ノーベル経済学賞を受賞したダニエルカールマンの理論には、どんなものがあるのでしょうか

ダニエルカーネマンとはどんな人か

近年は日本人の優秀な研究者の方々が、ノーベル賞を毎年のように受賞して注目を集めています。
同じ日本人として大変誇らしいことですが、物理学・化学の分野での受賞は多くても、経済学の分野での受賞者はなかなか現れていません。
経済学では欧米に優秀な研究者が多いという印象がありますが、過去に経済学賞を受賞したダニエルカーネマンは、行動経済学の理論として知られるプロスペクト理論を発表した有名な方です。

宗教的な対立で紛争が絶えないイスラエルのテルアヴィブで1934年に生まれたダニエルカーネマンは、イスラエルが独立をする直前にパレスチナに移住をして、後にエルサレムの大学で心理学や数学を学びました。
この当時から、心理学について深く研究を続けていたと考えられます。
そして24歳の時にアメリカに移住をして、3年後にはカリフォルニア大学バークレー校で心理学の博士号を取得しています。

彼が心理学者・経済学者として世界から名前を知られるようになったプロスペクト理論は、1979年にエイモス・トベルスキーとの共同研究により発表されました。
人は目前に確実な利益があると考えたときに、利益が得られないというリスク回避を最優先にする損失回避性があることを理論づけたもので、この研究結果は行動経済学として深く浸透しています。
ヒューリスティクスとバイアスの関係性に関する研究や、ピークエンドの法則などの研究成果の発表で、さらに経済学者・心理学者としての実力を高く評価されたと考えられます。
ダニエルカーネマンの研究結果は現在の経済界でも広く活用され、世界に大きく影響を与えた研究者として日本でも支持する方は多いと言われています。

今後も優秀な人材が出てくることが期待される。

ファストアンドスローとは、どれくらい有名なのか

ダニエルカーネマンと言えばプロスペクト理論が最も有名ですが、この他にも数々の人間心理に関する理論を発表しています。
その一つにファストアンドスローという心理効果の理論がありますが、この理論は日常生活におけるあらゆるシーンに役立つ考え方です。
ファストアンドスローとは、早い思考(ファストシンキング)と遅い思考(スローシンキング)という二つの思考の違いについての理論です。
人間の脳がエネルギーの消費を極力抑えるために行う思考がファストシンキングで、反射的に行う本能に根差した思考と考えられます。
このファストシンキングでは、数字に関することでは回答で誤った認識を持つ可能性が高いということを提唱をしています。
直感と統計的な事実の大きな誤差が起こることを理解することができる、と考えられます。

一方のスローシンキングについてですが、こちらは何種類もの商品の中から一つに決めなけらばならないときや、複雑な計算式などの場合に人が考える思考です。
こちらでは直感的・本能的な発想とは異なった思考が働くものと考えられます。
このスローシンキングでは物事を客観的にとらえ、慎重に答えを導き出すため、脳のエネルギー消費が大きい代わりに正確性は大きくアップすることになります。
ファストシンキングとスローシンキングは思考としては真逆の考え方ですが、人はどちらの思考も持っています。
直感的な思考の方が楽なため、ファストシンキングに頼りがちですが、正しく判断するためにはスローシンキングが重要であるということが、この理論で理解できると推察されます。

有名な理論、日常で使われている場面

ノーベル経済学賞を2002年に受賞したダニエルカーネマンは、人の行動の傾向や思考を心理学的に研究した理論を数多く発表しています。
その理論は、実際に私たちの日常にも使われていることが多い、と考えられます。
特にダニエルカーネマンの提唱する理論の中でも有名なプロスペクト理論は、日常で使われる場面が多いと推察されます。
プロスペクト理論とは、簡単に言うと人は得すること以上に損をしたくないという気持ちの方が強い、という理論です
例えばチャレンジに成功すると、1/2の確率で2倍得する代わりにチャレンジに失敗するとマイナスになるというものがあったとき、多くの人がチャレンジをしないということがプロスペクト理論になります。
利益が得られるシーンでは人は確実性を選び、損失を被るシーンでは人は不確実性を選ぶということが、この理論でよくわかると思います。

日常で考えた場合には、恋愛にもこの理論を当てはめることが可能です。
好きな人がいるけど告白した方がいいのか言わない方がいいのか、または連絡しようかやめようかなどと迷った経験がまさにそれです。
このときの考え方や迷いが、まさにプロスペクト理論で上手くいったときの幸福感よりも、失敗したときの絶望感を避けようという心理が働いていると考えられます。
ギャンブルにおいても、この理論が働くシーンは多くあります。
基本的には確実に勝ちを拾っていきたいと考えていても、負けが続いたときには考え方が逆転し、負けを取り返す方に考えが及び、さらに負けを重ねてしまうことなどは、悪い方のプロスペクト理論の考えの代表例でしょう。