世界から認められる技術力を誇るあの会社のスタートは小ねじ製造だった。

中村超硬について

特殊精密部品の開発・製造・販売及び、ダイヤモンドワイヤ製造設備の開発で実績を積み上げてきた株式会社中村超硬は、1954年にミシンの小ねじ製造の会社として創業しています。
1964年に現在も行われている、超硬合金加工技術に着手しました。

1970年にこれまでの中村鉄工所から現在の株式会社中村超硬に変更があり、耐摩耗部品事業もスタートしています。
1975年に特殊ロウ付け及び熱処理技術の開発に着手、放電加工も開始しました。
1988年に焼結ダイヤモンドの加工技術にも着手し、素材提案力も強化しています。
1994年には、電子部品吸着ノズルの開発・量産を開始、実装事業にも参入を果たしました。

1999年にISO9001を取得、2001年にはISO14001も取得、現本社となるMACセンターを堺市に新設しています。
2005年には医療機器製造・販売業の許可を取得、自社ブランドとして初となるノズル洗浄機MAC-Ⅰを開発・販売しました。

 

 

ねじ製造からスタートした。

 

 
2008年に日本ノズルの全株式を取得、子会社とすると共に、2009年にはノズル洗浄機の新商品MAC-Ⅲの販売、太陽電池用シリコンウエハの生産も開始しています。
翌2010年にシリコンウエハの量産を開始、MACセンターに本社部門を移転しました。
同年9月からは泉工場の新設と同時に、ダイヤモンドワイヤDINA-PRISMの販売を開始、ダイヤモンドワイヤ事業に本格的に参入することとなります。
ダイヤモンドワイヤ開発においては、2012年にものづくり日本大賞・経済産業大臣賞を取得することで大きな注目を集めました。

2013年に中国上海に現地法人を設立、海外へと事業を拡大、2015年5月に満を持して東証マザーズ市場に上場を果たしています。
2016年には沖縄うるま市にダイヤモンドワイヤの製造工場を開設、東京大学大学院工学系研究科との共同研究でゼオライト・ナノ分活を開発、東大の持つ粉砕・再結晶化技術を活かし、低コストでゼオライト・ナノ粉末の製造に成功しています。
2022年には泉工場内にゼオライト製造用のプラントを設置、翌年に子会社日本ノズルの新工場も竣工して本格的に稼働、現在に至ります。

  

 

https://www.nakamura-gp.co.jp TOP/株式会社中村超硬

 

 

中村超硬の事業内容

高い技術力を活かした、特殊部品の開発・製造・販売で実績を上げてきた株式会社中村超硬には、長年培ってきた他社にはない技術を活かした事業が行われてきました。
太陽電池パネル及び半導体の基盤となるウエハを薄く切り出すために欠かせないダイヤモンドワイヤの開発・製造においては産学官の連携で早くから研究・開発を推進し、世界的な普及にも大きく貢献しています。
ダイヤモンドワイヤの製造に関しては2020年に撤退していますが、生産事業で培った経験と技術を活用し、ダイヤモンドワイヤ製造装置及び半導体・難削材向けダイヤモンドワイヤの開発・製造を継続中です。

特殊精密機器事業では、耐摩耗部品、実装機用ノズル、マイクロリアクター、洗浄装置の製造で実績を上げてきました。

 

 

実績を積み上げ、事業内容も増やしていった。

 

 
耐摩耗部品では、焼結ダイヤモンド、超硬合金、セラミックス等の高硬度な材料を使用し長寿命の耐摩耗部品の製造を行っています。
パソコン、スマートフォンに使用されているプリント基板に電子部品をハイスピードで正確に実装する実装機用ノズルには同社が製造するダイヤモンドノズルが多くの企業で採用されていますが、極小化傾向にあるチップをプレースできる高精度なノズルの提供が可能な点が大きな魅力です。

東大大学院と共同で開発したナノサイズゼオライトは、ゼオライトをより極小化した結晶性化合物で、粒子をナノサイズかすることで基本性能を大幅に向上する効果があります。
同社が研究・開発を行うまでは製造コストの高さから市場での評価は低い傾向でしたが、革新的なプロセスで低コスト化を実現しました。
小型で高性能なモバイル機器が求められる、現代社会に欠かせない製品として注目されています。

 

 

https://www.nakamura-gp.co.jp/business 事業紹介/株式会社中村超硬

 

 

中村超硬の初値と評価

超硬合金及びダイヤモンドを使用した特殊な精密部品・開発・製造・販売を主事業としている株式会社中村超硬は、2015年6月に東証マザーズ市場に上場しています。
株式公開時の公開価格は、1700円で公開株数は約2245000株、公募株数は600000株でした。

 

 

上場は初値から微増のスタートとなった。

 

 
売出株数は約1645000株で売買単位は100株、上場時の初値は1901円で公開価格を11%上回る微増のスタートとなっています。
株式上場により調達した資金は、ダイヤモンドワイヤの製造の増産に対応するため、設備投資に充てられた事でしょう。

 

https://minkabu.jp/stock/6166 中村超硬/MINKABU

 

中村超硬の事件

太陽光パネルの製造工程に欠かせないダイヤモンドワイヤの開発・製造を行っている株式会社中村超硬は、特殊精密部品、化学繊維用紡糸ノズルの製造など自社の持つ高い技術を活かした事業で業績を伸ばしています。
近年の主事業となっていたダイヤモンドワイヤ生産設備に関する契約において、中国企業から契約義務が不履行であるとして国際仲裁センターに仲裁の申し立てを受けたことが、業界及び経済誌で大きく取り上げられたことがありました。

 

 

中国の会社とトラブルがあった。

 

 

中国の江蘇三超社と2019年8月に同社が保有していたダイヤモンドワイヤ生産設備と製造に関する技術供与に関わる契約が為されましたが、江蘇三超社側から契約の義務が履行されなかったとして、契約の解除及び損害賠償請求の申し立てをSIACに行っています。
仲村超硬側としては契約の義務は履行されており、相手側の主張する解除事由には該当しないとして、契約代金の未払い額の請求を行いました。
この件に関して、裁判・仲裁を進めるにあたり、2024年3月期第2四半期連結会計期間に仲裁時に支払った3500万円の費用を特別損失として計上しています。

 

 

中村超硬、中国企業がシンガポール国際仲裁センターでの仲裁を申し立て/シンガポール新聞

 

 

中村超硬のその後

他にはない特殊な精密部品の製造開発で長年実績を上げてきた株式会社中村超硬は、日本ノズルを子会社化したことを契機に、化学繊維用の紡糸ノズルの製造事業にも参入しています。
日本ノズルは日本初の化学繊維紡糸ノズルのメーカーで、繊維の可能性を最大限に生かすことを目標に開発・製造を続けてきました。

 

 

今後もその技術力に期待したい。

 

 
同社が販売する紡糸ノズルは世界から認められる最高級の品質を持ち、ポリエステル・ナイロン・アクリル・ポリプロピレンなどの化学繊維の製造に欠かせない製品として、業界で多用されています。
それぞれの製品・機器に対応した多品種少量生産及び完全特注品を基本として作られてきました。
このことが業界から大きな信頼を得て業績を伸ばしています。

 

 

https://www.nakamura-gp.co.jp/company/history.html 会社沿革/株式会社中村超硬