一人の大学生のアイディアから全世界の企業にまで影響を与えることとなったFacebook

初期のFacebookについて

今では世界中の人が使用するツールとして、SNS(ソーシャルネットワークシステム)の代表的な存在として知られるFacebookが登場したのは2004年2月でした。
マーク・ザッカーバーグにより誕生したFacebookは、僅か15年でグローバルな現代社会に深く浸透するまでに至りました。
日本でもコミュニケーションツールとして欠かせないものとなっているFacebookですが、初めて登場したときには今のような幅広い機能はなく、僅か8種類の機能しかなかったと言われています。
機能が少なくこんなものが普及するのかと、当時の誰もが思ったことが推察されます。

その8つの機能は、「ユーザーアカウント」、「ドメイン制限」、「友達リクエスト」、「プロフィール写真」一人につき1枚のみ、「招待」アドレス帳のインポート機能はなし、「検索機能」名前、学年、その他・個人情報の表示、性別、誕生日、電話番号、好きな音楽など、「プライバシー制限」友達のみなど簡易的、「フレンドグラフ」ビジュアル化でした。
メッセージもなければ、お知らせの通知もありませんし、写真も1枚限定と多くの人が使いたいと思えるようなものではありませんでした。
レベルが低いことから、大学生の間でのプライベートなコミュニケーションツールとして、細々と運用されていたと想像できます。

当初のユーザーと最初のコアバリュー

Facebookが今のような幅広い機能を持つ前の初期の段階では、ユーザーの拡大は進みませんでした。
当初のFacebookユーザーは、創業者のマーク・ザッカーバーグが当時通っていたハーバード大学のドメインアドレスを持つ学生が中心であった、と言われています。
その後は、ボストン近郊の大学やアイビーリーグに加入する大学、スタンフォード大学と、徐々に対象のメンバーが拡大していったと考えられます。
大学生の間のコミュニティツールとして広まり、低い年齢層の高校生もFacebookに加入するようになり、ティーン層から高い支持を得るようになっていきました。

当初のコアバリューとしては、人のつながりがステイタスになるというもので、開始当初は学生以外に受け入れられないものでしたが、高校生のコミュニティツールとして拡大したと同時に、一般からも認められるようになったと推察されます。
しかし当時は個人情報の流出に関する知識も対応も低く、創業者のマーク・ザッカーバーグも自身のFacebookに大学の寮の部屋番号まで公開していたそうです。
初期のFacebookは、今のようなSNS的なものというよりも、プロフィールサービスのひとつのような単純なものでした。
しかし学生にとっては、その単純さが受けたのかもしれません。
現在の世界最大のSNSツールになることを想像できた人は、当時はいなかったことでしょう。

ピボットする境界線

Facebookの歴史を振り返ったときに、現在のような世界最大のSNS・コミュニティツールになったのは、ユーザー獲得のために切り替わるタイミングが重要であった、と考えられます。
そのタイミングは2回あったと推察され、ピボットする判断(境界線)が間違っていなかったことで成功に導けた要因の一つです。
ハーバード大学の学生のコミュニティツールのひとつとしてスタートしたFacebookが、全米の大学生・高校生のツールとして拡大をしていき、80%の学生がアカウントを持つ状況にまでなりました。
このタイミングで、Facebookは対象を学生のみから企業のアカウント開放へと、ピボットを行いました。

これが最初のピボットで、ここで全米をネットワークとするツールへとレベルアップしたと言われています。
そして全米の企業にFacebookが浸透していったこのタイミングで、世界中の人に対してのアカウント開放へとピボットをしました。
これが2回目のピボットで、これにより全世界と人種・性別を超えつながることが可能な最大のSNSへと生まれ変わっていった、と考えられます。
YOUTUBEやインスタグラムなどグローバルな成功を収めた企業は、Facebook同様にピボットとしての成功が大きく影響していると推察されます。

元々は大学生のみが使用しているSNSだった。

その後のグロース

Facebookは、現在日本で約1000万人、全世界では10億人を超えるユーザーが利用している世界最大のSNSツールとなっています。
現代社会のグローバル化の波に乗り、大きな発展を遂げたFacebookが驚異的な成功を収めた秘密のひとつに、会員を獲得することの全責任と幅広い権限を持ったユーザーグロースと呼ばれる専任のチームの存在があります。
このFacebookのユーザーグロースは単なるユーザーではなく、アクティブに活動するユーザーを全世界で10億人規模にする方法を生み出すことに、全精力を傾けていました。
ユーザー数を計画的に拡大していく明確なプロセスを持ち、状況に応じて最適化をしていきました。

そのプロセスはビッグデータの分析・ダイレクトアクイジション・製品開発・組織風土など、Facebookが企業としても高いレベルを保つための活動を行ってきたからでしょう。
当初から様々なプロセスを経て改善を進めてきましたが、その後のユーザーグロースは現在に至るまで常に問題点を上げ、小さな改善を積み重ねています。
近年はスマホでの使用環境の充実が、ユーザーの増加には欠かせないものとなりました。
ユーザーグロースではスマホアプリの問題解決のために、何千にも上るテストを繰り返し行ってきています。
この小さな改善の積み重ねは、現代の企業において最も重要なことでもあり、業種・業界問わずに参考になることでしょう。