同じ5,000円引きでも感じ方が変わる、興味深い人間の心理とマーケティング

感応度逓減性とは

ビジネスを成功へと導くためには、マーケティング戦略は重要になってきますが、

心理学・行動経済学で数々の学者が実験・検証を行っている理論にプロスペクト理論があります。
ダニエル・カーネマンによって提唱されたプロスペクト理論では、

利益や損失に対する人の捉え方をグラフ化して示しています。

プロスペクト理論のグラフでは、損失回避性と参照点依存性の特徴と

感応度逓減性と呼ばれる人の心理状態が表れています。
感応度逓減性という言葉は世間一般で、あまり馴染みがありませんが、行動経済学では頻繁に使われています。

  

 

心理学の理解を深めマーケティングに強くなろう

 

 

感応度逓減性は損失・利益の数値が大きくなってくるに従い、

小さい変化に対しての感応度が減少していくことを指しています。
利益や損失の絶対値が大きくなってくると金額に対する感覚が変化し、判断が鈍る傾向が見えてきます。
ビジネスにおいて10万円の損失は、どんな状況化であっても大きな損失ですが、

1000万円が997万円になったときと100万円が99万円になった時では、

後者の方が損失が大きいように感じてしまいます。逆に言うと、

大きな金額の時は大きな損失をしているのに、被害が少ないように勘違いしてしまうことになります。

ビジネスシーンでこのような判断をすることは長い目で見た時に大きな損失となるため、

感応度逓減性には十分な注意が必要です。
多額の借金をいつの間にか抱えてしまい生活や商売で破綻してしまう人が存在しますが、

借金は最初にするときには感情に大きな影響を与えますが、借金が膨らんでくると

追加された借金の金額に対するマイナスの感覚はどんどん低くなり、

後戻りができなくなるというわけです。
頭痛持ちの人が頭痛が起きるたびに薬を飲んでいると、

少しずつ効き目が弱くなる現象に近いものが感応度逓減性にはあるのではないでしょうか。

 

 

https://www.weekly-nagano.com/post/42-%E6%84%9F%E5%BF%9C%E5%BA%A6%E9%80%93%E6%B8%9B%E6%80%A7-%E3%81%8A%E9%87%91%E3%81%AE%E6%90%8D%E5%BE%97%E3%81%AB-%E6%85%A3%E3%82%8C-%E3%81%AE%E5%BF%83%E7%90%86#:~:text=%E3%81%82%E3%82%8B%E7%A8%8B%E5%BA%A6%E5%A4%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E5%BE%97%EF%BC%8810%E4%B8%87,)%E6%80%A7%E3%80%8D%E3%81%A8%E5%91%BC%E3%81%B3%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

42 感応度逓減性 お金の損得に[慣れ]の心理/週刊長野

 

 

感応度逓減性の著者、有名人について

人は扱う数値や金額が大きくなるとその数値に対する感覚が鈍り、

誤った判断をする心理的な状態を総じて、感応度逓減性と心理学・経済学では呼んでいます。
行動経済学の代表的な理論として知られる、

プロスペクト理論における人の心理の3つの特徴の一つに感応度逓減性は当たる行動になります。
感応度逓減性を検証する有名な実験は、行動経済学者のダン・アリエリーの著書に紹介されています。
その実験は業務用の大型掃除機の騒音を聞かせるもので、

一つのグループには掃除機の騒音を5秒間、もう一つのグループには騒音を40秒間聞いてもらいます。

その後、それぞれのグループに騒音に対する感想を聞いたところ、

40秒聞いた方がイライラしたのかと思いきや、

4秒間のグループの方がイライラした人が多かったという結果になりました。

 

 

意外な実験結果が出た

 

 
これは40秒間騒音を聞いていると、ある程度音に慣れて聞き終わった後の不快感が逓減されたのに対し、

4秒では騒音の深い印象が残ってしまったため、イライラが募ってしまったのでした。
この実験のほか、様々な行動経済学に関する研究・検証を行ってきた

ダン・アリエリーは、イスラエル系(ユダヤ系)アメリカ人で多くの著書を執筆しています。

彼はアメリカで生まれましたが幼少期にイスラエルに戻り、

テルアビブ大学で心理学を学んで心理学の博士号を取得します。
その後、再びアメリカに渡り、デューク大学で行動経済学・心理学の教授として指導をしています。
主な著書に「予想通りに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」」、

「嘘とごまかしの行動経済学」、「行動経済学で人を動かす」などが日本でも出版されています。

 

 

https://lab.kutikomi.com/news/2020/12/23/diminishingsensitivity/

感応度逓減性とは?人が感じる喜びやがっかりの大きさを解説・プロスペクト理論の「参照点依存性」「損失回避性」/口コミラボ

 

 

有名な事例

行動経済学で研究・検証された理論や法則は、現代ビジネスでも幅広く活用されていますが、

金額が大きくなると、利益や損失の変化に対する感覚が鈍化する心理的な法則を感応度逓減性と言います。
感応度逓減性は、利益・損失に関する人の意思決定のメカニズムを主観的な価値で示した

プロスペクト理論を形成する代表的な概念の一つとされています。
感応度逓減性はマーケティングに活用されることが多くなっていますが、

価格設定への活用がわかりやすい事例になります。

ある近所の家電店で販売価格が3万円の炊飯器がありましたが、

電車で一駅先の別の家電店では、2万5000円の販売価格になっていました。
この場合は多くの人は、2万5000円で売っているお店で炊飯器を購入するでしょう。
では同じ二つの家電店で大型冷蔵庫が近所の家電店で30万円、

一駅先の家電店で29万5000円で販売されていたとしたら、その結果はどうなるでしょうか。

 

 

同じ差でも数値が違うと感じ方が変わる

 

 
この場合は、一駅先まで買いに行くデメリットが5000円安いというメリットに勝る人が増え、

炊飯器よりも安い方のお店で買う人は大きく減少する結果が見えてきます。

感応度逓減性はプロスペクト理論における代表的な概念ですが、

参照点依存症と損失回避性も同じく代表的な概念となっています。
参照点依存症は損得の判断の主観が絶対的水準とは違い、参照点からの変化の大小が基準になるというものです。
損失回避性は利益よりも損失の方に重点を置く考え方のことで、

得た時の喜びよりも失ったときの悲しみの方がより大きく感じる人の性質を表した概念です。
この3つの概念から人の心理を分析し、マーケティングに幅広く活用されています。