラスト信託銀行、
テレビ東京ホールディングス、毎日新聞社などが挙げられます。
いずれも持ち株比率は1.5%前後で、ビッグカメラの比率(約60%)からは大きく乖離しています。
近年はひかりテレビへの配信、定額制動画配信サービスを開始するなど、
新しいサービスや放送形態への対応も行っています。
個性的なチャンネル構成で、コアなユーザーの取り込みを積極的に行っている
チャンネルの一つとして今後の動向にも注目です。
日本BS放送(9414) 大株主・大量保有報告書/Kabutan by MINKABU