現代社会を勝ち抜く為のビジネスバイブル、ランチェスター戦略を学ぼう。

発案者

ビジネスを成功に導くためのメソッドや戦略などは、これまでいくつも研究・開発されてきたと思われます。
歴史上最も古い戦略方法としては、中国の春秋戦国時代(約2500年前)に生み出された孫子の兵法が有名です。
この孫子の兵法は今でもビジネスのバイブルとして使われていますが、ビジネス戦略を統計的に数学的に考えられたのが「ランチェスター戦略」です。
思想的・観念的にしか捉えていなかった戦争の戦略を数字で理論的に考えられたことから、現在のビジネスにも取り入れられています。

発案者はイギリスのF・W・ランチェスターで、第一次世界大戦当時戦闘機開発のエンジニアとして従事していました。
この時に自身が開発した戦闘機の成果について深く興味を持ち、戦闘機や戦車などの武器の性能と兵力の数が、戦闘で相手にダメージを与える量を大きくすることを法則として考えつきました。
これがランチェスターの法則となり、ランチェスター戦略の原点になったと推察されます。
その後、各国の軍隊はランチェスターの法則を基に、状況に合わせて応用しながら戦略はレベルアップしたと思われます。

特徴、評判

ランチェスター戦略の特徴は、強者と弱者の相反する立場における戦略が基本となっていることと推察されます。
第一の法則が弱者の理論(戦略)で、一騎打ちや接近戦などの一対一での戦闘での法則です。
接近戦いわゆる白兵戦のような状態では、質と量がそのまま戦闘力になるため普通に考えると兵力の多い方が有利です。
しかし日本の戦国時代の戦いでは、しばしば兵力の劣る方が劇的な勝利を収めることも珍しくありません。
兵力が少ない方が勝つための最大のポイントは質、すなわち武器の性能を向上させることにあります。
これによって兵力の低い方が強くなり、勝利へと導くのが弱者の戦略です。
第二の法則が強者の理論(戦略)で、広い範囲での戦闘の考え方で集団戦の勝利を導き出す理論です。
広域戦では、武器性能の向上以上に兵力数の多さが有利に働きます。
つまり兵力に勝る部隊は、接近戦よりも広域戦に持ち込むような戦略で戦うことが勝利の近道である、と考えられています。

メリット、デメリット

戦争で勝つための理論として開発・応用されてきたランチェスター戦略ですが、現代の社会ではビジネスを成功に導くための戦略として広く利用されていると思われます。
ビジネスの基本的な考え方ですので、この理論を知っておかないとビジネスの世界では生きていけないとまで言われています。
起業したばかりの小さな会社の経営者は、ランチェスター戦略では弱者の理論でビジネス的戦略を考えなければなりません。

ここで自信を持ちすぎて、強者の理論でビジネスを強引に進めると、成功することはほぼ不可能と思われます。
強者・弱者それぞれの立場で戦略の基本となるランチェスター戦略はメリットが多く、デメリットはほとんどないと考えられるでしょう。
一般的にビジネスのメソッドや考え方には向いている会社、向いていない会社が存在しますが、メリット・デメリット同様に、ランチェスター戦略に向き不向きの会社は存在しません。
つまりこの戦略をビジネスに取り入れないことが、企業の弱点となると思われます。
さらには強者と弱者の選択を誤ることが、最大のデメリットになると考えられます。

ランチェスター戦略は様々なビジネス書で紹介されている。

書籍について

現代の社会においてビジネスの基本戦略として広く取り入れられているランチェスター戦略には、その方法を詳しく解説した書籍が数多く出版されています。
代表的な書籍について紹介したいと思います。

「小さな会社の稼ぐ技術」
個人経営や零細企業の場合、弱者の理論の中でも戦略は異なることが多くなります。
小さくポイントを絞って売上を向上させる具体例が、いくつも挙げられています。

「ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則」
こちらの書籍は、実際の戦争での事例を基に、ランチェスター戦略のポイントを解説しています。
企業の強者と弱者の戦略の事例も紹介されています。
増版のたびにバージョンアップされるランチェスター戦略を活かせる、ビジネスに一番おすすめできる書籍です。

派生した戦略

ランチェスター戦略は、ビジネスの基本的な理論として多くの企業が取り入れていますが、現代の社会では特定のライバル(一対一)との戦いに勝つ、という考え方では生き残ることはできないと推察できます。
一対一で競争に勝つのではなく、業界でのシェアでトップに立つ戦略が必要になってくるからです。
つまりランチェスター戦略が考えられた当時のままの理論で、永久に進めていけるものではないと考えられます。
現在のビジネスにおいて、強者の理論を現代社会に合わせて派生させた戦略で成功に導いたのがApple社になり、弱者の理論で上手く派生させたのがソフトバンクの戦略と思われます。

Appleは先行で新しい分野の商品を出した他社に対して性能とプレゼン力で対抗し、シェアトップを維持する方法を取ってきました。
このスティーブ・ジョブスの戦略は大成功となり、現在に至るまでデジタルオーディオの世界ではトップに君臨しています。
一方のソフトバンクの弱者の戦略は携帯電話に参入したときで、当時はドコモが圧倒的なシェアを国内で維持していました。
ここに弱者の戦略として低価格を大きな武器としてシェアを拡大させ、対等な勝負を行える状況に至ったのだと推察されます。