取締役とはなんだ。株式会社における取締役を考える。
1.取締役とは
会社員として働く人の多くは、入社後配属された部署で実績を挙げて、管理職へと昇格していくことを目標としていると考えられます。
最終的に会社経営の中枢の取締役にまでなれれば、会社員としての大きな成功を果たしたと言えるとも思われます。
この取締役という言葉はよく耳にしますが、実際に取締役という役職ではどんな仕事をしているのでしょうか?
取締役とは、株式会社が会社の経営方針を決定する取締役会を構成するメンバーのことで、重要な役割を担っています。
一般的には株主総会で選出された人が取締役となりますが、その任期は基本的に2年で株主総会で承認を得られると再任となり、さらに2年の任期が得られることになります。
会社の経営を経営者の代わりに実施していく、まさに会社経営の中枢に位置するのが取締役と考えられます。
取締役には代表権がありますが、その企業が代表取締役を取締役会で選出している場合は、代表権は代表取締役に一任されていることになります。
基本的に社長が代表取締役になっている会社が多く、権限が強くなっているように思われます。
2.取締役はなぜ必要か
株式会社であれば必ず置かなければならない取締役ですが、会社の意思決定をする重要なポジションですので、その判断により会社の業績が大きく変わる可能性が考えられます。
また中小規模の会社ではあまり登用されていませんが、大手企業では社外取締役を置くことが会社の健全な経営には欠かせません。
一般的に取締役はその企業内での実績が評価されて昇格をしてきた人が大半で、専門的な知識と経験は豊富ですが、その反面取引先や他部署との利害関係の深さから会社を正しい方向に導くよりも、その利害関係を優先させてしまう可能性も考えられるでしょう。
このように取締役が利害関係で業務を進めてしまわないように監査する役割を、社外取締役が担っていると推察されるのです。
社外取締役の多くは業務の専門家ではありませんが、法律・税務・経営全般などの幅広い知識を有し、公平な経営がされているかをチェックする客観的な視点を持ち、判断するという大きな役割があります。
株主に対して経営の透明性を訴える意味合いとしても、社外取締役を置くことはとても重要と思われるでしょう。
社内取締役は業務の専門家として業績を挙げるための判断をし、社外取締役は利害関係による間違った判断をしないように監視する共に、会社には必要なポジションであると考えられます。
3.取締役の役割
取締役には、会社が健全に運営されていくための大きな役割があります。
自ずとその責任も一般の社員とは異なり、大変重要なものであると思われます。
取締役の最も重要な役割は、決定をすることです。
会社の事業方針・計画等を、取締役会で協議して決定します。
この決定した重要事項を正しく実行できているかをチェックして、不備や問題点があれば是正し指導を行います。
このような運営の監督をすることも、取締役の大きな役割と考えられます。
従業員は取締役が決定した事項に従って業務を行いますが、取締役は自信が決定して監督するという業務の全てにおける責任があるところが、大きな違いと言えるでしょう。
また一般的な従業員は会社と雇用契約が結ばれる関係性ですが、取締役は会社とは委任契約の状態となります。
社内の他の人から監督されることなく、自らの責任・裁量において業務を行うのが取締役ということが考えられます。
4.取締役と執行役員の違い
取締役という立場が、会社の意思決定に重要な役割を担うポジションであることは、当然であると思われます。
では会社の経営陣の紹介などでよく目にする、執行役員とはどのような立場なのでしょうか?
執行役員は取締役が開く取締役会で、業務の方針の意思決定をした業務の執行をする人のことを言います。
役員という名称から、取締役と同様のポジションと捉えられる方もいますが実際には従業員の一人で、取締役よりも立場としては下に位置付けされています。
ただ多くの会社では取締役と執行役員を兼任している場合が多い傾向にあり、取締役と同等の立場と勘違いされることが多いと思われます。
取締役会で決定した事項を一般従業員が正しく進めていけるように、指揮して執り行う立場ということから、執行する役員という名称になったと考えられています。
経営者・取締役・執行役員それぞれが、会社運営において重要なポジションであると推察されるでしょう。
5.取締役の責任について
取締役は、従業員として雇用された立場ではなく、独立した立場で会社の運営を任された役員です。
持っている権限は社内では大きく、権力を握る立場でもありますが、責任も同等以上に大きくなってきます。
また一般従業員以上に、社内において大きな義務を負う立場を持っています。
忠実に会社の利益のために業務を行う忠実義務は取締役としては最も重要で、利益相反となる取引を絶対行ってはなりません。
この義務に違反すると、会社に損害を与えた罪として賠償責任を負うことが考えられます。
また取締役は社内のみならず社外にも強い権限があるため、第三者に会社が損害を与えた場合に賠償責任を負う義務が発生します。
経営の中枢に位置する取締役は、法的にも大きな責任と義務が生じる立場であると想像されます。
大きな権限が与えられる代わりに大きな責任も負う、それだけ会社にとっては重要なポストであると思われます。