株式を新規公開する際、どれくらいの期間でどんな準備が必要なのでしょうか
IPOの一般的なスケジュールとは
株式の世界では様々な専門用語が飛び交っており、その業界関係者以外には馴染みのない用語がたくさん存在します。
IPOも業界の専門用語として広く使われており、この内容について理解しておくことは重要です。
IPOとは、株式市場に上場していない企業が、証券取引所に株式を上場させて、売買が可能になることの呼び方で、新規公開株式が正式な日本語の呼び方だと言われています。
IPOを証券取引所に対して行う場合には、スケジュールを組み立てる必要がありますが、その基本的なスケジューリング例を示します。
IPOを行うまでには一般的に約3年ほどの準備期間が必要で、長期的なスパンでのスケジューリングが必要と考えられます。
3期(直前々期)以前では、監査法人選定⇒短期調査・内部統制整備、試運用・主幹事証券会社選定などを実施します。
次に直前々期には試運用を継続しながら、会計監査・内部統制監査を実施、主幹事証券会社による指導・助言が行われます。
直前期は直前々期と同様の活動を継続し、上場申請期に本運用を開始し、取引所の審査を受けるというのが、IPOまでの大筋のスケージュールです。
長い期間が必要となるため、スケジュールの進捗をしっかりと頭に入れ進める必要があると考えられます。
IPOの3つの監査、審査
1監査法人 2証券会社 3取引所
IPOの実施には、監査法人・証券会社・取引所による3つの監査、審査が必要と言われます。
それぞれにチェック内容が異なりますが、この結果がIPOには大変重要なポイントです。
①監査法人
監査とは、企業や法人が株主・投資家等の委託されている会計責任が正しく果たされているかを、第三者機関が調査し報告することを指します。
監査法人は、他者の求めに応じ、財務書類等の監査及び証明を組織的に報酬を得て実施することを認められた法人のことを指しています。
②証券会社
IPO実施時には主幹事証券会社を選定しなければなりませんが、主幹事証券会社は上場におけるアドバイザーとしての役割と同時に、証券取引所への推薦も行っています。
推薦人として、主幹事証券会社はIPOを行う企業・法人の監査・審査を行い、その報告結果を持って推薦するという重要な役割を担っています。
③取引所
IPOを実施する際に、最終的に承認するための審査を行うのが取引所になります。
上場申請を受け付けた後、申請書類による書類審査⇒提出書類に基づきヒアリング⇒実地調査⇒公認会計士面談⇒監査役面談⇒社長面談を経て証券所内決済が行われます。
書類審査時に追加質問などがある場合には、質問事項に対する回答書提出⇒審査も追加されます。
IPOにかかるコスト
IPO申請に関しては、様々な手続きを行う必要があり、それぞれに関わる費用が発生すると推察されます。
具体的にかかるコストは、以下が挙げられます。
①役員増員のコスト
上場するにあたり、運営管理上必要とされる役員が不足していると考えられる場合には、役員の増員が必要で役員報酬増加コストが必要です。
②会計システム・業務システムの導入コスト
上場基準を満たすために不足している、システムの導入が必要とされる場合に費用が発生します。
③主幹事証券会社・監査法人選定によるコスト
上場するためにはこの2つを選定しなくてはならず、自ずと契約費用が発生します。
この他にも、事務の代行、専門印刷会社など、様々なコストがかかることを念頭に入れておく必要があります。
上記内容を踏まえて、IPOに備えて資金力を強くしておくことも、重要なポイントとなります。
IPO一番最初のステップ、ショートレビューとは
IPOを実施する際に、監査法人による監査が行われますが、監査法人が選定された直後に企業に対して短期調査を行うことになっています。
この短期調査の結果を、上場(IPO)を検討する企業・法人に対して、上場における課題・問題点を報告することをショートレビューと呼んでいます。
IPOを実施するためには最終的に証券取引所の審査を受け、承認を得なければなりませんが、課題が不明なまま審査を受けても基準をクリアすることは不可能でしょう。
審査基準には、社内管理体制や予算の管理方法、ディスクロージャー体制の整備等、課題はいくつもあります。
監査法人がショートレビューで、早い段階でこれらの課題を明確にし、IPOを実施するための計画を進めるサポートをしていることになると考えられます。
このショートレビューはIPOを行う準備としてはもちろん、組織的な運営へと移行するための行程として重要なステップです。
このショートレビューのチェック内容には、組織運営におけるガバナンスの問題や組織の規則の整備、中長期の経営計画などに関する課題も浮き彫りとなる効果が得られるでしょう。
予算や月次決算制度などの利益管理システムの有効性の確認などにもなることから、企業としてのステップアップに関しても重要なポイントだと推察されます。